えっ!体育座りが廃止されたって?
昭和世代には懐かしい体育座り。
この当たり前だった座り方が
廃止の危機にあるらしい。
なんでも、体育座りで体調を崩したり
腰痛が悪化する子供が増えているのが
その理由とか。
でも、知ってほしいのです。
体育座りがしにくい子と
しやすい子がいて、
その違いは、骨盤が前後どちらに
傾いているか―
さらに、体育座りがしにくい子に
重心の魔法をかけると、
背中を伸ばして座れるように
なることを・・・
1 体育座りが禁止になった⁉
1 体育座りをやめるように
先生に言われた!
小学校4年生の女の子が足を痛めて来院されました。
この子が施術している間、
お母さんは隣のベッドの上で
体育座りをされておられます。
少しおませなお年頃ゆえ、
「ママ、体育座りはやっては
だめなんだよ」
「学校の先生が、体に良くないから
体育座りはしないように言っていたよ」
「いい加減に体育座り辞やめたら」と
何度何度もも注意、お説教。
見るに見かねて私が、ママさんにとっては体育座りが楽な座り方で
体を壊さないから 行っても
大丈夫なことを伝える。
「体育座りをしてはいけないのは、
私のような座り方しかできない人だよ」とわが身でもって説明。
私とお母さんと二人で並んで
体育座りをしたら、
その違いは、小4の娘さんにも
よく解った様子。
お母さんが楽そうに体育座りを
しているのに対し、
私が、膝を抱えることに無理があり、
何とか体育座りをすると、
骨盤ごと後ろに倒れて安定しないのを
見て、この子も思わず大笑い。
体育座りの得意な子と苦手な子は、
生まれ持った骨盤のタイプに
よって決まってしまうので、
「苦手な子だけをやめさせるわけには
いかないので、
先生はみんなにやめるように
言っているのだと思うよ」
というと、なるほどと うなずいて、
以後、お母さんの
体育座りをとがめることは
なくなったのだそう。
体育座りは、私の子供の頃は、
「体操座り」といって、
朝礼や集会で話を聞く時、
運動会の練習や体育の授業の時などに、
行って慣れ親しんでいた思い出がある。
体育座りはあまり好きではなかったが、「してはいけない」とまで、
学校の先生が言われるのには少し違和感を感じた。
体育座りでなければ、
体育館で集まる時や体育の授業では、
どのように座るのだろう?
と疑問がわいてくる。
2 体育座りが廃止になった学校があった!
この子の話を聞いて、令和の学校では
体育座りをしていないのか
―と、ちょっとしたショックを受け、
体育座りについて調べてみた。
ネットで調べてみると最近の小学校では、体育座りをさせない動きが
あることが解った。
なんと、2021年には、山口県下関市の
豊北中学校で初めて体育座りを
「廃止」したのだそう。
それから全国から注目を集め、
次々と多くの小中学校で
体育座りを見直す動きが
広がったたようです。
なんでも、体育座りは内臓圧迫し、
児童の発達を妨げるとか。
また、長く座っているとつらくなり
集中力に欠ける、
腰痛や坐骨神経痛の原因となった例も
多くあるらしい。
おっと、体育座りが悪者扱いを
されている!
しかし、先のママさんのように、
体育座りすると腰が楽に過ごせ、
家でも気が付くとやっている人は
意外と多いようです。
体育座りの廃止には、約半数の人が
反対しているという
記事を見て、事の真相が解りました。
体育座りが苦にならない人は、
骨盤前傾の前重心の人
体育座りが苦手な人は、
骨盤後傾の後ろ重心の人
つまり、体育座りが楽にできる
前重心の人にやめさせる必要は
ないわけです。
体育座りがやりづらい後ろ重心の人は
やめた方がよいわけで、
もしかしたら、廃止する考えに
なる人の多くは、
骨盤後傾の人ということになることが
想像できるのです。
3 後ろ重心の人が体育座りが苦手になる理由
お尻を落として膝を立てて座ると、
後ろに重心が移動します。
体育座りで、膝を抱えることで、
重心が前に移動して
安定して座れるのがミソです。
私のように骨盤後傾の人は
後ろに重心があるのに対し、
女の子のママさんのように骨盤前傾の人は前に重心があるので、
膝を抱えて体を前に持っていきやすく、
自然に無理なく体育座りを行うことができます。
体育座りは、腕をすねの前方で
組むことに意味があります。
すねの前で組むことで、
重心を前に移動させられるからです。
この体育座りは、腕で膝を抱える時に
前方に重心が掛かり、
骨盤が前傾するため、
前重心の人にとっては
安定した座りができるわけです。
腰に負担が掛からないので、腰痛や坐骨神経痛とも無縁なのです。
一方、私のように後ろに重心が掛かる
ものは、すねを腕で抱え込むことに
無理があります。
重心が後ろにあるため、
前方に重心移動しづらく、
前方で膝を抱えにくいためです。
そのため、体育座りをすることで、
前に重心が移動するどころか
膝を後ろに引く形になることで
かえって、後ろに重心が移動して
しまうのです。
結果として、姿勢が悪くなり、
後ろにひっくり返りそうになるのです。
骨盤の後傾がさらにひどくなることで、
腰痛や椎間板ヘルニアにも 繋がってしまうわけです。
4 体育座りが苦手な子が安定して座れる 重心の魔法
体育座りは、お尻を落として
膝の前で両手を組むため、
重心が前に移動します。そのため、前重心タイプの人は、
手を組んだ瞬間に重心が前に移動して、骨盤が立って腰が伸びます。
一方、後ろ重心タイプは、
重心を前に移動しづらいため、
膝ごと後ろに倒れて、骨盤が後傾して腰が後ろに曲がります。
そんな骨盤後傾の子でも、
骨盤を立てて体操座りができる
重心の魔法があります。
それは、体育座りをして、
膝の下で両手を組むのです。
手を組んだ瞬間に重心が前に移動して、骨盤が立って腰が伸びます。
ただ、この座り方を、
体育座りというのかは疑問です。
人は生まれながら、やり易い動きや
不得手とする動きがあります。
やり易い姿勢や得手とする動きは
体に良い方向に働きます。
学校での座り方も一つに
統一すべきではなく、
人それぞれのやりやすい座り方で
よいと思います。
軍隊に始まり、武道やラジオ体操に代表される日本の体育教育は、
皆が同じ動きをすることが
前提になっています。
時代の移り変わりとともに、
各々の体に合った物に変えていく
タイミングではないかと思うのです。
5 姿勢のよくなるあぐらの掻き方
子供たちに、 床に座る場合、
体育座りに変わって座るとしたら
どの座りがやり易いかと聞いたら、
「あぐらが一番楽」と答えた子が
もっとも多かったとか。
先にお話しした体育座りもそうですが、あぐらをかくことで姿勢が悪くなる、
腰に悪いと言われます。
骨盤後傾の人は、あぐらを掻くと
骨盤ごと後ろに倒れそうに
なる人もいます。
それなら、重心の魔法をかけて、
骨盤が立つあぐらを掻いてみましょう。
普通のあぐらは、片側の足に
重心側の足を乗せて行います。
その下になっている足を、
重心側の足の前に出します。
これなら、骨盤後傾の人も
骨盤を立たせることで
腰を伸ばすことができます。
しかし、骨盤前傾の人は、
この体勢はつらいと思います。
大河ドラマ「光る君へ」では、
藤原道長役の柄本佑さんが、
この、左足前の足を前後に並べる
あぐらに悪戦苦闘したとか。
柄本さんだけではなく、
主な男優さんは
撮影時にこのあぐらを
皆痛がっていたらしく、
ロバート秋山さんは、
このあぐらから足が戻せなく
なったらしい。
そういえば、柄本さんをはじめ、
秋山さん、町田啓太さん、
はんにゃ金田さんなどは、
お見掛けしたところ目と目の間が狭く、
骨盤前傾タイプと想定される方が
多かったのでお気の毒さまですね。
骨盤前傾タイプの方は、
この座り方をすると
さらに重心が前に偏ってしまうため、
不安定な座りになってしまうのです。
この場合、上に組む足を後ろに並べて
座る方が安定しそうです。
もしかしたら、監督さん、演出の方は
骨盤後傾の方だったかも―と想像は
広がります。
みな自分の体が基準になりますから。
右重心で骨盤後傾の私は、
左足を前に出してあぐらを掻くと、
後ろに偏っていた重心が
前に行って腰が伸びます。
見栄えもよいし、腰も楽なのです。
しかし、逆の前重心タイプの人には、
苦痛でしかない訳です。
さらに、この左足前というのは、右重心タイプやのり方なので、
左重心の方は、右足を前に出さねば
安定しません。
このように、みんな同じ姿勢を
とらされると、
半分以上の人が割を食って
しまうのです。
日本では、みんなが同じ姿勢や
態勢をとることを
強いられてきました。
また、よい姿勢というものが
一つに決められ、
それ以外は悪い姿勢と決めつける
傾向があります。
ひとそれぞれ、やり易い姿勢、
体に優しい良い姿勢があり、
あなたにとって良い姿勢も、
お子さんにとっては
苦痛でしかない場合もあります。
この記事を読んで、
少しでも姿勢への理解が
深まって頂けたら幸いです。
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