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楽園のカンヴァス 原田マハさん

赤い羽織ものと
緑のパンツ

その赤の色味と
その緑の具合が

どちらも遠慮なく濃くて
ふっと
ゴーギャンのあの絵の色のようだ



襟を立てた薄手のジャケットを着た女性

ほっそりとされていて

黒いお帽子はかぶっていないけど

ロートレックのあの絵のよう

食品の買い出しが済み
大型店の一階でエレベーターを待つ間
カートからはみ出て困る長ネギの角度を調節しながら
何だかいちいち有名な画家さんのお名前で
すれ違う人々をたとえてしまう

それは多分

「楽園のカンヴァス」原田マハさん
                新潮文庫

を読んでいる最中だったからなのです
          


ずーっと気になっていた本です

装丁の絵が
アンリ・ルソーの絵です
アンリ・ルソーの絵好きです

好きなら直ぐに読めばいいのに
どこかへそ曲がりな自分が時々素直な気持ちの
邪魔をしてしまうところがあります

でも、この夏noteのコメント欄で
「楽園のカンヴァス良いですよ」と言うお言葉と
「アンリ・ルソーの事もっと好きになりますよ」のお言葉に出会い

一変
やはりやはり?
面白いんじゃのう?
寝室やリビングに「未読本」があるのに
直ぐに読みたくなってしまい
心の声が突如強欲なお代官様のよう?になり‥

そして
この夏、「新潮の夏」で平積みになっている
「楽園のカンヴァス」を発見し
こころは
悪代官さまから
町娘その1のような軽やかさ
悪代官さまのズラをパーンッと外し‥

この先本の内容がもれてしまうかもです


カバー絵になっている「夢」と言う題名の絵
この絵に酷似した絵を日本人研究者の早川織絵と
キュレーターのティム・ブラウンが本物かどうか
ひもといていく美術ミステリーです

「アンリ・ルソー」
独学で絵を学び「日曜画家」と言われて
なかなか認められなかったというくらいしか知らない私
その不遇な感じが「ザ・画家」で良いななんて呑気に思っていたのですが

物語りの中でこんなにも酷い言われようだったのかと辛い気持ちになります

でも、日本人研究者の早川織絵が
遠近法のひとつも身につけていないアカデミズムとは無縁の「日曜画家」で
正式な美術教育を受けなかったという点は事実だが、ルソー独特の表現手法
はあるときから画家が「確信犯的に」選びとったものであると考え
あえて「稚拙な技術」「日曜画家」と言われ続ける技法で勝負したのではと
言われます

なるほど
なんと素敵な事でしょう

又、物語の中にピカソが登場して
アンリ・ルソーを認めており
「夢」の中に描かれているヤドヴィカという女性に
「あの人の女神になって永遠を生きればいい」と声をかけます
「アヴィニョンの娘たち」にはルソーの影響が?という説もあり
アンリ・ルソーを擁護するピカソがカッコ良いです


なんだか好きだなぁと感じる絵の事を
言語化するとこんなに素敵なのだなと感じた文章です

その場所にはいかなる不安も苦しみも貧しさもない
溢れ返る緑と咲き乱れる花々
頭上をかすめて飛び交う極彩色の鳥
ちょうちょうの羽ミツバチの羽音
どこからともなく聞こえてきては消え失せる獣たちのおたけび
こんもりとしげる枝のすきまをぬってこぼれおちる天上の光

「夢」について

著者の原田マハさんは
東京の森美術館の設立準備室に五年ほど勤められ
半年間MoMAに研修にいった体験があるそうです
こちらの「楽園のカンヴァス」の他にも
面白そうなアート小説があるようですね



昔、昔にみた「アンリ・ルソーとフランス素朴派の画家たち」
で購入した絵葉書です

アンリ・ルソー《サン=ニコラ河岸からとらえたサン=ルイ島の眺め、夕暮》


えっと‥ズラは何処かな?
ちゃんとお片付けしなくちゃ‥
町娘のお着物も畳んで‥


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めぐみティコさま💓 「ひとり羅生門方式風読書岡本家のお母様と太郎さん」を

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記事のご紹介もありがとうございました。


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