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二郎と五郎
今日はちょっとした頼まれ仕事があって、早めに終了したので、とっとと帰宅することとした。
暇なので久々にケーブルテレビを見てみたら、「白い巨塔」をやっている。
1966年の田宮二郎主演の映画版である。
実は白い巨塔が医療ドラマで、大学病院内の次期教授の座を狙う財前五郎を描いた作品だ、ということは知識として知っていたが、実際に小説やドラマを見たことがなかった。
「財前教授の総回診です」という有名なセリフも、どういう文脈で出てくるのか知らなかった。
しかし、観てみるとこれが面白い。
思った以上に、淡々と権力闘争を描写していて、なるほどこういう話なのか。
なんとなくもっとドロドロした人間関係とかが出てくるのかと思っていたが、ここに登場する人々は、それぞれの思惑はあれど、割とドライに、とにかく勝ち負けだけにこだわっているように思う。
主役の財前からして、嫌なやつだが、あまり内面の話には入っていかない、だからそこまでの主役感もない。
何だろうな、完全フィクションなのだが、ちょっと実録モノみたいな雰囲気だ。
そこが良いと思った。
ちなみに原作は本編と続編があるのだが、この映画は本編のみ、すなわち財前が勝利して、教授になるところで終わっている。
えーっと思ったが、勧善懲悪でもなく狡猾な方が勝つあたり、そこがまた今の世の中(ずいぶん昔の映画だが)っぽくて、リアルではないか。
ところでちょっと調べてみたら、この話、12年後に再び田宮が主役で、テレビドラマとしてリメイクしている。
こちらは続編まで映像化しているので、財前の転落も描かれるのだが、ラスト2回の放送を残すところで、当の田宮が自死してしまうのだ。
双極性障害によるものとされているが、散弾銃を使った衝撃的なものでおおいにマスコミを賑わせた。
ちなみにその影響で最後の2回の視聴率はえらく高くなったという。
この事件はわたしもよく覚えていたのだが、わたしにとって田宮二郎は「タイムショック」の司会者で、同時期に彼の主演作品が放送されていたとは全く知らなかった。
どんな作品だったのか、ちょっと観てみたいなと思った。