「ゴリラ裁判の日」感想

著者：須藤古都離（すどうことり）
ジャンル：フィクション

あらすじ

カメルーンで生まれたニシローランドゴリラ、名前はローズ。メス、というよりも女性といった方がいいだろう。ローズは人間に匹敵する知能を持ち、言葉を理解する。手話を使って人間と「会話」もできる。カメルーンで、オスゴリラと恋もし、破れる。厳しい自然の掟に巻き込まれ、大切な人も失う。運命に導かれ、ローズはアメリカの動物園で暮らすようになった。政治的なかけひきがいろいろあったようだが、ローズは意に介さない。動物園で出会ったゴリラと愛を育み、夫婦の関係にもなる。順風満帆のはずだった――。
その夫が、檻に侵入した4歳の人間の子どもを助けるためにという理由で、銃で殺されてしまう。なぜ？　どうして麻酔銃を使わなかったの？　人間の命を救うために、ゴリラは殺してもいいの？　だめだ、どうしても許せない！　ローズは、夫のために、自分のために、正義のために、人間に対して、裁判で闘いを挑む！　アメリカで激しい議論をまきおこした「ハランベ事件」をモチーフとして生み出された感動巨編。第64回メフィスト賞満場一致の受賞。

後半の面白さがエグい

正直に言おう。前半は割と飛ばして読んだ。
というのも、半分くらいまでニシローランドゴリラのローズ（主人公）のジャングルでの生活、アメリカに向かうまでの道のりを書いているのですが、まあなんちゅーか論文っぽいていうか……
興味はさほど惹かれなかった。

ところが終盤、裁判に入ってからバカおもしろい！？

最初に行った裁判についての結果は、物語の一番最初に描写されるのだけど、敗訴します。
ローズは敗訴のショックから色々なことに挑戦をしてみたり、変な人種と関わってみたりするので、一気に予想がつかなくなる。
そして最終盤、敗訴した悔しさを忘れられていないことを悟ったローズは、再び法廷に向かい、リベンジマッチへ。
正直、このリベンジマッチが面白さの９割５部を持っていると思う。
なんだか知らないけど、あれだけ前半読み飽きてたのに、ここに入った途端めっちゃ面白かった〜！！！ってなったので意味がわかりません。

ローズも個性はあるけど、周りの人間が濃い

• 子供の頃から面倒を見てくれている研究者男女ふたり（そこそこ複雑な関係性）（口が悪い）

• 狡猾な議員

• 口が悪すぎて手話の悪口を学びたがったラッパー

• ラッパーの友達でなんか身体が弱いらしいファッションデザイナー

• プロレス興行を取り仕切るマフィアっぽいけどいいおじさん

• 性格がめちゃ最悪に悪い弁護士

ローズはどっちかというと常識人です。口は悪い。（親譲り）

まとめ

ゴリラなのか人間なのか、動物愛護と人権とは何か？
現代社会の歪な姿に切り込んだ異色のリーガルサスペンス。
実際なんだかよく分かりませんが面白かったです。