見出し画像

【向日葵は枯れていない!第2章】43.開幕戦プレビュー ~ J3第2節 ギラヴァンツ北九州 vs AC長野パルセイロ ~

島原キャンプから新門司でのトレーニングを経て、いよいよ今シーズンが開幕するギラヴァンツ北九州。

筆者が個人的に素晴らしいと感じていたのは、公開練習の情報がほとんど漏れてこないことです。これはギラサポのネットリテラシーの高さを示すものといえ、シーズン終盤の勝負所では大きな強みになると筆者は考えます。

よって、開幕布陣も非常に予想しにくいのですが、増本監督への各種インタビュー(昨夜の『シマダノメ』を含む)や練習風景の画像等から推察してみたいと思います。

ご存知のようにJ3全体は先週開幕、今節が第2節となります。
北九州の相手は今も昨シーズンATでの失点を思い出す長野、過去の相性も非常に良くない相手なのですが、昨シーズンの悔しさや課題を克服するという意味では、良い対戦相手といえるかもしれません。

相手の長野は長年ロアッソ熊本のヘッドコーチを含めた藤本主税監督が就任、先週はアウェイでテゲバジャーロ宮崎と対戦し1-0で勝利しています。得点者はOMF(28)藤川虎太朗、2022シーズンに北九州でプレーした馴染み深い選手ですね。
新任監督が率いるチームですし、分析材料があるのは有り難いです。

では、早速両チームの予想メンバーをみてみましょう。

筆者の開幕戦予想メンバー

筆者は練習もトレーニングマッチも全然見ていませんので、全く自信がないのですが、北九州については3-4-2-1がメインシステム、オプションで昨シーズンの4-2-3-1ではないかと考えます。

昨シーズンからの変更を予想した理由は、一番には工藤孝太、乾貴哉の移籍があります。工藤の守備力あっての4バックであったという点と、4バックのSBとしてJ3では出色の攻撃力を誇った乾の退団を踏まえて、堅守は最終ラインの人数を増やすことで維持し、そして保持時にWBを高い位置に出すことでサイドからの攻撃力をカバーする以上に新たな色を加えていくという意図を込めました。

非保持時には両WBが下がる5バックで守る形になると思いますので、WBには豊富な運動量とスプリント能力が求められますが、こうした点で今シーズンは非常に有能な選手を複数人獲得出来ており、おそらく(22)山脇樺織らと激しいレギュラー争いが繰り広げられているのではないかと推察しています。

(17)岡野凛平のWB起用を予想したのは、シャドーやボランチ、サイドに流れたトップとのコンビネーションから中に入っていける効果をねらったものです。一方で前掛かりになった際の被カウンターは気になるところですが、RCBにこちらも新加入(13)東廉太を配し、彼の高い走力を武器にカバーさせるという考え方です。

藤原健介が抜けた分、中央からのボール運びは特に前半は少なくなるかもしれませんが、その分サイドからの突破は期待できると踏んでいます。
また、サブに(20)矢田旭や(28)木實快斗を加えたことで後半には中央からの味変にも期待するというイメージです。

GKは(27)田中悠也が急ピッチで復帰に向けた調整を進めているようですが、開幕戦は(41)杉本光希に託すのではないかと予想しました。(1)伊藤剛の可能性もあると予感しています(写真が多い)。

対戦相手の長野に関しては、宮崎戦をそのまま踏襲しました。
その宮崎戦では後半開始からLWG(15)樋口叶に代わり(10)山中麗央が入っていました。このポジションは変更があるかもしれません。

どうやら北九州はチームの仕上がりに良化の余地をかなり残す状況のようですが、開幕戦を観た限りでは長野も同様と感じました。

非常に「熊本味」がある3-3-1-3の配置ですが、熊本のようにボールに人数をかけて寄せていくというよりは攻撃と守備の配置と各選手の役割(攻守の責任範囲)の徹底をゲームを通じて叩き込んでいる真っ最中との印象が残りました。その分、アグレッシブさという点ではまだまだかもしれません。

宮崎戦での長野の攻守のポイントをいくつか述べてみたいと思います。
まずハイプレスですが、昨シーズンのホームでの対戦時のような「ガンガン」な感じではないです。しかし、最終ラインで行き場を失う、ベクトルを後方に向けた場面では瞬時に鋭いプレスが飛んできますので注意が必要です。
しかし、獲り切るというよりは蹴らすプレスであったという印象です。

長野としては蹴らせて中盤で回収したかったのかと思いますが、これは配置が特殊なせいか、各選手のポジショニングという点で上手くいっていない印象も残りました。

宮崎が長野陣内に進入すると、長野の素早い撤退が目立っていました。
宮崎の売りともいえる両SHにボールが入った際に両WGがついて行き、攻撃を遅らせることで、最終ラインで5バックを形成、状況によってはお馴染み、アンカー(47)加藤弘堅までもが最終ラインに戻り6バックを形成します。宮崎はこのローブロック攻略に最後まで苦しんでいました。
武颯が抜けて、前線のポイントが(11)橋本啓吾のみになってしまった影響もあったと思います。

宮崎戦での長野のローブロックへの移行

北九州としては、長野にこのローブロックはつくらせたくないところです。
ならばローブロックが形成される前に攻めることがまず第一選択となります。
先ほどハイプレスで相手に蹴らせる長野の守備について触れましたが、北九州としては最終ラインが「蹴らされる」のではなく「蹴る」ことでローブロックに移行する前の長野の中盤のスペースにしっかり落としたいところです。

北九州の長野に対する攻撃イメージ

実際に宮崎もこの形でチャンスをつくっているシーンがありました。

筆者が今シーズンの増本監督のコメントに共感している点があります。それは戦い方に柔軟性がありそうな点です。
池西SDは増本監督続投の理由のひとつに「ハイポゼッション&ハイインテンシティ」へのチャレンジを挙げていましたが、「シマダノメ」では(無料記事でしたので触れます)ハイポゼッションのみがサッカーではないともしています。
まさに上述したような攻撃を指すものと筆者はイメージしました。速攻が効果的な相手、シチュエーションはJ3では数多く出現します。

「ハイポゼッション&ハイインテンシティ」はある意味サッカーの究極であり、その高みを目指す姿勢は素晴らしいと感じていますが、J2に昇格するためのサッカーを考えた時に、ポゼッションが目的化されるような事態は避けなくてはならないのです。

逆にポゼッションが必要なシーンについて考えてみますと、長野戦に関しては長野陣内に進入するも、長野にローブロックを形成されたケースが想定されます。敵陣でボールを保持しながらしっかりパスを回す、そして長野の5バック(6バック)から一枚を吊り出し、その裏を狙う。
このような攻撃をイメージ出来ます。
ポゼッションをどこで高めるかというのは重要な視点で、以前の記事でも触れましたが、北九州の場合は敵陣でのポゼッションを高める必要はあるのです。

※敵陣ポゼッション向上の必要性についてはこちらの記事をどうぞ。
昇格チームの傾向からも向上の必要があると考えます。

最後に長野の攻撃のポイントについて触れます。
これは宮崎戦での得点シーンが最もわかりやすいといえます。

左ワイドに張って食いつかせて、中のスペースへ運び、また食いつかせて裏へと徐々にゴールへと迫ってくる形です。
宮崎戦では、ほぼこの形を狙った攻撃のみが有効であったように見えました。

総合すると北九州の右サイドと長野の左サイドの攻防が勝敗を決するということでしょうか。

もう当日になってしまいましたね。
そろそろ開幕戦に備えたい(眠りたい)と思います。

今回もお読みいただきありがとうございました!

※敬称略

【自己紹介】
雉球応援人(きじたまおうえんびと)
J1ファジアーノ岡山、J3ギラヴァンツ北九州レビュアー
レビュー作成が趣味を超えてライフワークになりつつある。

昨シーズンは岡山悲願のJ1初昇格のゲームを記すことが出来た。
今シーズンも初のJ1の舞台となる岡山、念願のJ2復帰へ向けて勝負に撃って出る北九州の戦いぶりを追っていく。

日々勉強、分析、解析、解釈、更に磨いていきたい。

岡山在住の開業社労士。今年も日常に追われるが、アウェイ遠征で鉄道旅を楽しみたい。2000年前後に北九州(市立)大学に在学。北九州は第2の故郷、未だに愛着は消えない。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集