四十肩・五十肩は 肩の巻き込みが9割
四十肩・五十肩は、腕の痛み
だけでなく、
肩が固まって動かなる点で、
難儀な関節疾患の筆頭といえます。
一般的には、炎症の起きている
部位によって
分類されますが、特効といえる
施術法はないように思います。
四十肩・五十肩も、重心側に
起きている場合と
非重心側に起きている場合では、
病因病理は真逆になります。
肩の巻き込みは左右差があり、
重心側と非重心側では
巻き込み方が違うことに着眼し、
肩の巻き込みの解消こそが、
四十肩・五十肩の効果的な
改善法であることを、
述べていきたいと思います。
1 巻き肩と肩の巻き込み
巻き肩という言葉を聞かれた
ことがある方は多いのでは。
肩や二の腕が前内側にねじれること
をいいます。
二の腕が 前内側にねじれると、
ねこ背型の巻き肩を呈します。
逆に、肩が前内側にねじれると、
胸張り型の巻き肩を呈します。
巻き肩というと、左右同じように
巻き込んでいるように
思われがちですが、
片側の二の腕が巻き込み、
もう一方の肩が
巻き込むというように、
左右で巻き込み方は違います。
四十肩・五十肩は多くの場合、
片側に発生します。
二の腕が巻き込む側なのか、
肩が巻き込む側なのかを
特定することが必要となります。
どちらの巻き込みにしても、
肩関節のはまり具合は
異常をきたしており、
前内方にゆがむことで、
外転挙上〔外側から上げる〕や
伸展〔後ろに伸ばす〕の動作に
支障が生じます。
2 肩の巻き込みと重心
肩の巻き込み方は、
肩甲骨の開き方により決まります。
肩甲骨の下角が開くと、
二の腕が前内方に巻き込みます。
肩甲骨の下角が閉じると、
肩が前内方に巻き込みます。
肩甲骨の下角の開きは、
重心側と相関します。
つまり、
重心側は肩甲骨の下角の開く側
となり、
非重心側は肩甲骨の下角の閉じる側
となります。
肩甲骨の開く側は、
胸椎2・6番が重心方向に変位し、
肩甲骨の閉じる側は、
胸椎1・5番が非重心方向に変位します。
逆に、重心側が解れば、
椎骨のズレ方やローテーションも
読めるので、
施術家にとっては、この関係は
臨床で使える武器となります。
3 四十肩・五十肩の症状の特徴
四十肩・五十肩は、
肩関節周囲炎といわれますが、
ほかの関節の炎症とは様相が
かなり異なります。
1 膝関節や股関節のように
関節が固まって動かしにくくなるも、
四十肩・五十肩の場合は
ある時を境に痛みが和らぎ、
関節も動くようになる
2 いくらこじらせても、
関節が変形することはない
3 仰向けに寝るのが苦痛になる
1・2は、四十肩・五十肩の病態は、
〔二の腕の腱〕のけいれん による
拘縮であると考えます。
痛みが出始めた時に
焦って肩関節を動かしてしまうと、
肩甲骨に付着する腱の
けいれんによる 硬直が発生し、
関節炎のような症状を伴い
関節が動かなくなってしまいます。
昨今は、スマホやパソコンに
向かう時間が増えました。
スマホを片手で持つ、
机の上に手をのせるという動作時には、
二の腕の筋肉が盛り上がって
緊張しているのを、触ってみて
確認することができます。
その状態で長時間同じ
ポジションを取り、
さらに手指を細かく動かすことで
その負担は加速して、
筋肉の端の腱の部分で
けいれんを起こします。
しかし、
その原因が腱のけいれんであれば、
肩を動かさない状態が続くと、
しだいにけいれんが解けて、
関節が動かせるように
なっていきます。
本来は、腱の痙攣が早く解けるような
処置をするのが最善ですが、
何もしなくても改善していくことが
多いです。
もちろん、
半年から2年という長いスパンが
必要となりますが。
「治療しなくても治る」
「後遺症が少ない」ということが
言われる所以です。
3については、本記事の主要の
項目につながりますので、
次の詳しく説明しますね。
4 四十肩・五十肩の患側の肩は巻き込んでいる
四十肩・五十肩の人は、
仰向きに寝られない、寝ると痛い
のは、巻き肩が原因です。
巻き肩になると、仰向き寝が
不安定になります。
さらに四十肩・五十肩の場合、
片方の肩ー患側の肩や腕が
仰向きに寝ると床から浮く形に
なるのです。
私は、
「指ではじくだけで肩の痛みが治る!」という著書を、
自由国民社から出版させて
もらったように、
四十肩・五十肩の専門家として
多くの患者さんを診てきました。
その臨床に接する中で、この現象は、
9割以上の四十肩・五十肩の方に
見られることが分かったのです。
肩や腕が床から大きく浮いてくると、
関節が不安定になり、
仰向けで寝たときに
痛みが倍増してしまうのです。
逆に、この巻き肩の発生機転を見極め、
重心側であれば二の腕の
巻き込みを取り、
非重心側であれば、
肩の巻き込みを取ればよいのです。
巻き肩に深くかかわる筋肉としては、
二の腕の前側の筋肉、
胸の深部の筋肉があります。
胸の筋肉のうち、
肩甲下筋は重心側の二の腕を
巻き込ませ、
小胸筋は非重心側の肩を
巻き込ませることは、
下の解剖図の筋肉の付着する
位置を見ればわかりますね。
つまり、前側の筋肉によって、
肩甲骨や二の腕の関節部分が
前内方に引きつけられた状態が、
肩の巻き込みなのです。
巻き肩というと、左右同じように
巻き込んでいるかに見えて、
左右違う巻き込み方をしているため、
片側に症状が出やすいのです。
5 肩の巻き込みの解消法
① 腱はじき
巻き込みの原因となる腱の緊張をとりながら、
巻き込みを解消する方向に弾く方法。
江戸時代の古法按摩の〔解釈の術〕を
重心バランス理論のもと、アレンジした
オリジナルの方法です。
① 上腕二頭筋腱の2本のスジを揺すってさぐり、
息を吐きながら 弾く方向の逆にスジをとらえ、
一旦押さえてから タメを作る。
② 重心の重心の掛かり方により、
息を吸いながら矢印の方向に弾く。
③ ①②を、3回繰り返す。
2 ウルトラポーズ
ウルトラマンのスペシウム光線のポーズを応用した
肩甲骨の開きを矯正し 巻き肩を改善するセルフ矯正法。
息を吐きながら
重心側の 肩甲骨の下角を開き
非重心側の 肩甲骨の下角を閉じる
これを一気に行うために
① 非重心側の肘を曲げて手を立てる
② 重心側の手をはさむ
③ 立てた手を外に倒し、肘を外に引く
その後、
息を吸いながら元に戻して矯正する
右重心タイプの場合
左重心タイプの場合
詳しくは、
拙著「ウルトラポーズで体がよみがえる」〔主婦の友社〕
をご覧ください!
https://books.shufunotomo.co.jp/book/b512252.html
四十肩・五十肩は、整形外科や整骨院、整体院でも、
最も手を焼く傷病の一つです。
しかし、患側の肩が巻き込むという その特徴的なゆがみを
整えることで、早く確実に改善へと導くのです。
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