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『正欲』 【2023年小説/映画】

【コメント】

2024年6月2日投稿
【感想】
雰囲気が重い。でも、今みるべき作品でした。
世代の違いと一言で片づけられない難しい問題。
「そうゆう人もいる」と頭では思うものの実際に会ったら何か話が出来る自信が無い、と思わせる作品でした。
① 学校に行かず、ユーチューバーになりたいという息子。これは、宗教と同じで、信じるモノの価値が違う問題。親を信じない、話を聞かない子供は、何を言っても理解しない。

私ならば、言い方がキツイかもしれないが、「親よりユーチューバーを信じる」のは、「親に対してしてはならない罪」として、親は、落ち着いて反対する意見を子供に伝え、それでもしたいのであれば、支援をせず、ただ見守るしかないと思う。子供の意見に従う必要はないと思う。ただし、親の責任として、未成年の間は、衣食住は保証する、それ以上は、一人で生活して欲しい。と子供扱いを嫌がる子供と契約書を交わす。
② 趣味、志向等の価値観。これも基本的には①と同じだが、公の場では、言わない方がよい。同じ価値観を持つ者と巡り合うのは、殆ど奇跡に近い。
相手の容姿だけで決めるのは、推し活だけで良い。
「このまま誰とも関わらず、老後を一人で過ごし、死んでも誰にも気づかれない」それも辛い。ならばいっそ、許容範囲を広げてみるのもいいかも、選ぶのは自分が決めることです。
③ 異性恐怖症の人。私は、この作品の中で描かれている人の中で、人が社会で暮らすことで一番辛いのではと思いました。こればかりは、同性の友達を作るしか思いつきません。それも、相手が婚活していたら友達になれないジレンマを抱えることとなるでしょう。
この作品でも、ようやく見つけた恐怖を感じない異性に勇気を出して言葉をかけたが受け入れて貰えなかった。他の案件は、①は離婚、②は待つ、となったが、③は更なる恐怖が増えた結果だった。
ホントにきつい作品でしたが、しかし、また10年後の世代はどうなっているのだろう。きっと、今より単純だといいな、外国人は、言いたいこと言いあって議論して凄いな、などと思ってしまいました。NETFLIX配信中です。

【あらすじ】

検事の寺井啓喜(稲垣吾郎)は、息子が不登校になり、教育方針を巡って妻と度々衝突している。
ショッピングモールで寝具販売員として働く桐生夏月(新垣結衣)は、実家暮らしで代わり映えのしない日々を繰り返している。
ある日、中学のときに転校していった佐々木佳道(磯村勇斗)が地元に戻ってきたことを夏月は知る。
ダンスサークルに所属し、準ミスターに選ばれるほどの容姿を持つ諸橋大也。学園祭でダイバーシティをテーマにしたイベントで、大也が所属するダンスサークルの出演を計画した神戸八重子はそんな大也を気にしていた。
家庭環境、性的指向、容姿など様々に異なる背景を持つこの5人。彼らの関係は少しずつ交差していく。まったく共感できないかもしれない。驚愕を持って受け止めるかもしれない。自身の姿を重ね合わせるかもしれない。それでも、誰かとつながり合うことを希求する彼らのストーリーは、生き延びるために大切なものを、強い衝撃や深い感動とともに提示する。いま、この時代にこそ必要とされる、心を激しく揺り動かす、痛烈な衝撃作。もう、観る前の自分には戻れない。

【作品情報】

朝井リョウ氏による小説。新潮社より2021年3月26日に単行本、2023年6月1日に新潮文庫版が発売された。第34回柴田錬三郎賞受賞。第3回読者による文学賞受賞。2022年本屋大賞ノミネート。累計発行部数は2023年10月現在、50万部を超えている。
2023年には映画化。2024年NETFLIX配信中。

【主な出演者】

寺井啓喜(ひろき) 演-稲垣吾郎
横浜地方検察庁に勤務する検事。小学校4年生で不登校状態の息子・泰希をもつ。泰希が友人とともにYouTubeで動画を投稿することに反対する。
桐生夏月(なつき) 演-新垣結衣
岡山駅に直結するイオンモールにある、寝具店の販売員。中学校の同級生の披露宴で、佐々木佳道と再会する。
佐々木佳道 演-磯村勇斗
高良食品営業部商品開発課に勤務する会社員。夏月の中学校の同級生だが、3年生の途中で転校した。
諸橋大也(だいや) 演-佐藤寛太
金沢八景大学に通う3年生で、ダンスサークル「スペード」に所属している。昨年の学祭のミスターコンテストで準ミスターに選ばれた。