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【短歌】まぼろし

  • 夜が来るその前までに陽炎のなかのあの子を助けなくちゃ

  • 水際で涅槃を想う足先に冷たさがあり我は人の子

  • すべてが灰になった大都市を歩くときどんな音がするだろう

  • 湖に浮かべた透明はただ漂うだけだろうか見に行こう

  • 曖昧な夢を見たあとおぼろげな現実のなかで立ち尽くして

  • さんざめく群れの中にて孤独を噛みしめ涙も枯れてしまった

  • 曠野には不意に現る壁ありき我が身のうちの葛藤としての

  • 光りただゆらり揺蕩う。水面にて森にて路地裏にて。そこにも

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