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【向日葵は枯れていない!第2章】42.ギラヴァンツ北九州 2025シーズン展望 ~③ライバルを考える~

新体制発表会、島原キャンプを経て、チームは来月のシーズン開幕に向けてトレーニングを続けています。
同時にJ3優勝、J2昇格のライバルの陣容も徐々に朧気ながらも見えてきました。

ギラヴァンツ北九州新シーズン展望、今回はライバルクラブの状況をみながら、今シーズンの北九州が目標どおり「ストレートイン」できると言えるのか?
この点について考えてみたいと思います。

1.改めて北九州の基本配置を考える

攻撃時(保持時)
守備時(非保持時)

まずは前回記事の振り返りからスタートします。

前回記事の最後で、今シーズンのフォーメーションについて私見を述べさせていただきました。乾や工藤の移籍による左サイドの出力低下を補う形を検討、非保持4-4-2のブロックから保持3-4-2-1への可変システムを考えてみましたが、今回の記事については昨シーズン導入していました4-2-3-1に選手を当てはめて考えてみたいと思います。

と申しますのも、新シーズンに向けた増本監督のインタビュー動画からは、現有戦力の残留、そして昨シーズンからの上積みに期待を寄せている一方で、前述しましたように軸となる選手が何人か抜け、かつ新加入選手も多いことから、攻撃、守備共に開幕に向けたタスクが多い様子も伝わってきました。

大きなシステム変更に着手する時間的余裕はないような気がしています。
現状では昨シーズンのシステムの継続、ブラッシュアップになると予想します。

島原キャンプの動画を踏まえますと、U-18、三菱重工長崎とのTRMでは新加入選手、既存選手の様々な組み合わせが試されていたように見えました。そこで以下のような配置を想定してみました。

2025ギラヴァンツ北九州 予想布陣(4-2-3-1)

括弧書きにみられますように、新加入を含めて多くの選手に開幕スタメンのチャンスがあるように思います。それだけ多くの選手が良いコンディションで新シーズンに臨めていることがキャンプ動画からも伝わってきました。

少しポジション別に見てみますと、GKは昨シーズンのレギュラー田中とベテラン大谷がおそらく別メニューで、開幕スタメンは新加入の杉本、伊藤、谷口の3人で争うことになりそうです。
当然、現地で見ていない上に時間、角度共に一部分の切り取りでしかない動画から分かることは限られるのですが、それでも感じ取れる部分はあり、谷口がゴールマウスに立つ時間や反応速度、キックの精度からひょっとしたら彼の序列が上がるのではないかと予想しています。

最終ラインで目立つと申しますか、工藤移籍後の戦術的にも大きなポイントになるのが新加入の東なのですが、非常に良いパフォーマンスを見せていたと思います。対面の相手に対して強さと技術でボールを絡めとるプレーのみではなく、フィードも一定の水準にあることが感じられました。
工藤が抜けた心配はしなくても良いのかなと現時点では感じています。

中盤では戦術の柱となりそうな高吉のレギュラーは堅いとみますが、CHの相方はベテラン喜山、新人木實、新加入の高柳、キャプテン井澤と激しい競争になりそうです。更に激しい競争になりそうなのが、SHとトップ下ですが、三菱長崎戦では、単独突破力、連携面、プレースキックといった面で新加入の樺山の存在感が目立っていました。定位置確保に向けて一歩リードというところかもしれません。

1トップに関しては今シーズンも永井が中心となりますが、渡邉もゴール奪取、ハイプレスの部分で昨シーズン以上の存在感を示しています。

戦術的に感じた点もいくつかありました。
ビルドアップに関しては、両SBが前を向いてボールを受けられる形をモノにしようとしている様子が伝わってきます。ボランチまたはSHがCBのパスをしっかりレシーブする形、そしてCB、特に東から前線へ一気のフィードの併用という形が見えてきます。そして中盤から前線へはサイドチェンジも増えているように見えました。サイドからボックスへの進入は、相手DFとの1対1の剥がしに時間を掛けず、クロス、シュート、そしてサポートを速めている様子も窺えます。
何と言ってもフィニッシュの数を意識的に増やしている点は、昨シーズンからの課題の解決を意識したものといえます。
一方で、この両TRMでは決定力不足も目立っていたと思います。
この点はこれから精度を高めていかなくてはなりません。

新門司に戻り、今後は1月27日(月)にJ2藤枝とのTRMが予定されるなど、実戦の相手のレベルは少しずつ上がってきます。
開幕に向けて少しずつ配置表に記された選手が絞り込まれてくるのかもしれません。

2.ライバルの動向

さて、ここからが今回の記事の本題となります。
オーソドクスに筆者が気になっているチームをランダムに挙げていきたいと思います。

(1)鹿児島ユナイテッドFC

降格組からは相馬新体制の鹿児島は上位争い必至とみます。
非常に出入りの激しいオフになりましたが、レンタル加入していた稲葉を完全で獲得、ヘナン、青木、アンジェロッティと寧ろセンターラインは強化されています。J2レベルの戦力といえるでしょう。
相馬監督のサッカーといえば、町田時代の横幅圧縮したコンパクトフィールドでの戦いを思い出します。狭いエリアで激しいプレス、ボールサイドに人を掛けることにも特徴があります。
岡山から吉尾、山口から田中、熊本から岡崎と狭いスペースでもボールを扱える選手がいることからも同様のサッカーを展開する可能性は十分にあります。
対戦する北九州としては、鹿児島のコンパクトフィールドにある程度人数を揃える必要性は出てくるのでしょう。この狭いエリアでボールを奪ってしまえば、サイドチェンジで逆サイドにボールを出す、人も飛び出してくいくという展開も可能となるでしょう。
鹿児島に対して優勢に戦うには、北九州のボール奪取力が問われることになるのかもしれません。

横幅が圧縮されたコンパクトフィールド内でのボール奪取、
そしてスペースへのフィードと飛び出す動きで、
相手の陣形を広げる

(2)松本山雅FC

次は昨シーズンの上位陣をみていきましょう。北九州が2ドローに終わった松本です。
多くの主力の残留が心強く、ボランチにJFL三重から実績十分の大橋を加えた点は大きいと思います。
何と言っても横浜FCも率いていた早川監督の就任によって、課題の守備に改善の目途が立つと予想します。昨シーズンは最終盤の勢いでプレーオフ圏内に滑り込んできましたが、今シーズンはより安定した戦いが可能になるとみます。

(3)FC大阪

中盤省略、前線に素早くロングボールを送り陣地回復、フィジカル勝負に持ち込む。北九州が昨シーズン苦手にしたスタイルのサッカーを行うチームであり、悪い意味で対戦がターニングポイントになってしまったチームです。
昨シーズンは保有選手も多かったのですが、今シーズンはより戦力を絞って、甲府(昨シーズンは富山へレンタル)から松本、沼津から和田を迎えるなど、前線の質を向上させる補強を行ったように見えます。
北九州としてはシンプルに跳ね返す、簡単に上げさせないを徹底することが重要で、やはりCB東の働きは重要になるのでしょう。

(4)カマタマーレ讃岐

今シーズンの台風の目になりそうなのが讃岐です。
山形でも十分に戦力になっていた後藤優介を迎え、後方には良質のパスを出せる吉田陳平が控える布陣は強力で、守備の整備を図った一昨シーズン、攻撃力を増強した昨シーズン、そしてついに攻守のバランスが噛み合う米山体制3年目となるのかが注目です。
一方でこの攻守の連動性の面が大きな課題と感じる部分もあり、プレスの連動性をしっかり仕込めるかが上位浮上のポイントになるとみます。
また、近年はチームとして上位争いを全く経験してなく、この点の経験不足を如何に補うのかもポイントになりそうです。

(5)FC岐阜

前々回のポゼッションの記事でその数値バランスの良さについて少々記述したFC岐阜です。敵陣ポゼッションを高めるという点では大島監督の就任はプラスに働くとよみます。補強も各ポジションに実力者を揃えた一方、トップスコアラー藤岡の移籍の穴は埋まったとは言い難く、この点をどうするのかがポイントになりそうです。

(6)栃木シティFC

マテイ・ヨニッチ加入でにわかに注目を集める昇格組です。
彼一人でサッカーをする訳ではないのですが、彼の経験値やメンタリティが一年でJFLを突破したチームの勢いとマッチした時に想像以上の爆発力を発揮する可能性はあるとみます。
先日行われた藤枝とのTRMは8-0と大勝、藤枝のチームスタイルや現在のデキ、メンバーを踏まえるとこの結果が即リーグ戦の結果に反映される訳ではないと思いますが、チームに勢いがあることは間違いないです。
また親会社に資金力があることから、昇格が狙えそうな位置にいる場合、夏のマーケットで更なる補強を進めてくる可能性はありそうです。

(7)ツエーゲン金沢

パトリックの加入が大きいのは間違いないのですが、案外それ以外の補強は大人しく終わったとの印象が強いです。そして梶浦の移籍は正直なところ痛いと思います。パトリックを活かす戦術を如何に組めるかに懸かっているでしょう。

(8)SC相模原

シュタルフ監督がやりたいサッカーは、おそらく長野時代の4-1-2-3でSBが高い位置に張るような攻撃的なサッカーと思われます。
岡山(昨シーズンは鹿児島にレンタル)から高性能クロスマシーン河野を迎え、アンカーが出来る島川を補強している点からもそうした意図を想像できます。北九州としてはFC大阪と同様で、しっかり跳ね返す守備を徹底できるかがポイントになると思います。

(9)ヴァンラーレ八戸

そして最後に、昨シーズン北九州が苦手にしたハイプレスに特化したチームとして八戸の動向をチェックしたいと思います。動きの激しいオフになりました。選手の多くが入れ替わったことからも、戦術浸透にもう一度時間を掛けることになるのではないかと思います。

3.まとめ

以上、島原キャンプを終えた北九州のチームづくりとライバルチームの編成を踏まえると、北九州は体制継続の強みや戦力の厚さを踏まえても、自動昇格候補に挙げられるのはごく自然な流れであると筆者も考えます。
一方で、それは他チームの戦術が浸透するまでに勝点を稼げることが前提となっており、今シーズンは開幕ダッシュの成功が自動昇格の大きなポイントになると考えます。
キャンプ動画を視た限りでは、昨シーズンよりもチャンス、シュートは増えそうな予感はありますので、あとは決定力を高めることが必至となりそうです。守備面では序盤戦のGKが大きなカギになると考えます。

いずれにしても楽しみは増えるばかりです。

今回もお読みいただきありがとうございました!

※敬称略

【自己紹介】
雉球応援人(きじたまおうえんびと)
J1ファジアーノ岡山、J3ギラヴァンツ北九州レビュアー
レビュー作成が趣味を超えてライフワークになりつつある。

昨シーズンは岡山悲願のJ1初昇格のゲームを記すことが出来た。
今シーズンも初のJ1の舞台となる岡山、念願のJ2復帰へ向けて勝負に撃って出る北九州の戦いぶりを追っていく。

日々勉強、分析、解析、解釈、更に磨いていきたい。

岡山在住の開業社労士。今年も日常に追われるが、アウェイ遠征で鉄道旅を楽しみたい。2000年前後に北九州(市立)大学に在学。北九州は第2の故郷、未だに愛着は消えない。

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