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天才的なマーケ戦略でエサ場を掌握した”地域猫サヤカ”



ブランドの誕生

ご覧ください。
この豊満なワガママボディ、色白で柔らかそうな肌、挑発的な口元、そして挑戦的で色気漂う碧眼を。
これは、マーケティングの天才、碧眼の磯山さやかである。(以下、サヤカ)

サヤカは地域猫であり、実家のフリーザ(以下、父)が嬉々として餌を献上し続けている。
父は決して猫好きではなく、むしろ他の猫がエサを食べようとすると怒鳴り散らし、排除するほどの入れ込みようだ。
これは完全に、サヤカのマーケティング戦略の勝利である。
私は、なぜサヤカが父の心を掴み、競合を抑え、餌場を独占できているのか分析してみた。

ブランドポジショニングと差別化戦略

サヤカは自身のコア・コンピタンス(中核的強み)として、ビジュアルの良さを認識している。
競合である他の野良猫が「空腹アピール」や「アグレッシブな行動」でエサを得ようとする中、「気品」と「優雅さ」を軸にブランドを確立した。

さらに、顧客(餌を与える人間)とのタッチポイントでも、一貫したブランドイメージを維持している。
音声ブランディング:「ミャア」と一度だけ囁き、控えめで上品な印象を演出。
ユーザー体験(UX)設計:静かに少し離れた所で待機し、主張しすぎず「品のある猫」として認識させる。
消費者心理の活用:ゆっくりとエサを食べ、皿を激しく舐めるといったブランド毀損行為を避ける。

この結果、サヤカは「気品と優雅さを備えた希少な猫」という独自のポジショニングを確立し、競争の激しいレッドオーシャンを避けることに成功した。

ペルソナ設計とターゲティング

サヤカは、やみくもに全ての潜在顧客(人間)にアプローチするのではなく、「自分の価値が最大化される市場(ターゲット)」 を慎重に選定している。

ペルソナ分析
:猫への関心が低く、購買意思(餌を与える意欲)がない → 非ターゲット層
:本来は猫好きではないが、特定の猫には心を許す傾向がある → コアターゲット

ターゲティング戦略
STP分析に基づき、「父」をメインターゲットに設定。
• 母には一切媚びず、父に対してのみパーソナライズされたアプローチを実施。
• 「自分だけが選ばれている」というエクスクルーシビティ(特別感)を演出し、ロイヤルティを向上。
つまり、サヤカは「広く浅く」ではなく「狭く深く」というニッチマーケティング戦略を採用し、熱狂的なファンを作ることに成功している。

カスタマージャーニーとリテンション戦略

サヤカの最終目標は、単にエサを得ることではなく、「長期的なファン化」である。
そのため、顧客の心理を巧みにコントロールしながら、最適なカスタマージャーニー(顧客行動プロセス)を設計している。
カスタマージャーニーのステップ
1. 認知フェーズ:毎日定刻に現れることで、父の生活リズムに「サヤカの存在」を組み込む(習慣化)。
2. 興味・関心フェーズ:「たまに現れない」ことで、不在時に父の思考をサヤカに向かわせる(トップ・オブ・マインド戦略)。
3. 購入フェーズ:「焦らし」によって、次回の再会時により高単価なエサ(プレミアムフード)を提供させる。
4. リテンション(顧客維持)フェーズ:「触らせない」というロイヤルカスタマー向けインセンティブを設定し、父を虜にする。

この戦略により、サヤカは顧客単価(エサの質)向上とリピート率最大化の両方を達成し、圧倒的なポジションを確立した。

LTV最大化のためのファネル設計

サヤカのマーケティングの真骨頂は、顧客のLTV(顧客生涯価値)を最大化するための巧妙なファネル設計にある。
ファネル上部(認知・関心):定刻に現れることで、ルーティン化させる。
中間(コンバージョン):「たまに来ない」という焦らしで、父の頭の中にサヤカを常駐させる。
下部(LTV向上):「触らせない」ことで、希少性を演出し、さらなる投資(高級エサの提供)を促す。

これは、キャバ嬢が「やれそうでやれない」ギリギリのラインで客を引き込み、継続的に通わせる手法と同じである。
まさに、戦略的ファンビジネスである。

(まとめ)サヤカのマーケティング成功要因


1. ブランドポジショニングの明確化:「気品と優雅さ」を前面に打ち出し、競争の激しいレッドオーシャンを回避。
2. ターゲットの精緻な選定:ペルソナ設計を徹底し、最もROIの高い市場(父)に集中投資。
3. カスタマージャーニーの最適化:「焦らし」「特別感」「プレミアム体験」を組み合わせ、リピート購入と単価向上を実現。

こうしてサヤカは、完全に餌場を掌握した。
ここまでマーケティング戦略をブラッシュアップし、徹底できたからこそ、こんなワガママボディになってしまったのだが、ファンからすればそれもたまらない魅力なのだろう。

私もサヤカのように”選ばれる側”になれるよう、精進したいと思う。

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