日帰りシャント手術の体験談、簡単な手術といわれたけど心構えと準備は必要だった
2年前の2月26日にシャント手術を受けた。
事前の主治医の説明では、簡単にできる手術のような印象だった。
医療者にとっては簡単な手術でも、手術を受ける患者にとっては大変でしんどかったというのは、ありがちかもしれない。
実際のシャント手術では、手術台に横になり、心電図モニターや血圧計をつけ、本格的な手術と変わらない状況にかなり動揺してしまった。
今回は透析がはじまる3ヶ月前に経験したシャント手術について詳しく書きたいと思う。
もし、これからシャント手術を受ける人がいたら、参考にして欲しい。
⬇️シャント?についてはこちらをどうぞ
シャント手術の時期は急にやってきた
シャント手術の時期
血液検査で腎機能をみるクレアチニンの値は、少しずつ高くなっていた。とくに2019年7月にクレアチニンが3を超えてから上昇が早くなった。
動脈の血液をとって血ガスの測定もはじまり、透析がだんだん近づいてるなとは感じていた。
⬇️クレアチニン?についてはこちらの記事を
2022年2月21日、いつもの定期検査ではじめてクレアチニンが7を超えた。
2日後、主治医から電話がきて、
「そろそろ透析の準備をしていこう」と。
えっもう!!!、一瞬時間が止まった。
とうとうこの時が来てしまった・・・・・・
この頃、尿は1日1,500〜2,000ml出ていた。
腎機能低下による夜間多尿はあったが、仕事は普通にこなし旅行に行けるくらい元気だった。
尿量が減ってきて、体がしんどくなってから透析になるものと思い込んでいたので、このタイミングは意外だった。
主治医の見解
主治医とはいろいろ話してきた。
腎機能が低下してクレアチニンが7まで上がると、通常はだるくて動けないそうだ。
でも、徐々に腎機能が低下してくるとそれに体が慣れて自覚症状のないこともあるらしい。
腎機能がもっと低下して、命に影響のあるギリギリまで待って透析をはじめることもできるそうだが、主治医は勧めなかった。
透析を先延ばしにすると、体のあちこちに支障が出てくるらしい。
仕事を続けたい人は、早めに透析をはじめた方が全身への影響も少なく結果的にいいそうだ。
20年以上診てもらっている主治医の言葉に従い、透析準備のためシャント手術を受けることにした。
シャント手術に向けて
主治医から電話のあった3日後に手術を受けることになった。かなり急でいろいろ考えている時間はなかった。
長い間、透析を意識してきたせいか、案外あっけなく気持ちの受け入れはできた。
ただ、手術を受ける予定の左腕を見て感傷的にはなった。手術前の傷のない左腕の写真を残そうとした。
当日は午前中で仕事を早退。午後から手術を受けることになった。
てっきり入院するものと思っていたが日帰りでできるという。付き添いはいらないし、自分で車を運転してきてもいいとのこと。
手術は1〜2時間、術後の経過観察を入れて夕方には帰れるとの説明だった。
そんなに簡単な手術なのだろうか?
主治医や病院スタッフの淡々とした説明に困惑していた。
シャント手術を受けたときのこと
手術準備
手術前に執刀医がエコーで左腕の血管をみて、動脈と静脈をつなげる位置を確認する。
手首の7〜8cm上の動脈と静脈が近いところを切るようだ。
血管にそって普通の油性マジックで点線を書いたのには驚いてしまった。
手術着に着替え、歩いて手術室へ。
手術室には執刀医と主治医、看護師2名だった。
手術台に横になり、心電図モニターや血圧計をつけられた。
こんなに本格的な手術だとは想像していなかった。事前説明の印象とは違う雰囲気に直前になって動揺していた。
手術開始
左腕は肩から指先まで消毒液をべったり塗って茶色に染まった。
患者から左腕が見えないように医療用の布で左腕と体の間に仕切りをつくった。
部分麻酔なので左腕に注射を打っていく。チクチクけっこー痛い。
すぐにひじから下の感覚がなくなって手術開始。
手術室の時計は14時を少し過ぎていた。
ときどき腕の向きをかえたり持ち上げたりしている。痛みはないが血管なのか何かを引っ張っているのはわかる。
たまに、執刀医の苦戦しているような声が聞こえてくる。
ちょっとちょっと大丈夫なの?!?!、とこっちがあせる。
手術中は、左腕はもちろん体も動かせない。緊張して全身に力が入っているので体が痛い。
主治医が進捗や、気を紛らわすためか音楽や映画の話をしてくれた。
手術は1時間半くらいで終了。
執刀医から「いいシャントができました」と声をかけられ、ホッと力が抜けた。
2時間近く同じ体制だったので、左腕や体が固まっていてすぐには動けない。
看護師に支えられて手術台から起き上がり、歩いて一般のベッドへ移動。2時間安静にして、止血や血液の流れを確認して帰宅の許可が出た。
手術でかなり体力を消耗していた。ベットから起きるとフラフラで1人で着替えもできなかった。
車の運転なんて全然ムリ。念のため家族に送迎をお願いしていて助かった。
手術後の痛みと回復
手術後の痛み
麻酔がきれてくるとジンジンと痛む。それもかなり痛い。傷は4〜5cmはある。皮膚や血管を切っているのだから当然痛いし腫れる。
処方された鎮痛剤のカロナールをすぐ飲んだ。
カロナールが意外と効き夜は普通に眠れた。
幸い手術の翌日は日曜で休み。消耗した体力と左腕の痛みで、1日ほぼ横になっていた。
月曜には痛みはやわらぎ、いつも通り仕事へ。
痛みはだんだんよくなり1週間くらいでおさまった。傷も治っていき手術後2週間で抜糸した。
この頃には、腫れもひき押したりしなければ痛みはなかった。
シャントの状態
動脈の血が静脈へ流れてきている。
ザーザー、ジージーと血管に触れると強い振動が伝わる。これをシャント音というらしい。
他人が触れると機械が入っているような振動に驚く。動脈の血流はこんなに勢いがあるのかと驚かされる。
おわりに
透析開始前のようす
シャント手術から3ヶ月後の2022年5月23日に透析が開始された。この頃、クレアチニンは8に近づき自覚症状も出てきていた。
ゴクッという脈がとぶ不整脈。足の関節の腫れやこむら返り。疲労感と眠気。透析開始直前になって腎機能低下による自覚症状をあじわった。
足の関節の腫れは半年くらい繰り返したが、その他は透析がはじまるとおさまった。
心配したのが手先の冷え。夏だというのに左手が冷たい。動脈の血が途中で静脈にとられ、血流が足りないのだ。スティール症候群というらしい。
人間の体の適応力はすごくて、別の血管の血流が増えて補ったのか、そのうち冷えはなくなり今ではなんともない。
シャント手術の傷は時間が経てば薄くなる。執刀医の腕がよかったのか傷はまっすぐでキレイ。
ただ、傷のすぐ下、勢いのある動脈の血流があたる部分はコブのように膨らんできた。
まとめ
シャント手術は医療者からみると簡単な手術になるらしい。確かに1時間半の日帰り手術だったが、実際受けてみるとギャップはあった。
手術での体力消耗と手術後の痛みは予想以上でそれなりの準備と心構えは必要だったと感じた。
もしこれからシャント手術を予定している人がいたら参考まで。
お読みいただきありがとうございました🍀