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不思議な比較級!? 'I think those hyenas were even scareder.' ─映画『ライオン・キング』より

(超?)実写版ライオン・キングの続編『ライオン・キング:ムファサ』"Mufasa: The Lion King"(2024)の公開が間もなくですね!

そこで旧作を先日再加入したDisney+で見返していたのですが、その中にこんなシーンがありました。言いつけを破って無謀な冒険に出た息子シンバに説教をする父ムファサ。そして恐れを知らない百獣の王でも、我が子を失うかもしれなかったことは恐ろしかったと言います。それを受けて返すシンバのセリフ。アニメ版、実写版どちらでも出てきます。

https://www.getyarn.io/yarn-clip/399d5eba-cc03-4dea-ad92-c58affaf01c8

https://www.getyarn.io/yarn-clip/e4b1badf-dccb-4491-ba82-cc144b7045b9

Simba: I guess even kings get scared, huh?
(王でも怖がるんだね?)
Mufasa: Mm-hmm.
Simba: But you know what?
(でも知ってる?)
Mufasa: What?
Simba: I think those hyenas were even scareder.
(ハイエナ達はもっと怖がってたと思うよ。)

even scareder!?

evenは比較級の強調ですが、scaredの比較級にこんな形があるのでしょうか?-ed形の形容詞は基本的にmore scaredのようになるはずなのでは?特にevenの後ならよりmore型が好まれるはず...!?

おそらく、ここではシンバが子どもということで、幼さの演出としてあえて文法的には正しくない形にしたんでしょうね。ちょうど『不思議の国のアリス』"Alice's Adventures in Wonderland"で、アリスが驚きのあまり"Curiouser and curiouser!"と思わず口走ってしまう場面と同じような効果(文法的にはmore curiousが正しい)なのかなと。

"Curiouser and curiouser!” cried Alice (she was so much surprised, that for the moment she quite forgot how to speak good English).

しかしシンバにしろアリスにしろ、このような「間違い」が文法的なものであるというのは言語習得の観点から興味深いところです。ここで挙げたのは創作での例ですが、現実に子どもはmouseの複数形をmouses(miceが正しい)と言う文法的な間違いをするようですから。周りの大人がscarederとかcuriouserとかmousesなどと言っているのを単に口真似した結果の間違いではないのです。比較級は-erをつけるもの、複数形には-sをつけるもの、という「文法」を無意識であれ知っているからこその誤用。その文法は、子どもに先天的に備わっているものなのか、それとも後天的に身につけたなものなのか?興味は尽きません。

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