定番感のない我が家の定番バターチキンカレー
私はどちらかというと料理が苦手で、一人暮らしの時は全然しませんでした。
キッチンが狭いから、とか
食材を余らせてもったいないから、とか
いろいろ理由をつけて。
そんな私も4年前に結婚して、少ししてから緊急事態宣言が出たりして……家にいる時間も増えて。
料理と向き合わざるを得なくなりました。
料理って、味の保証がないのが嫌で。
せっかく作ったのにおいしくなかったら単純に悲しいじゃないですか……
ネットにいくらでもレシピはあるけど、おいしいかどうかなんてわからない。おいしくて簡単なレシピ探しって難しいなーと。
そんな中、見つけたのが「レンジで作るバターチキンカレー」。
材料を混ぜて、レンチンすればいいらしい。
特別なものは何もなく、全部スーパーで揃いそうだしこれはラクそう。
カレーって簡単って言うけど、たくさん具材を切って煮込んで……言うほど簡単じゃないのでは?そんな料理レベルが底辺の私でもおいしく作れることを信じて。作ってみることにしました。
必要な材料は鶏もも肉、玉ねぎ、カレールウ、牛乳、砂糖、ソース、コンソメ、塩、バター、しょうが、にんにく。そしてポイントになるのがトマト缶。
なんと丸ごと1缶使うという……!
ほんとにカレーになる?大丈夫?
しかも使うルウはたった「2かけ」。
普通4かけは使うよね……トマト缶でただでさえカレー感が出るか不安なのに大丈夫かな……
不安を抱えながら、レシピに言われるがままに材料を全て混ぜました。
混ぜてる段階ではトマト缶と牛乳が混ざって
いちごミルクのようなピンク色で圧倒的なカレー感のなさ。一抹の不安しかない。
でも書いてあるとおりの分数をレンチンすると、すごいですね。
ちゃんとそれっぽいカレーになりました。
少なくとも見た目は。
さて、ここからが味の保証がないことが嫌な私にとっての運命の瞬間。
お願い……おいしくあってくれ……
スプーンを口に運ぶと、一気に広がる「インドカレー屋」感。
トマトの酸味とカレーの風味とバターのまろやかさが相まって……なんだこれ。家で食べるカレーじゃない。プロの味だ。
お、おいしい……!
こんな本格的な味がスーパーで手に入る食材でできるなんて。しかも、普通のカレーより少ないルーでできるなんて。すごい、すごすぎる。
不安になって疑い続けたことに反省しました。
レシピを考案してくださった方、ごめんなさい。
それ以来、バターチキンカレーは我が家の定番にしたいくらいのお気に入りレシピになりました。
家で出てくる素朴なカレーじゃないし、
世の料理上手な奥さまたちが作る家庭的な、オーソドックスなカレーではない。
ゴロゴロしたじゃがいもやにんじんも入ってない。
ちょっと個性的な変わり種。
「我が家の定番」と言うには、ちょっと引け目に感じるところは正直あります。
日本の家庭的な料理のはずなのに、イタリア産のトマト缶と日本産のジャワカレーを使って、インドカレー屋出てきそうな味……
と言う、訳わからない多国籍な感じですし。
まあでも、これがまた日本っぽいのかなあ。
ほんとはサンバじゃないのに、日本人が思い描くサンバっぽさが詰まったマツケンサンバみたいな。勝手にごちゃ混ぜにしちゃうかんじ。
これが我が家の定番カレーでいいのか?
もっとオーソドックスなものを学ぶべきなのでは?とも思うけれど。
定番感がなくても、自分たちがよければ
定番にしてもいいよね。
何より簡単で、おいしいのだから。
味の保証がなくて嫌がってた料理に対する自信を、少しだけくれたバターチキンカレー。
今では感謝しかありません。
我が家の味について考えるなんて、
私にも「妻」って肩書きが少しは馴染んできたのかなあなんて思いつつ。
結婚4年目になってもまだまだ作り続けていきたいと思います。
「我が家の定番だ」と胸を張って言えるようになるその日まで。