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点から線へ 線から面へ 面から体へ

新しい事業を立ち上げて2日目。
ありがたいことに、地元の新聞社の方に取材に来ていただけました。


そこで色んな話をさせていただいたんですが、福祉経営をする中でも、支援者としても大事なことを振り返らせてもらった時間でした。
その中で改めて大事にしておかないといけないなぁと思った話です。


僕は今回生活訓練、という事業を立ち上げました。
今まで就労移行を行っていて、利用者さんを社会に送り出す役割を担っていたんですが、社会に出た後の利用者さんの生活や人生を考えた時に、社会で生きていくための支援やインフラをしっかりと構築していかないといけないなぁ、と思うようになり、ひとり暮らしの練習とも言える住居支援という事業を立ち上げたんです。


就労移行ではもともと「就労」も大事だけどその基盤となる「生活」、いわば営みとか暮らしが整っていなければ、どんなに仕事ののう力が高くても社会では生きにくくなってしまうので、割と生活面にも関わらせてもらっていたんですが、それこそ住居支援などを使いながら自立していくためには、就労移行の2年間だけではどうしても時間が足りなくなってしまうこともあり、改めて役割や機能を分けないといけないなぁ、と感じて今回の生活訓練を構えることになった、という経緯があります。


そしてこれからはもう少し居場所的な役割も強めたり、前からちょくちょくと身近なところにはお話しているんですが、出会いや結婚を支援するインフラを作ったりしていこうと思っているんです。


最終的に描いている未来予想図はあるんですが、一見すると就労移行をして、住居支援をして、生活訓練をして居場所も結婚も、って全然違う分野のことにばかり手をつけているように見えるじゃないですか。


この時に考えておかないといけないことは、事業や取り組みを設計する時にどういう「動線」を組み込んでいくか、ということは大事だなぁと思うんです。


一つの事業を横展開する、つまりあちこちに点在させて社会資源の分母を増やして供給量を確保しておく、という動線設計もあると思うんです。
そこから地域的なシェアを増やして、それからまた違うことを手掛けていく、みたいな感じです。

反面、一つの事業から縦展開、つまりそれぞれの支援自体の繋がりを作って、供給量はそんなに増えないんですが支援の流れとしての動線はとれていく、という方法です。流れがひとつ組み上がったら初めてそこから横展開を考える、みたいな発想でしょうか。


どちらが正解かなんてことはないと思います。
それぞれ事業を行われている方の事情や狙いや戦略、それから地域や社会的な状況に応じて判断されるべきことなので、それはそれでいいことだと思います。


ただ、昨日取材をお受けしながら感じたのは、僕自身は一つの事業という「点」をどのように線に繋げていこうとしているんだったか、さらにそれから面を取っていき、最後にどうなろうとしていたんだっけな、ということを整理させてもらえたと思います。



僕は一つの事業を横展開する、というのはある程度制度サービスが行き渡っている今あまりするべきじゃないな、と思います。
それよりも支援と支援の間に、制度と制度の間にスキマがあって、そこに落ち込んでしまっている方がいることを考えたら、僕が線にすべく置いていく「点」は縦軸、つまり利用者さんへの支援の流れが途切れずに人生や生活を未来につなげていけるような支援の動線を創ろうとしています。
そしてその線からの広げ方も横展開だけではなく、異分野の方と掛け合わせていくことだったり、他法人の方と協働して新しい価値を創り出すことをしながらだんだんと「面」で捉えられるようなコミュニティやネットワークを固めていくことの方が、結果的に自分達が「出来ること」が増える気がします。


自分達で全て賄う、みたいなことは到底無理で、それよりもそれぞれの得意分野をシェアしながら地域という面をカバーしていくことのほうが現実的なんじゃないかな、と思うんです。


点が縦軸で線になり、その線上からいろんな資源と掛け合わせたり繋がりながら面が広がっていき、最後はそれが自然循環するような仕組みやシステムとしての「体」を構築していく、そんなイメージをどうやら僕は持っているみたいです。


よく「点が繋がって線になる」という言葉は耳にすると思います。
これを僕らのような対人支援や福祉、という観点から見たときには、線になるだけじゃダメで、そこからどうやってカバー面積やシェアを広げていくか、という「面」の考え方が必要で、更に最終的にはそれがもっと立体化して循環する仕組みになっていかないと、インフラとしての福祉としては不十分だと考えています。


もちろんこれは事業運営的な視点からだけの話ではなく、たった1人の利用者さんを支援する時にも多分意識しておいたほうがいいプロセスな気がします。
それぞれの支援が単独で完結することなんてなくて、きちんと線として繋がっていないと意味も効果もありません。さらにその支援がいろんな他の要素と掛け合わさって面になります。就労した後に雇用してくださっている企業と連携しながらご本人の就労を支えていく発想と同じですね。
そして、面だけではなく、それが仕組みとなって弾力的に、でもきちんと循環しているような体制をつくっていかないといけないわけです。


なんか自分自身の事業の目的や文脈をお話している中で、改めて「点」と「線」、そこから「面」や「体」を見据えながらやっていかないといけないな、ということを改めて再確認させていただきました。


いろんなことに繋がって、生き生きとした動線設計をしながらこれからも事業を行っていきたいな、という気づきでした。

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