ワイナリー紀行#1 憧れのトスカーナ モンタルチーノ編 その1
こんにちは!もうすっかり秋ですね🍂
実は少し前にイタリア、フランス、スペインのワイナリーをちょこっとずつ周ってきたので、記憶が鮮明なうちに思い出を書き起こします。(ワインにハマり始めた4年くらい前から、いつかヨーロッパのワイナリーを見に行きたいとずっと思っていたので、夢がようやく実現しました☺️)
このnoteはトスカーナ州シエナ県にあるモンタルチーノについて。シエナに滞在し、そこからグループツアーに参加して3軒のワイナリーを周りました。
シエナの街を歩く
ちなみにシエナという街、想定していた以上に素敵で、、
中世イタリアの素朴な雰囲気が残っていて、ワイナリーは行きやすいし、レストランも観光地価格でないのに超美味しいし、大聖堂は荘厳で美しいし、フィレンツェほど観光客が多くなくて、日本人にはあまり知られていないかもしれないですがとーーってもおすすめです。
シエナは13~14世紀に金融業で最も栄えていた都市で、フィレンツェのメディチ家と権力を争うほどの国家だったそうです。
この街で特に印象に深く残ったのはシエナ大聖堂。13世紀に金融ビジネスで得た莫大な富を資金に建設が開始されたもの。芸術、歴史、建築美、信仰が交錯する荘厳な空間に感動しました。太陽の光を浴びて神々しく輝く外観は大迫力でしばらく眺めていました。
内装も装飾の細部まで作りこまれています。
天井まで伸びる白と黒の横縞模様の大理石の柱がすごく印象的で、深い青と金箔で装飾された星空のような天井がすごく好きでした。
併設されたライブラリーは教皇ピウス2世(人文主義者として名高い方だったそう)の貴重な書物収集を保管するために建設された場所で、壁一面のフレスコ画が鮮やかで、15世紀の装飾写本などが展示されていて、ルネサンス期の煌びやかさと美しさがぎゅっと詰まった宝庫のようでした。
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余談はこれくらいにして、ここからワイナリーのレポ。
モンタルチーノのワインとは?
モンタルチーノはフィレンツェから車で南に2時間ほどの所に位置していて、アペニン山脈とティレニア海に挟まれた地中海性気候。約250軒のワイナリーがあります。
モンタルチーノのワインの歴史は意外と短く、19世紀半ば、ビオンディ・サンティ家の2代目であるクレメンテ・サンティ氏がサンジョヴェーゼ・グロッソ種のみを使用したワインの生産を始めたことが起源となっています。それまでモンタルチーノではモスカテッロを使った甘い白のスパークリングが主に生産されていました。
1980年にDOCG(原産地統制保証呼称)に昇格し、イタリアで最も高品質なワインの1つとして認められるようになりました。
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノはサンジョベーゼ・グロッソ(通常のサンジョヴェーゼより粒が大きく果皮が厚い)100%で造るのでテロワールの個性を表現しやすい、と言われています。1ヘクタールあたりの最大収穫量を8トン以下、長期熟成(最低5年、うち2年が樽熟成)と義務付けられており、パワフルで複雑な凝縮感ある味わいが特徴です。
ミニバンに揺られながら見たオルチャ渓谷の風景はずっと見ていたいほど美しかったです。(後にユネスコの世界遺産だと知りました。)青々としたなだらかな緑の丘に、均等に植えられたサイプレス。中世の面影を残した教会や家が点在していて、絵画のようでした。
1軒目の訪問 : Poggio dell’Aquilla
こちらは家族経営の小さなワイナリー。当主は質の高いものを生み出そうとする情熱やワインに対する愛が強くて、おまけにランドスケープの最高に美しく、心を打たれました。
◆立地・テロワールについて
標高450メートルに位置し、緩やかな丘一面を見渡せる立地。今まで涼しさゆえ、葡萄の成熟に困難があったものの、温暖化が進む中でむしろアドバンテージになっている。
石灰岩混じりの泥灰質土壌でとても水はけが良く、一日中日光を浴びるため、健康でポリフェノールが豊富なブドウが収穫できる。
◆葡萄・栽培について
・最終的にBrunello di Montalcinoとして出荷を目指すため、1ヘクタールあたり最大7トンまで育てており、それ以上育てるとRosso di MontalcinoかIGTになってしまうため収量制限している。葡萄の出来が素晴らしかった年はワインを高めに値付けする。
・葡萄の成熟を2種類に分けて捉えており
①テクニカル面の成熟:糖度、酸度、pH(時間の経過とともに糖度が上がって酸は下がる)
②フェノール面の成熟:ポリフェノール成分やタンニン、香り成分などの度合い
10月の最初の10日間、両方のバランスが良くなるタイミングで収穫する。
◆発酵・熟成について
・発酵後すぐの1年間は、中サイズの樽で熟成。ポリフェノール成分、タンニン、色、骨格を与えるため中サイズの樽、というのが要。
・テイスティングで仕上がりを見て、Rosso di montalcinoはこの後すぐボトル詰めされ、Brunelloはその後、3000L容量のスラヴォニアオーク(イタリアでは広く発酵熟成に使用される)に移されれ、ここで2年~2年半熟成させる。大樽で熟成させることでバランスが整い、複雑性が増す。またこの樽は1度熟成に使用した後でも、内側をミリ単位わずかに削ることで2度目の使用時にもワインにオークの香りやタンニンをつけることができる、とのこと。
◆ワインの味わい
Brunello di Montalcino
ブラックベリー、チェリー、トマト、胡椒、皮革の香りと土っぽいニュアンス、丸みのあるタンニン、余韻も長い。伝統的なブルネッロよりも果実味にフォーカスしたモダンなスタイルかなと感じました。
◆その他興味深かった点・感想
・DOCGやBrunello di Montalcinoとして売り出すためには生産者組合による品質テストをクリアする必要があるらしく、赤い果実や皮革の香りがしっかりある、酸味が十分、タンニンをしっかり感じる、十分にドライかどうか、色に違和感がないか?など様々な観点から典型的なブルネッロの特徴が備わっているかどうか、調査されるそうです。知らなかった!!
おそらく2008年にモンタルチーノ一帯で起きたワインの詐称事件(英語ではBrunellopoli scandalもしくはBrunellogateと言われる)がきっかけとなり、監査がなおのこと厳しくなったのだと思います。20に及ぶの生産者が本来ブルネッロの単一品種で醸造する規定があるにもかかわらず、カベルネやメルローがブレンドし、誤魔化して販売していた事件。
日本にもやはり特定地域のワインをブランディング、クオリティを担保するためにも第三者機関が品質を客観的に判断する仕組みがあったら、日本ワインの知名度もレベルも向上するだろうなぁと勝手ながら思いました。
少し長くなったので次のnoteに続きます♪