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心電図読影の心構え①
病院での初期研修医向けレクチャーで、心電図読影について指導しています。もちろん、実践的であることが前提なのですが、心電図教育を通してひとつの哲学を伝えようとしています。
研修医レクチャーの内容紹介
以下が僕のレクチャーの項目と、2年間の初期研修の「心電図とペースメーカ」に関する目標です。
高すぎる目標は有害と考えています。他科でも多くを学び、また循環器の中でもわずかな1分野である以上、この分野のマニアックな多くの知識を学んでもらうのは難しいと思っています。
一応、特に内科系を目指す研修医には、このレベルをクリアして欲しいと感じています。
今日は1についての内容です。
心電図読影はスポーツと一緒だ、という断言から始まります。暴力的ですが、納得していただけると思います。
素振りの練習のように、最初は「いちいち」、うさんくさいくらい、一つひとつのことを「意識」しながら練習します。そして最終的に「無意識」にできるようになる、というプロセスが必要です。
最終的には「右脳的」に(=パターン認識で)心電図が読めることを目標にします。そのためには、ひらすら「左脳的」に読む練習が必要です。
まずは「ひたすらうさんくさく読む」練習を
どれくらいうさんくさい練習をしてもらうかというと、
「P波は、、、洞調律で、レートは、、、PQ間隔は、、、QRS幅は、、、QRS電気軸は、、、移行帯は、、、、Qはあるかないか、、、、、、、」
というレベルです。これを、研修医の空いた時間に延々とやってもらいます。当科には病院中で摂られた心電図が集まる仕組みがあります。これを利用して研修医にトレーニングを積んでもらっています。以下のスライドを示して、取り組んでもらっています。
自分なりに「うさんくさい」プロセスを経て読影し、「正常だと思った」心電図の束を添削します。その中に、見落としている所見があれば全部、研修医に「返却」します。見落としている所見があるということは、「読影プロセスの中に、なにか漏れている工程がある」ということなのです。それに各自で気づいてもらうのです。
(これが予想以上に好評で、繰り返しているうちにドンドン研修医の読影スピードと精度が上昇してくるのがこちらにも分かります。研修医の成長を、「僕も実感」できるというのがとても気持ちいいです。)
環境要因がなかなか必要ですが、心電図読影を習得したいと考えている人は参考にしてみてください!(添削してくれる上司がいると、やりやすいですね。心電図は生理検査室に頼めば、破棄前のものをもらえると思いますよ。もちろん破棄するときはシュレッダーに入れるのを忘れずに!)
オススメの本は?
↓僕が学生・研修医の頃にとてもお世話になった本です。紹介しておきます。
①臨床に役立つかどうか、という点で割り切っていること、
②心電図にこだわらないこと(他の検査とのバランスを考えている)
心電図一辺倒ではないこと
がとても気に入っています。続編もありますが、まずはこちらを。