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【ファジサポ日誌】130.空転の原因~第34節 ヴァンフォーレ甲府 vs ファジアーノ岡山 ~

今節のような消化が難しい敗戦を目の当たりにした時のレビュー作成は非常に難しいのですが、映像を通しても伝わってきたビハインド状況下での選手のプレーや目力からは、誰よりも強い悔しさを感じました。

となれば、サポーターの一人として、引き続き前を向かなくてはなりません。今こそ弱音を吐いてはならない、今こそが闘いであるのです。

サポーターも、選手も、監督も、筆者も、もっともがけばいい、苦しめばいい。その先にJ1が見えてくればいい。

振り返ります。

1.試合結果&メンバー

現在14位(試合前順位)の甲府を相手にボールを握られ続け、後半ミスをきっかけに立て続けに3失点。その後、セットプレーからCB(18)田上大地のゴールで一矢を報いましたが、痛い完敗を喫しました。
同時刻開催となった千葉は群馬に1-0の勝利、勝点が55で並び、得失点の差で千葉に交わされ、岡山は5位に後退しました(10/5時点)。
今日の仙台の結果次第では6位まで後退する可能性もあります。
ここで来週J2がお休みになるのは、岡山にとって幸運といえるのかもしれません。次のホームいわき戦が勝負になります。

J2第34節 甲府-岡山 メンバー

メンバーです。

岡山は前節長崎戦からサブも含めて変更がありませんでした。
おそらく何人かの離脱者も戻ってきていますが、今節がアウェイということで出場を控えた、そして前節長崎戦勝利の流れをそのまま持ち込みたかったのではないかと推察しました。

最近はずっと3バックであった甲府が前節で4バックを採用していましたので、その出方も注目されましたが、「基本」システムは3-4-2-1でした。「基本」としたのはご存知のように可変していたからなのですが、この点がこの試合の大きなポイントになったと思います。

後ほど触れます。

2.レビュー

J2第34節 甲府-岡山 時間帯別攻勢・守勢分布図

まず試合展開全体を述べますと、甲府に押し込まれる時間が長く続いたことがよくわかります。岡山は前半、自陣で5-4ブロックを敷いている間の守備は堅かったのですが、甲府のクロス、フィニッシュの精度が良ければ失点という場面もあり、そうした戦況に対する危機感はチームにあったものと推察します。
よって、後半開始からRST(39)早川隼平に代えて好調(33)神谷優太を投入。早速、最初の5分で攻勢に転じるのですが、ここで獲り切れず再び甲府ペースに。そしてミスから連続失点、ゲームを自ら困難なものにしてしまいました。

(1)なぜ甲府のビルドアップに制限を掛けられなかったのか?

今節の論点のほとんどがここに尽きるのかなと思います。
そのように筆者が考える理由には前節長崎戦からの流れがあります。

一方で、今回の長崎は少々特殊であったとも思いました。
(中略)
岡山としては4バック、両サイドバックが上がるビルドアップを行う長崎との相性が良かったという面もあり、今後3バックのチームと対戦する際はまた今回とは異なるプレス方法も検討しなくてはなりません。

【ファジサポ日誌】129.特殊な戦い~第33節 ファジアーノ岡山 vs V・ファーレン長崎 マッチレビュー~より

筆者は前節を「特殊な戦い」と表現したのですが、その理由の一つが岡山の前線からのプレスに対して、長崎がほぼその対策、修正を施さずに試合を続けていたことにありました。
よって、今後の岡山の課題として、岡山の1トップ+2シャドー(3トップ)と相手最終ラインが同数、または数的不利となった際のプレスに在り方について指摘しました。

岡山が決して無策であったとは思いません。
今節に関しては、まず甲府の出方を予想しにくかったと思います。

最近の甲府は試合ごとにシステムもメンバーも細かく変わっていました。
大塚監督が就任して以降、各試合ごとにテーマがあり試していることがある。そんな印象です。
甲府といえば、強度高く守り、縦に速攻というサッカーが代名詞ですが、大塚監督就任以降、後方からのビルドアップによる保持にも取り組んでいる様子が伝わってきました。ただその具体的方法について思考錯誤といった雰囲気も強かったです。

まず、岡山としてはこの試合における甲府の出方を見極める必要があり、実際に見極めようとしていたと思います。前半途中で愛澤コーチが木山監督の横にいるシーンがありましたが、おそらくCF(99)ルカオに何らかの修正を指示していたものと思われます。

しかし、この相手の様子をみていた時点で、ここ何試合か行えていた序盤に相手を押し込むことが出来なくなっていました。地味な論点ではありますが、岡山が試合全体においてリズムに乗れなかった遠因であったと考えます。

それでは甲府のビルドアップを具体的にみていきます。
試合序盤に甲府のやりたいことがよく表現されていたと思いました。
実況、解説ではCH(26)佐藤和弘の役割についてよく触れられていましたが、おそらく彼のみがポイントではないと筆者は感じました。

J2第34節 甲府-岡山 30秒~47秒の甲府のボール運び

開始すぐ、甲府ボールになってからのシーンなのですが、まず岡山の前線3枚に対して、甲府はWBが一枚下りて4枚の数的優位をつくってビルドアップを開始しました。
お互い基本システムは3-4-2-1で表示されていましたが、甲府は明らかに「ミラーゲーム」を避けて積極的に「ズレ」をつくる意思を示していたといえます。

岡山はビルドアップの中継点になりそうな(26)佐藤に(99)ルカオをつけました。これは事前に決まっていたことなのであったと思います。ひとまず岡山はボールホルダーに対してプレスを掛けますが、甲府は無理に繋ぐ、または前へ蹴ろうとはせずに後方へ戻します。そして最終的にGK(88)渋谷飛翔まで戻して前方へ蹴り出すのですが、非常に奥行きをとった各DFのポジションが特長的でした。(99)ルカオにしても、LST(19)岩渕弘人にしても長い距離を走ってプレスにいかなくてはなりません。
(99)ルカオがプレスに出た際には(39)早川が(26)佐藤にスライドしていたと思います。

(88)渋谷から前線に蹴り出されたボールを岡山LCB(43)鈴木喜丈が跳ね返し、これをCH(7)竹内涼がバックヘッドで前線に繋ごうとしますが、前線から全速力で戻った(19)岩渕には繋がらず、甲府(26)佐藤に回収されてしまいます。

甲府のねらいが出ていたと思います。前からくる岡山を走らせてロングボールで岡山陣内に送り込みそのセカンドを回収し、岡山陣内に押し込むというやり方です。岡山の前線3枚を疲弊させ、かつ相手陣内でボールを持つ一石二鳥の策といえます。

岡山陣内でのセカンド回収が目的ですので、CF(9)三平和司が下がって岡山の2CHに対して数的優位をつくれている点も見逃せません。

このようなボール運びを設計すると、甲府の陣形も間延びするのですが、甲府はそもそもがコンパクトな陣形にこだわるサッカーをしていなかったと思われます。奥行きを取り、幅を使うことに抵抗はないのです。

この後の展開を先に述べますと、相手4枚のビルドアップに対して岡山はWBのいずれかが前に出れば、甲府と数的同数をつくれるのですが、RWB(15)本山遥は外に張る甲府LST(51)アダイウトンを見なくてはならず、LWB(17)末吉塁も高い位置をとる甲府RWB(24)飯田貴敬を見る必要があり、安易に前線にプレスにいけません。この配置も甲府側が意識したものと考えます。

また前半の甲府のロングボールは(17)末吉の左サイドを中心に送られており、岡山の攻撃の強みを発揮しづらい状況が序盤からつくられてしまっていました。
時間帯別パスネットワーク図(SPORTERIAより)からそうした様子が伝わってくるかと思います。

更に1分12秒~のシーンをみてみます。

J2第34節 甲府-岡山 1分12秒~

今度は甲府のビルドアップから岡山がボールを奪ったシーンです。
(19)岩渕の目線が甲府で1枚余るRCB(23)関口正大に向けられています。(99)ルカオがCB(16)林田晃也にプレス、(19)岩渕は(23)関口のパスコースを消し、(39)早川はLCB(21)ヘナト・アウグストをみます。
この時(26)佐藤がフリーになり、更にはRST(10)鳥海芳樹もボールを受けに下りてくるのですが、結果的に(99)ルカオや(19)岩渕が消す形になっていたと思います。
GK(88)渋谷は戻されたボールをCH(14)中山陸を目指してグラウンダーで蹴り出しますが、岡山CH(24)藤田息吹が甲府陣内でカット、岡山のチャンスに繋がりました。

この場面からは甲府もボールの出し手、受け手の意図がまだ合っていなかったといえ、ビルドアップのやり方を模索している様子が窺えました。
一方、岡山は3対4の数的不利ながらも甲府ボールホルダーの体の向きに合わせて、前線3枚がスムーズにスライド、甲府のビルドアップの制限方法への対応方法を見出したかのようにも見えたのです。

ところが、甲府は次の手を繰り出してきます。
今度は2分25秒からの場面です。

J2第34節 甲府-岡山 2分25秒~

まず(99)ルカオがGK(88)渋谷に戻されたボールに引き出されるのですが、甲府CB(16)林田が自身で持ち上がりラインを上げます。
まず、この動きで(99)ルカオが無効化されています。
(99)ルカオはプレスバックで(26)佐藤のマークにつきますが、ここで下りてきたのが先ほどのシーンでも顔を出していた(10)鳥海で、図示のようなパスワークから前進、こちらも一列下りてきた(9)三平の力も借りて右サイドに展開、クロスから決定機をつくります。

この序盤の5分にも満たない時間で、甲府は徹底して岡山前線3枚のプレスを人数を後ろに割きながら無効化することに注力しているのです。

これまでの甲府の弱点は縦の「速さ」にこだわることにより、前線の体制が整ってないうちにボールを蹴り出してしまう傾向があったように見えました。その無理をこの日サブスタートのCF(99)ピーター・ウタカの驚異的なキープ力でカバーしていたと思うのですが、この試合では保持時の縦へのスピードを活かしながら、自陣で自分たちの時間をつくり、守備を安定と繰り返しになりますが、相手プレスへの対策を図っていたのです。

またこの日の甲府の最終ライン、(16)林田、(21)R.アウグストも本職はボランチの選手であり、デュエルとボール扱いには定評があります。甲府のCBでは(3)孫大河も前節まで起用されていましたが、フィードにやや難がある弱点をみせており、ここはしっかり代えてきていました。

こうなると岡山としては前線からのプレスは掛けにくくなります。

それにしても、この間の水戸戦もそうでしたが、相手のねらい目と思われる選手(※あくまでも筆者目線)を悉く代えられています。
対戦相手にかなり本気で対策をされていることは間違いないです。

このやり方から筆者には、ピッチを広く使うという意味で昨シーズンのアウェイ千葉戦、後ろでしっかりした数的優位をつくるという点では昨シーズンの群馬戦や今シーズンのホーム山口戦を想起させるものがあり、いずれも楽な戦いでなかったという点では、岡山が苦手としているやり方なのだろうと感じています。

実に序盤の岡山のボール支配率は29%と完全に甲府にボールを握られてしまいますが、甲府が後方にエネルギーを割いている分、岡山が自陣深くでボールを奪った際の甲府のプレッシャーは人数、連動性共に不足しており、RCB(4)阿部海大や(7)竹内の持ち上がりにより甲府陣内へ容易に進入出来ていた時間帯もありました。

しかし、いつものことになってしまいますが、シュートを至近距離にいる対面の相手に当ててしまう。ボックス内外での精度を欠いたことで得点を生むことができません。

しかし、こうしている間にも、岡山はなかなか甲府のビルドアップに対する有効的な手当てを見い出せず、岡山の前線3枚は前方へとプレスするものの空転、甲府のロングボールを警戒した最終ラインは下がり、岡山の陣形も間延びしていくのです。陣形が間延びすると、中盤でセカンドを拾えなくなります。構造は若干異なりますが、先日のホーム秋田戦に似たような流れになるのです。岡山は最終ラインの堅さにより前半を無失点で終えたという全体の流れであったと思います。

(2)神谷投入の効果

そこで岡山は後半開始から(39)早川に代えてMF(33)神谷優太を入れてきます。
(33)神谷はシャドーというよりは前線とCHのちょうど中間のような立ち位置からサイド等、その状況によって必要な場所をサポートします。
いわゆる「リンクマン」と呼べる役割を後半開始早々から果たしてくれました。
惜しくも得点には繋がりませんでしたが、47分30秒の決定機は得点力不足に悩む岡山のヒントになる動きが含まれていました。

J2第34節 甲府-岡山 47分30秒 (33)神谷の決定機

セットプレーからの二次攻撃ということもあり(4)阿部もボックス内に残っています。(15)本山がボックス前を横にドリブル、これは岡山としてはよくあるプレーで中に差せずにボックス周囲で時間を掛けてしまうことも多いのですが、ここでボールを受けた(33)神谷のポジションがしっかり甲府ブロックの間を取れている点が大きいのです。
よって(33)神谷の前にはプレースペースが出来ています。ここにダイレクトで(4)阿部に出した点も大きく、甲府守備陣の視線が(4)阿部や(99)ルカオへと集中することにより(33)神谷に再び前進するスペースが生まれています。このスペースに勢いを持って走り込むことで、そこまで足を振らなくてもシュートに至っています。

小森のゴールシーンをみていると彼に獲らせるために他のメンバーがお膳立てをした跡がみえるゴールも結構あります。今節は愛媛戦でしたが、勝ち越しゴールとなった2点目はこぼれ球をミート出来たことが良かったと思うのですが、周囲の選手が愛媛の最終ラインを引きつけて少しラインを下げさせている。そして少し後方に構えた小森に足を振るスペースが出来ていたの大きいと思いました。

岡山の場合、少しずつ改善はされていますが、ボックスに入る人数が重視されているので、みんなが同じようにゴール前で直線上に構えているシーンも多くみられます。

【ファジサポ日誌】129.特殊な戦い~第33節 ファジアーノ岡山 vs V・ファーレン長崎 マッチレビュー~より

前節のレビューで千葉の小森の話題を出しましたが、この岡山の決定機の形には、フィニッシュに至る「スペース」がつくられていたのです。
ですので、このシーンは岡山としては非常に大事にしてほしいと感じました。プレー自体は(33)神谷のアイデアによるところが大きいのかもしれませんが、相手の人数をかけた守備ブロックを破るヒントが隠されていると感じました。

実はこのプレー、ボックスへの進入位置は異なりますが、アウェイ群馬戦でのガブリエル・シャビエルのゴールにも同様の要素が詰まっています。

いかにゴール前で縦のプレースペースをつくるかということです。

こうしたプレーが(39)早川にも出来ると筆者はみているのですが、今の(39)早川はチームコンセプトの「速い」に囚われ過ぎている印象もあります。とにかく前に張りついて、相手DFの状況に関わらずシュートを撃ってしまい、至近距離で相手にぶつけ、相手のカウンターに移行してしまっています。チームからの指示もあるのかもしれませんが、(33)神谷をお手本に(39)早川の個性が活きるプレーの復活に期待したいです。

最近の試合では(33)神谷投入の効果がもう少し長く続くのですが、岡山は開始当初の良い時間帯に甲府陣内でのロストが何度か続き、再び甲府に押される展開が続きます。

(3)岡山のミスの背景

GK(49)スベンド・ブローダーセンのゴールキックは自陣右サイドに張る(15)本山を狙うもので、おそらく右足で蹴るとゴールを空けてしまう、またはキックが強くなりラインアウトしてしまうという見立てから、利き足でない左足のキックを選択させたものと推測します。

しかし、このプレー選択の背景には(33)神谷投入後も得点をなかなか奪えない焦り、普通のゴールキックからセカンドを奪えない現状、とはいえグラウンダーのパスを使ったビルドアップは不得手にしているといった背景があったのかもしれません。確実に(15)本山に繋ぎ、相手陣内でのボール保持に貢献したいとの強い意欲が裏目に出たものと解釈します。

仮にそうだとすれば、そんなに焦る必要はなかったのですが、長崎戦後に(18)田上が述べていた「1点獲れれば勝てる」という言葉には90分かけて1点獲れれば良い、90分で1点獲るのが精一杯かもしれないというチーム共通の不安の裏返しもあるのかもしれません。

その大前提となる「堅守」において痛恨の綻びをみせてしまった。
他チームであれば、十分切り換えられる失点なのかもしれませんが、クリーンシート18試合を数える岡山にとっては非常にショックな失点であったのでしょう。その後の(4)阿部の縦への視野を切るミスから2失点目へと繋がってしまいました。
このシーンも、岡山は最終ラインでパスを回しています。映像ではわかりませんが、おそらく前方にパスを出す先がなかったものと思われます。

先に失点をした後の岡山の悪癖は前線の選手が焦って闇雲に前に行ってしまう、最終ラインは更なる失点を怖がってラインを下げてしまい、チーム全体がバラバラになることです。

2失点後の岡山に関しては、最悪の展開となったこの後を如何に振る舞うかが大事になったのです。

2点の先行を許した岡山は、(19)岩渕に代えてCF(11)太田龍之介、(4)阿部に代えてDFレフティ(2)高木友也を投入します。
(17)末吉を右に回して、4-4-2にシステムを変更しました。

この手が果たしてどうであったのかという感想は正直なところ持っています。やはり防がなくてはならないのが、チームがバラバラになること、前後方の距離感の補正、または補正できないのであれば「運び役」をもう1人入れることにあったと考えます。

得点を獲るために、前線の枚数を増やすよりは運び役を増やした方が効果的という考え方です。また今シーズンの実戦であまり試していない4-4-2をここでいきなりやるのは更に守備リスクを高めることになる懸念もあると感じました。

(11)太田よりも先に相手最終ラインを下げさせ、かつロングボールのターゲットにもなれるMF(27)木村太哉の投入の方が先ではないかと、素人考えながら感じました。

実際のところ横に揺さぶられ3失点目を先に献上、岡山が後方でボールを持っても(11)太田と(99)ルカオは2人とも前線に張りついており動き出しに乏しかったことから、岡山はなかなか苦境を打開できません。

しかし、岡山が一矢を報いた78分の(18)田上のゴールに繋がったCKは(11)太田が甲府ブロックのライン間に下りて受けたプレーが起点になっていました。この場面からは(11)太田の修正能力の高さをも感じさせました。

先ほど交代策について私見を述べましたが、2点差がついた段階で、ひょっとしたら木山監督に1週間のブランクを挟んだ最終盤残り4戦を見据えて、(11)太田を一定時間起用する、そして4-4-2を試すという考えが湧いたのかもしれません。現実の現場マネジメントはもっと深いものであるとも思うのです。

3.まとめ

以上、非常に厳しい結果となった甲府戦を振り返りました。
岡山が、リトリート的に人数を割いて守るスタイルのチームが苦手であることを改めて示してしまった一戦であると感じました。
そして、その根底には引いて守る相手を崩せない、得点力不足の現状があり、そのストレスを各選手が抱えている様子もよく伝わってきました。

しかし、(33)神谷が示したプレーは今後の岡山の攻撃において大きなヒントも与えてくれました。これを何とか個のアイデアに止めることなく、チームで共有してほしいものです。
前線からのプレスに関しては、これも個の力に頼ることになりますが(22)一美和成の復帰で大部分は解決できるものと考えます。
相手の守備ブロックを崩すことにも諦めずにチャレンジしてほしいのですが、現状、岡山が得点できるチャンスは、後半オープンな展開になってからであるとも思います。(99)ルカオを切り札に起用する意味でも(22)一美の復帰は必須です。

この試合に関しては、前半の甲府のビルドアップに対してミドルブロックを敷く形などで構えて守る選択肢もあったと思いますが、岡山の選択は「自分たちの良さを出す」でした。もう少し融通が効けばとは、今シーズン何度も思うのですが、そこにも3-4-2-1に粘り強くチャレンジしてきたことによるチーム内での団結力を損ないたくないという木山監督のマネジメントもあるのかもしれません。

0-3の状況でも選手たちの目は死んでいないことが映像を通じても伝わってきました。チームのいかなる戦法がプラスに出ることをサポーターとしては願うしかありません。

※敬称略

【自己紹介】雉球応援人(きじたまおうえんびと)
地元のサッカー好き社会保険労務士
日常に追われる日々を送っている。

JFL時代2008シーズンからのファジアーノ岡山サポ。
得点で喜び、失点で悲しむ、単純明快なサポーターであったが、ある日「ボランチが落ちてくる」の意味が分からなかったことをきっかけに戦術に興味を持ちだす。
2018シーズン後半戦の得点力不足は自身にとっても「修行」であったが、この頃の観戦経験が現在のサッカー観に繋がっている。

レビュアー3年目に突入。今年こそ歓喜の場を描きたい。
鉄道旅(独り乗り鉄)をこよなく愛する叙情派。

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