13. 4つのイノベーション(6) 振り返り(2)
ある研究開発チームは長年インクの射出最適化の機構を研究していました。私たちが職場指導を開始して2年たち、これまで書いてきたような「生産性の高い、明るい職場」作りがかなり定着してきた頃のことです。「やったこと」「わかったこと」「次にやること」のまとめ方も板に付き、チームとしての取り組みが機能するようになっていました。
とある定例発表会で一通り3か月単位の上記振り返りが終わろうとしていたところで、あるベテランン開発者Bさんから元気に手が上がりました。
「やったこと、わかったこと、次にやることの意義はわかりました。でも、「わからなかったこと」についてはどうすれば良いでしょう?」この発言で周囲は少しざわつきました。私は「わからなかったことにもやることがあります。例えば、理解できない実験結果が出たら仮説を立てなおすとか、追実験するとか、実験結果を見直すとか、わからなかったことをわかるようにする行動が次にやることだと考えます。」この返答は研究者でない私にとってはぎりぎりの答えで、すこし冷や汗をかきました。質問してくれたBさんは少しぽかんとした様子ながら着席しましたが、その場は少しざわついたままま収まりました。
次稿に譲ります。
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