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【向日葵は枯れていない!第2章】45.ギラヴァンツ北九州 マッチレビュー ~ 第3節 vs FC岐阜 ~
三寒四温と呼ばれる、今の季節を象徴するような暖かい気候の中で行われた今シーズン初のアウェイ戦は逆転負け。
ギラヴァンツ北九州は今シーズン2戦目で初黒星を喫しました。
優勝、J2昇格を明確に目指すチームとしては、許容できる敗戦数にも限りはありますが、この時期に関しては実戦の中で収穫と課題の双方を抽出していかなくてはなりません。
そういう意味では来週のホーム戦に向けて改善するべき課題が見つかった試合になったと思います。
早速、振り返りましょう。
1.試合結果&メンバー
対戦相手の岐阜も有力なJ2昇格候補といえます。
大島監督が就任し、ポゼッションとサイド攻撃を鍛えてきました。
そのスタイルを明確に表現した開幕からの2戦はチャンスはつくれているものの、決定力不足を露呈。1分1敗のスタートとなりました。
3戦目、ここで負けるようでは期待されながらも結果を残せなかった近年と同様にチームに暗雲が立ち込める可能性もあったと推察します。
勝利に向けた必死さが画面を通しても伝わってきました。
対する北九州は岐阜のサイド攻撃から自陣深くに攻め込まれ、また攻撃の際には岐阜の4-4ローブロックを崩すのに苦労していましたが、17分見事なロングカウンターから先制、岐阜のビルドアップにも一定の規制はかけられていましたが、序盤から攻守が目まぐるしく入れ替わる展開が続き、21.8℃の気温の影響も合いまり、選手は徐々に消耗していきます。
そして後半序盤50分、岐阜左からのクロスのクリアが小さくなったところをファーに差し込まれ同点、更に58分には岐阜右サイド浅い位置からのクロスを再びファーに送られ逆転を許します。
徐々に走れなくなった北九州は選手交代とシステム変更により岐阜ゴールに迫りますが、決め手を欠き敗れました。
メンバーです。
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北九州は前節からCH(14)井澤春輝に代えて新加入(32)高柳郁弥が初先発を果たします。前節で負傷退場したMF(17)岡野凛平、DF(76)坂本稀吏也はメンバー外となりました。彼らに代わって出場したRSB(23)坂本翔、RSH(29)高昇辰がそのまま今節のスタメンにも名を連ねました。
また、DF(6)星広大、(50)杉山耕二、MF(7)平原隆暉が初めて今シーズン初めて交代要員としてメンバー入りしました。
岐阜で目立ったのは主将MF(10)山田直輝のメンバー外です。トップ下には(16)西谷亮が入ります。
2.レビュー
(1)岐阜優勢の理由
序盤からお互いに対角のロングボールを多用した試合運びを見せます。北九州は左サイドにLSB(22)山脇樺織を走らせることで、そして岐阜はLWG(39)泉澤仁に収めさせ、前線にポイントをつくろうとしていました。岐阜はもう少し最終ラインから繋いでくると予想していましたが、案外ロングボールが多かった印象です。
理由としては、北九州前線からのハイプレスを確実に回避したい、そして前半途中の岐阜のビルドアップを見た限り、まだかなり危うさがある感じも見受けられましたので、やはり自陣でのミスを恐れてのことであったと推察します。
実はこのロングボールの応酬により、試合序盤から激しいトランジションの連続となり特に北九州の選手たちの体力を予想以上に消耗させたものと考えます。この点が後半の試合運びに影響してくるのですが、その点は後ほど考えます。
このロングボールの応酬で優位に立ったのは岐阜でした。
これは北九州と異なり岐阜のウィングはサイドに張るポジショニングが明確化されており、ロングボールの的として有効であったことが考えられます。
対する北九州は、SHが中に絞り気味のポジションをとることから、的というよりは、(22)山脇やRSH(21)牛之濱拓が走り込むであろうスペースへの配球が中心になるからです。
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この(39)泉澤と内レーンを走るLSB(55)外山凌への対応を(23)坂本をメインに(29)高昇辰と連係して行う場面が目立ったのですが、これが上手くやれている場面とそうでない場面が混在していたように思います。具体的には2人で岐阜のサイドのボールホルダーにいってしまい、どちらか一人をフリーにしてしまうというケースです。もちろん獲り切るつもりであったなら全然良いのですが、少々ちぐはぐさを感じたプレーもありました。おそらくこの点は(17)岡野の不在が響いているものと思います。
(23)坂本は(39)泉澤のスピードにはよく付いていけてましたし、外山へのスライドについてもスムーズに対応出来ていたように見えました。
しかし、クロスへの対応に関しては、足は出すものの引っ掛ける、またクロスの軌道を狂わせることは出来ていなかったと思います。
試合序盤から北九州ボックス内には精度が高いクロスが供給され続けます。
(2)北九州の攻撃
しかし、岐阜は前2戦同様に決定力不足に苦しみ、また北九州も2CBを中心に最後をやらさない守備で対応、序盤の失点は免れます。
自陣深くでボールを奪取した北九州は、ロングボールやOMF(99)樺山諒乃介のドリブルなどで前進を図ります。
対する岐阜は北九州陣内での即時奪還よりも、自陣でのブロック形成を優先していたように見えました。
北九州の攻撃が決して遅かった訳ではありませんが、非常に素早く4-4-2のローブロックを形成していました。
北九州も岐阜の守備ブロックの堅さは警戒していたと思います。
中央からではなく、サイド攻撃によりこじ開けようとしますが、サイドに流れた(99)樺山とSB、SHの呼吸が合わず、ボックス内までボールを送れません。いわゆる3人目の動き出しが不足していました。この点は開幕戦から続く課題でもあります。
またクロスも4-4の密集地帯に並行に送るものが多く、岐阜のブロックに跳ね返されるシーンが多かったといえます。
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北九州としては、岐阜が4-4ブロックをつくる前に攻め切る必要が出てくる訳です。
岐阜の両SBが上がり、サイドへパスが出されたところを狙い、素早くフィードをCB脇に落とすカウンターを仕掛けたい。
— 雉球応援人 (@trainfootball44) March 1, 2025
守備に関しては泉澤をどう抑えるかがポイントでしょうか。#ギラヴァンツ北九州
そういう意味では、岐阜の守備陣形が整う前に攻め切った素晴らしい先制点であったと思います。
🟡Today's Highlight ①🔴#坂本翔 選手、今シーズン初ゴール⚽️🔥
— ギラヴァンツ北九州 オフィシャル (@Giravanz_staff) March 1, 2025
サイドバックでの出場ながら見事なゴールでした💪✨#ギラヴァンツ北九州 pic.twitter.com/XW8rCtWxfH
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まずCF(10)永井龍の位置を見ていた(32)高柳の視野の広さが素晴らしかったです。ピンポイントで高精度のフィード、そして(21)牛之濱、(29)高昇辰、(23)坂本の3人がよく走ったと思います。岐阜も3人に走られると途中で潰すことも出来ず、ただゴール前に戻るのみとなっていました。
しかし、この先制ゴールが更なる岐阜の攻勢の呼び水になってしまったように感じました。
北九州は4-4-2ブロックで構えながらも、ショートカウンターを狙って前線からのプレスを仕掛けますが、岐阜のビルドアップに掻い潜られるシーンも散見されました。例えば33分8秒~のシーンです。
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(99)樺山、(29)高昇辰、CH(34)高吉正真の3人が続々とプレスにいくも全員剥がされてしまうというシーンでした。そして岐阜トップ下の(16)西谷がサイドに張ったままの(39)泉澤を囮に一気にPA内まで進入します。
おそらくこのシーンは誘導のプレスではなく、全員が奪いにいく勝負のプレスであったため、ブロックを崩してまで前に行ったものと思いますが、1点リードの状況でしたので、ブロックを維持しても良いようにも思えました。そう思う一方で、サイドに誘導しても(39)泉澤がいることを考えると判断難しい時間帯であったと思います。
それでも北九州は岐阜優勢の流れに耐え1点リードで折り返します。
(3)弱点が露わになった後半
決して気を抜いているように見える後半立ち上がりではありませんでした。
しかし、ハイプレスが掛からない、(39)泉澤に簡単にクロスを上げさせている、前半から見られた現象がそのまま続き、ついに失点に繋がったということであると思います。
失点シーンそのものは、ボックスの中で明確にクリア出来ずという面があり、ここは増本監督が開幕戦でも指摘していた部分かもしれません(GOINSIDEより)。実況はファーのスペースが空いている点を指摘していました。(23)坂本が(39)泉澤のクロス対応を行った後に最終ラインのカバーに戻るべきであったのかもしれません。
実はこの失点後の50分過ぎから北九州は一時自分たちでボールを保持しようと試みます。これは良いチャレンジであったと思います。その中心になっていたのが(32)高柳でしたが、もっと彼に預けても良かったかもしれません。結果的にはこのポゼッションのチャレンジは長い時間は続かず、疲労が顕著になった前線を交代させようとしていた矢先の更なる失点は痛恨といえます。
このシーンはもう図解はしませんが、やはり(23)坂本のファーへのカバーが遅れているように見えました。おそらく(39)泉澤が気になっていたのかと推測します。
試合後の(16)西谷のインタビューによると、クロスに対して北九州のファーにカバーがいない点がスカウティングされていたようです。
前半を観た限り、そうしたシーンは見つけられなかったのですが、北九州が守備ベースのチームとして構築されていることを踏まえても早急に修正してほしい点です。
FW(18)渡邉颯太、MF(7)平原隆暉の交代起用で勝ち越しを狙う青写真が狂ってしまった北九州でしたが、同点に追いつくために(7)平原をボランチに起用した点は面白い試みと感じました。
まず彼にボールが入ったところを岐阜に狙わせることで岐阜のブロックを引き出せる。そして技術が高いので2~3人に囲まれてもボールを散らすことが出来る。更にはリズムに乗ったボールを出すことが出来る。
終盤は彼が北九州の中盤の起点になれていたと思います。
残念ながら一列前に上がった(32)高柳のアイデアは不発でしたが、北九州は最後まで岐阜ゴールに迫りました。ラストパスの精度、相手ボックス付近でのコンビネーションはまだまだこれからとの印象がこの試合でも残りました。
3.まとめ
以上、簡単にFC岐阜戦をまとめました。
また、映像、データ等を追加する可能性もあります。
結果的に(23)坂本のことばかり書いてしまったような気もしますが、彼の奮闘ぶりは認めるところです。彼自身も守備の課題には気づいているようですし、個の修正に加えて、チームとしての守備の修正に期待したいです。
更にクロスを簡単に上げさせない点や、ミドルプレスの掛け方、特に2列目が連動した際に簡単に交わされてしまっている点も修正点です。
攻撃に関しては、ポゼッションへのチャレンジはもう少し増やしていって良いかもしれません。ピッチ中央付近まではある程度持つことが出来ていましたが、我慢し切れず、準備が出来ていない前線にボールを送るシーンも散見されました。後は、ニアゾーン付近での3人目の動きは合わせていきたいところです。
一つずつ前向きにチャレンジしていきましょう。
今回もお読みいただきありがとうございました!
※敬称略
【自己紹介】
雉球応援人(きじたまおうえんびと)
J1ファジアーノ岡山、J3ギラヴァンツ北九州レビュアー
レビュー作成が趣味を超えてライフワークになりつつある。
昨シーズンは岡山悲願のJ1初昇格のゲームを記すことが出来た。
今シーズンも初のJ1の舞台となる岡山、念願のJ2復帰へ向けて勝負に撃って出る北九州の戦いぶりを追っていく。
日々勉強、分析、解析、解釈、更に磨いていきたい。
岡山在住の開業社労士。今年も日常に追われるが、アウェイ遠征で鉄道旅を楽しみたい。2000年前後に北九州(市立)大学に在学。北九州は第2の故郷、未だに愛着は消えない。