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【向日葵は枯れていない!】28.ギラヴァンツ北九州 マッチレビュー ~第28節 vs 大宮アルディージャ ~

首位大宮とのアウェイ戦は0-3の「完敗」となりました。

あえて「完敗」と申しましょう。
おそらく、今シーズンの大宮と対戦する各チームのほとんどが試合内容的にはそれほど敗北感を味わっていないと筆者は感じているのですが、現在の大宮の成績が示すとおり、結果的には負けてしまっているということが圧倒的に多いと思います。
結果にコミットしたサッカー、それこそが今シーズンの大宮のサッカーであり、そのとおりに振る舞われてしまったという点では「完敗」と言わざるを得ないのです。

しかし、今の北九州はまだまだ成長途上のチームです。
出来たこと、出来なかったことを整理してまた週末の戦いに臨んでほしいものですし、臨んでくれるチームであると信じています。

振り返ります。

1.試合結果&メンバー

筆者個人が最初のヤマ場と述べていました福島、今治、大宮の3連戦は残念ながら3連敗という結果に終わりました。この間は0得点7失点と数字のみをみますと散々なものともいえそうなのですが、攻守一体という観点でチームを観察すると、やはり攻撃面に課題を抱えているように感じます。

一方で、順位はプレーオフ圏の5位をキープしています。
北九州が撃破した富山が、その後3勝1分と再び上昇気流に乗った点を除けば、大宮を除いた上位陣は軒並み低調な試合運びが続いており(今治でさえも今節はドロー)、かつ7位以下グループからも目立つほどの突き上げはなく、リーグは再び大混戦状態へと突入しています。

J3第28節 大宮-北九州 メンバー

メンバーです。

北九州は(6)藤原健介が累積警告による出場停止。CHには(14)井澤春輝が先発で入ります。そしてRSHに(17)岡野凛平が入り、OMFに(20)矢田旭が入りました。
最近RSHでの先発が続いていた(29)高昇辰はサブに回ります。
そしてRSBには7試合ぶりに(23)坂本翔が復帰、(22)山脇樺織はベンチスタートとなりました。
ベンチにはFW(16)大森真吾も控えます。ホームでの対戦で値千金の同点ゴールを決めた(11)喜山康平も久々にメンバー入りしました。

2.レビュー

(1)誤算であった前半の失点

大宮はいつもどおりピッチを幅広く使い、サイドチェンジを多用。
北九州の陣形を間延びさせる、北九州の最終ラインを引き出すというよりは、北九州のプレッシャーを受けずに正確に効果的なクロスをボックス内に供給することに注力しているようにみえました。
北九州も最終ラインの堅さは折り紙つきですので、当初は中でしっかり跳ね返していましたが、このクロスの供給先が徐々に北九州の2CB(50)杉山耕二や(13)工藤孝汰を外してSBやゴール脇の狭いスペースへと変化してきます。
またセカンドボールの読みも良く、徐々に二次攻撃も目立ってきます。
30分を過ぎてからは、ボックス内でのダイレクトの繋ぎが決定機となる場面も増え始めましたが、北九州はしっかり最後をやらせていなかったともいえます。

一方、攻撃はGK(27)田中悠也からの飛距離が出るゴールキックからのセカンド回収、そして大宮の外から中を狙ったボールのインターセプトを起点にCF(10)永井龍に素早く当てる形と、ショートパスの交換による縦への推進が中心となります。全体的には大宮に保持されますが、定期的に大宮陣内の深い位置にも進入、CKも獲りますが、なかなかフィニッシュに至りません。フィニッシュに至ってもその精度を欠く場面が続きました。

それでも北九州のメンバー構成を考えると、勝負は後半にあったと思われます。大宮の精度の高いクロス、フィードを跳ね返しながら、粘り強くチャンスをつくり続け、ワンチャンスを仕留める、そのようなゲームプランであったと思います。

北九州は17分に先発の(23)坂本が脳震盪で(22)山脇と途中交代するアクシデントはありましたが、あと数分で第一関門である前半を無失点で終えられるというところまで来ていました。

北九州サイドとしては心苦しい場面になりますが、あえて動画もアップしようと思います。北九州CKを大宮がクリア、そのこぼれ球を(22)山脇が二次攻撃に繋げようとしたところ、トラップが流れたところを大宮CF(90)オリオラ・サンデーに奪われ、一気にゴール前まで運ばれます。(90)O.サンデーのシュートをGK(27)田中が一度はセーブしますが、後方から走り込んでいたLWB(14)泉柊椰に決められてしまいました。

(22)山脇のちょっとしたミスからの失点でしたが、(17)岡野のCKの先にも北九州の選手が誰もおらず、大宮DFに難なくクリアされてしまったことがきっかけになっていました。

攻撃をやり切れなかったことがダイレクトに失点に繋がったといえます。

(2)決して怯むことはなかった後半

しかし、この試合の北九州はこの前半の失点で怯みませんでした。結果的に2失点はしてしまいましたが、それは前がかりになったからで、後半は前向きなチャレンジが出来ていたと思います。
北九州の反撃は(20)矢田に代わり(29)高昇辰を投入した57分からでした。大宮のブロックは変わらず強固でしたが、(29)高昇辰をはじめ、CH(34)高吉正真や前半に手痛いミスを犯した(22)山脇が汚名返上とばかりに枠内へとシュートを放ちます。

特に62分の大宮陣内左からのスローインからスタートした北九州の攻撃は5-4-1の大宮ブロックを相手に(14)井澤がサイドチェンジし、最終ラインと中盤のライン間で細やかなパス交換を行うことで、しっかり大宮のブロックを揺さぶりシュート、二次攻撃もやり切った縦と横の揺さぶりを交えた素晴らしい攻撃でした。

この直後の63分、(22)山脇のシュートに結びついた攻撃もピッチを縦、左右にテンポよくパス交換を行った末のもので、大宮が退き気味であったことを差し引いても、大宮以外の他のチームであれば十分得点に直結するものであったと考えます。

ただ、大宮はセットプレー、そしてカウンターを異常なほどの高い精度で決め切ってしまいます。
岡山サポでもある筆者としては、攻守共にゴールの局面を徹底して磨いている大宮のサッカーからは、岡山の元監督でもある長澤徹監督らしいチームであると感じる部分はやはりあります。

(3)磨くべきものは?

同じカテゴリーにいながら、大宮が学びの対象というのは悔しい部分もあるのですが、北九州としては学ぶべきものが多い試合になったと思います。
クロス、シュートの個別の精度、ここは選手に頑張って向上してもらうしかないのですが、少々気になりましたのが、セットプレーでの出し手と受け手の意図があってない点です。人にピンポイントに当てるのか、それともスペースに蹴るのか、この辺りがはっきりしていないと感じるシーンがいくつかありました。この点はコミュニケーションで解決できる部分です。

大宮の守備ブロックの崩しについては各選手勇敢にやれていたと思います。やはり狭いエリアでのボールの出し受けについては技術的に自信を持っている選手が多いと感じました。

一方でカウンターに移行出来そうな場面でなかなか速攻に入れない、スピード不足の点も同時に感じました。これは非保持時に5バックに可変するチームに対しては重要と感じます。つまり相手の両WBが戻らないうちに相手の3CB脇にシンプルに落とす攻撃もこれから磨いていく必要があると感じました。大きな展開を使えないという点では(6)藤原の不在は痛かったのかもしれません。

3.まとめ

以上、簡単ではありましたが大宮戦を振り返りました。
実は筆者はこういうチームとの対戦を記事にするのが苦手です。
結局、決める、決められないというゴール前の話に集約されがちだからです。
しかし、この試合ではスコア以上に良かったところも北九州にはありました。
ですので、そこは楽観もせず悲観もせずにチームには今後の戦いに繋げてほしいと思います。
せっかくの昇格争いです。粘り強くモノにしてほしいです。

今回もお読みいただきありがとうございました!

※敬称略

【自己紹介】
雉球応援人(きじたまおうえんびと)
岡山のサッカー好き社会保険労務士
日常に追われる日々を送っている。

JFL時代2008シーズンからのファジアーノ岡山サポ。
得点で喜び、失点で悲しむ、単純明快なサポーターであったが、ある日「ボランチが落ちてくる」の意味が分からなかったことをきっかけに戦術に興味を持ちだす。

2018シーズン後半戦の得点力不足は自身にとっても「修行」であったが、この頃の観戦経験が現在のサッカー観に繋がっている。
レビュアー3年目に突入。今年こそ歓喜の場を描きたい。

北九州大学(現:北九州市立大学)法学部出身
北九州は第二の故郷ということもあり、今シーズンからギラヴァンツ北九州もミニレビュー作成という形で追いかける。

鉄道旅(独り乗り鉄)をこよなく愛する叙情派。

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