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[スイス 子連れ旅行記](7)シオン・トゥールビヨン城〜ヴァレール城 ( 「教育発想源」番外編)

「教育発想源」の番外編としてお届けしている「子連れ旅行記」。2017年に当時6歳だった長男と二人でスイスを一周した時の旅の様子を、「スイス 子連れ旅行記」として連載中です。好評の声を多くいただき、嬉しいです。

ちなみに「韓国・釜山 子連れ旅行記」というものものございますので、よろしければこちらも。

さて、連載中の「スイス子連れ旅行記」第1回第2回第3回第4回第5回、そして前回は第6回でした。まだご覧になっていない方は、ぜひ第1回から読んでみてください

前回の第6回はこちらから。

チューリッヒ国際空港からレンタカーを借り、時には国境を越えてオーストリアやリヒテンシュタインに入ったりして、気になった場所を点々としながら、スイスを時計回りに移動しています。前回の第6回までの軌跡を地図で表すと、こんな感じ。

第6回までの地図。第6回が南の緑色の線です。

現在、イタリアとの国境ギリギリの所にあるアルプス山中の標高約2500m級のヌフェネン峠まで来ています。ここを越えて、さらに西へと進んでいきますよ。

この記事は、noteマガジンを購読されていない方でも、どなた様でも全文を読むことができます。ぜひ楽しんでいってください。


■[スイス 子連れ旅行記](7)シオン・トゥールビヨン城〜ヴァレール城 ( 「教育発想源」番外編)

●今回のスイス旅行メンバー(2017年9月当時)
 ・父(筆者)、6歳長男

前回の第6回では、世界遺産の3城が寄せ合う都市ベリンツォーナを出てアルプス山中を西へと向かい、ヌフェネン峠まで登ったところまでをお伝えしました。

現在、下の緑色の線の左端まで来ています。

標高約2500mのヌフェネン峠を越えるともうヴァレー州。ヴァレー州といえば、スイスに行く日本人観光客の多くが、イタリアとの国境に近い街ツェルマットに行きマッターホルンを見に行くという定番コースで、日本で出版されているスイスのガイドブックも大半がツェルマット観光の情報ばかりです。

でも私は完全観光都市にはさほど興味がなく、6歳長男に聞くと「ガイドブックも紀行番組もそこばかりで同じ情報でもういいから、山を見るより知らない街や城に行きたい」と言うので、今回はツェルマットは完全にスルー。次に向かうのは、ヴァレー州の州都・シオンです。

ヌフェネン峠を越えて、ずっと急降下。

一気にヌフェネン峠から車で降りていきます。州道がローヌ川を越えると、国道19号線に入ります。ここからローヌ川沿いに西へと走っていきます。

なんだかアメリカンなレストランが。

ずっとあまり飲食店がない感じだったのですが、ガソリンスタンドなどが密集する地域が出てきて、アメリカのステーキハウスみたいなお店もありました。6歳長男がお腹が空いてきていたので、ここでランチを食べることに。

長男めっちゃ食べる。

ヌフェネン峠のレストランは開店時間前で食べられなかったので、長男はすごくランチが待ち遠しかったらしく、ガツガツ食べてました。フライドポテトもついてきてなかなか美味しかったです。今ネットで見たら、もうこの店は閉店してしまってるようですが。

ローヌ川に沿って高速道路9号線を西に進み、シオン東(Shion-est)インターチェンジで降りると、1分ほどでシオン市街地中央の地下駐車場に到着しました。

かなり広い駐車場なのですが、地上に出てみると眼前に大きな崖があります。

地下駐車場のすぐ後ろに大きな崖が。

この崖を西に回り込むように行くと、シオンのメインストリートとも言えるグラン・ボン通りに入ります。午前中に青空市が開かれていたようで、昼過ぎのために全体的に撤収作業に入っていました。

青空市の撤収時間っぽかった。

このグラン・ボン通りから、時計台のある市庁舎の横の道に右折すると、シャトー通り(Rue des Chateaux)、つまり「お城通り」という小径に入ります。かなり小さな道なので見逃してしまいがち。

シャトー通り。けっこう目立たない。長男も不安げ。

このシャトー通りは上り坂になっているのですが、ずっと東へと進んでいって登り切ったところが、広場になっています。モーリス・ツェルマッテン広場(Place Maurice-Zermatten)という場所なのですが……

目の前の崖の上に、大きなお城が!

北側にも南側にも山城が見えます。北側の崖の上にあるのがトゥルビヨン城(Château de Tourbillon)という名前のお城。そして、反対側の南側を見ると……

南側にも高台の上に古城が見えます。

教会を併設しているヴァレール城(Basilique de Valère)というお城があります。先ほど地下駐車場を出た時に崖の上に見えたのが、このヴァレール城なんだそうです。こちらのほうが築年数が古いのだとか。

まずは北側のトゥルビヨン城から攻めてみる。

写真では伝わりづらいのですが、とにかく峻険な岩山で圧倒されます。6歳長男と、まずは標高の高そうなトゥルビヨン城から登って行くことにしました。

予想以上の急階段。

シオンのトゥルビヨン城は崖の上にあるということは、既に私も長男もネットで見て知っていて覚悟はしていたのですが、予想以上に急坂の階段で、石段もけっこう狭くて、右の崖に落ちないように注意しないと。ちょっとした山登りです。あの先の城門、かっこいい。

スタート地点の広場が、あんなにも眼下に。

城門を越えると、石段がなくなりただの山道になります。6歳長男もなかなかしっかりと歩いている様子。登山口だったモーリス・ツェルマッテン広場も、眼下にあんなに小さく見えています。

登山客もちらほらと。

城門を越えてからはあまり急峻な岩肌がなくなり、かなり視界も開けてきます。さあ、お城はもうすぐ。

トゥールビヨン城に到着。しっかりと城壁があります。

駐車場広場から徒歩10分ほどで、トゥールビヨン城の入り口に到着しました。ちなみにトゥールビヨン(Tourbillion)とはフランス語で「旋風」「嵐」といった意味のようです。河村隆一のバンドの名前もそうだったような。

ヴァレール城も眼下に。

駐車場広場では向かいの南側に見えていたヴァレール城も、ここから見ると見下ろす形になっています。随分と登ってきましたね。

お城の中は岩がゴツゴツと。

城壁の中に入ると、中は平地ではなくて岩肌がゴツゴツと露呈しています。一つの岩山に無理やり城を造ったということがよく分かります。ヴァレー州の州旗、シオンの基礎自治体旗などが並んではためいています。

長男はアスレチックのように楽しむ。

岩が多すぎるため、城の中は居住空間には適していなくて、防衛機能としてのみ使われたお城のようです。あちこち岩に登れるので、長男はアスレチックのように面白がっていました。

トゥールビヨン城からの北側の眺め

北側を見るとなだらかな扇状地が見えます。とてものどかな風景。遠くまで見渡せるので、見通しのいいここは城に最適だったのでしょう。

奥のトゥールビヨン城から、東(手前側)へと進む。

トゥールビヨン城の岩山は東西に長く、山頂西側だけに城砦が築かれているのですが、東側の城壁に小さな門があって外に出ることができ、東側の端まで歩いて行くことができます。ちなみに南東の部屋は公衆トイレになっています。山上にトイレがあるのは助かりますね。

東側の眺め。あまりにも絶景。

その山頂部の最東端にやってきました。そこからの眺望が、とにかく美しい。先ほど東からやってきた高速道路も見えています。6歳長男も思わずカメラを撮りまくり。私はここからの風景が忘れられず、今でも時々GoogleMapのストリートビューで見ているほどです。

ちなみに南側には、スイス国内の1部リーグにあたるスーパーリーグ(Super League)の10チームの一つであるFCシオンのホームスタジアム、スタッド・デ・トゥールビヨン(Stade de Tourbillon)が広がっています。

やたら草むらの中が気になる長男

好奇心旺盛な長男は、珍しい虫やら特殊な形の岩やらを見ると、時間を忘れて眺めてしまいます。でも私は「早く行くぞ!」などとは極力言わないようにして、時間の許す限り、本人の思うがままにさせています。

トゥールビヨン城から降りていきます。

さて、下山します。来る時の登山道を降りるはずなのですが、西の尾根伝いに一つ踏み固められた山道が続いているので、それを降りて行くとどこに行くのかなと気になったので、そっちを降りてみることに。

東側からのトゥールビヨン城も絶景。

こちら側からのトゥールビヨン城の威容もかっこいいですね。同じ登山道で降りていたらこの風景を見逃していたので、ラッキーでした。

行き止まりになってる……

尾根を伝って西へと降りてきたら、城壁で行き止まりになってました。あっ、これ登ってきた時にあった峻険な岩場の城門の上だ! また尾根を引き返して登るのは面倒だと思い、なんとか崖になっている岩場を伝って城門へと降りていきました。6歳長男は案外ひょいひょいと楽勝で降りられました。

元の登山道に戻ってきた

先ほどの城門に戻ってきました。左側の岩の上をずっと降りてきていたということですね。では、ここからは同じ道を降りていきます

向かいのヴァレール城。ここから見ると案外デカい。

岩場が終わって、なだらかな山道を降りたら……

元の駐車場広場に戻ってきました。

登り口だったモーリス・ツェルマッテン広場に到着。ここから改めて見ると、トゥールビヨン城の威容はなんとも素晴らしいですね。あんな所まで登ったんだなあ。右側のプレハブは軽食のお店になっています。

向かいのお城にも登ってみますか。

今度は、南側に建っているヴァレール城(Chateau de Valere)にも登ってみることにしますよ。この階段からスタートです。

長男は軽快に登っていく

トゥールビヨン城に比べれば明らかに標高が低いので、6歳長男の足取りも軽いです。実際、しおんに観光に行った人の中には「トゥールビヨン城に行くのは諦めたけど、ヴァレール城にだけは行った」という人がかなり多くいるようです。

北側のトゥールビヨン城もよく見えます。

向かいのトゥールビヨン城が見えています。歴史的には10世紀ごろからあったというこちらのヴァレール城のほうが古いのですが、やはりあんなに高い位置を押さえられたら危ないということで、13世紀に司教主導であのトゥールビヨン城も作られたのだそうです。

城内はかなりしっかりとした石段が。

5分ほどでヴァレール城に到着しました。中に入ると、先ほどのトゥールビヨン城のテキトーな山道とは違って、しっかりと石階段が作られています。

けっこうツアー客が押し寄せている展望台

展望台に着くと、ツアー客がたくさんいました。先ほどのトゥールビヨン城の中の静寂さとは大違い。こちらのほうがシオン観光のメインなんでしょうね。それにしてもすごく良い景色。

シオン空港が見えていますね。

ヴァレール城の展望台から見た西側の風景。左側の先にシオン空港が見えています。アルプスの山間を航空機が飛んできて着陸するという様子は、なかなかに新鮮な気分です。

右側に見えているのはヴァレール大聖堂。

展望台の横に石造りの建物が見えていますが、これはヴァレール大聖堂という教会。スイスでのキリスト教の歴史を語る上ではかなり重要なものなんだとか。

自由に中に入ることができます。多分……。

ヴァレール大聖堂は解放されているようで、自由に中に入ることができるようです。イタリアに近いシオン教区はスイスでは最古の4世紀頃からの歴史を持っているそうで、スイスのカトリックの歴史はここから始まったとも言えるんだとか。15世紀頃のものらしい木製オルガンがあり、現在でも演奏が可能な現役オルガンとしては世界最古のものなんだそうです。

あちこち写真を撮っている長男

ヴァレール城内にはヴァレー州立歴史博物館(Valais History Museum)も入っていて、見どころが多いです。どこを撮っても絵になるので、6歳長男はミラーレスカメラで思う存分撮りまくってます。

ジェラート屋さんもめちゃおすすめのバニラ

旧市街のメインストリート、グラン・ポン通りに戻ってきました。アイスクリーム大好きっ子の長男に、ジェラートを買いました。長男はチョコ派ですが、店員さんも他のお客さんも「この店はバニラが絶対お勧め!」と言うので、バニラに。あまりに美味しかったらしく、ここから長男はチョコ派からバニラ派になりました。

裏路地を歩く。もう日も落ちてきましたね。

青空市のテントもこの頃には完全に撤収していて、街はテラス席がたくさん。グラン・ポン通りから一つ外れた裏路地なんかも歩いてみました。可愛らしい街並みです。

早めに郊外のホテルにチェックインしました

この日はアルプス越え、さらにシオンで2つの山に登ったので、さすがに長男も疲れたかなと思い、まだ明るく早い時間ですが、予約していたシオン郊外のサン・レオナールにあるホテルにチェックインしました。お庭もとっても広いホテル。市街地ではなく郊外のホテルだと広々としてしかもお手頃価格なので、車で移動する時には郊外は狙い目ですね。

気持ちよさそうなテラス席

西側のテラスは西陽が差してきて、長男も気持ち良さそう。この写真では分かりにくいのですが、かなり向こうにトゥールビヨン城もヴァレール城も2城とも見えています。

ホテルの近くを散策してみる

このまま長男は疲れて寝ちゃうかなと思いきや、ちょっと休んだら元気が復活してきて、夕飯を食べに行くことに。ホテルから出て、近場をいろいろと歩いてみることにします。少し歩くと、手頃なレストランがあったので入りました.

長男がガツガツと食べていると……

6歳長男はチキンナゲットのような料理を食べていたのですが、老齢のコックさんが長男の食べっぷりを気に入ってくれたのか、ちょくちょく厨房から出てきて「美味いか?」「何かつけるか?」と声をかけてきてくれて、長男がケチャップが欲しいなと言うと、わざわざケチャップ山盛りの小鉢を持ってきてくれました。長男は全然外国人相手に物怖じしないですね……。

朝のホテルロビー。これからさらに西へ向かいますよ。

早めのディナーだったので、長男はけっこう早く寝ついてくれました。私もちょっと仕事があったので、部屋のデスクを使ってノートPCで作業してから就寝。しっかりと寝て、けっこう早く起きることができました。今日は少し早めに朝食を取って、すぐに出発です。

これまでの道のり。今回はピンクの線。

地図上に表すと、今回のヌフェネン峠からシオンまでの道のりはピンクのルートになります。そしてこれから、西側に見えている有名なレマン湖まで行きますよ。


さて、私は子どもと海外旅行に行く時、なるべく現地では仕事のことは忘れたいので、できるものであれば出国前に片付けるようにしています。

ただ、私は日刊メールマガジン『ビジネス発想源』を毎日配信しているのですが、これは書き溜めると言うことはほとんどなく、基本的に毎日毎日その日に執筆をしています。

だから、海外旅行に行っている時にも、毎日どこかで執筆の時間を取らないといけないんですね。まあ短くて30分、できれば1時間以内ぐらいの感覚でしょうか。

でも、子どもと海外旅行に行っている間は極力子どもは見ていないと危険だし、せっかく子どもといるから一緒に過ごしたい。だから大抵、子どもが寝てからノートPCで執筆をして、必要な仕事も済ませてから就寝することになります。

デスクがベッドと同じ部屋にあれば、子どもがベッドで寝ている横のデスクで仕事をすることになります。

子どもは普段から9時には寝かせているので、海外旅行でも9時になると子どもたちは寝てくれます。眩しくならないように、デスクの照明だけで仕事をします。

ただこれは、連れて行くのが子どもだけの時にはいいんですが、妻など大人がいるとやっぱり明かりが気になって眠れないということが起こります。そういう時には、ロビーを使ったりしますね。海外のホテルはロビーでもwi-fiが使えるところが大半ですから。

とは言っても、家族で車を運転できるのは私だけなので、やっぱり朝から運転する私が一番しっかり休まないといけない。だからなるべく早く執筆や作業は切り上げて、とにかく早く寝ることにしています。

電車移動やバス移動などだとタブレットやスマホで何とか執筆したりもできるんですけど、車移動の時はどうしても運転している私は他に何もできないですからね。一気に夜にやってしまいます。

そんなわけで、執筆するには個人的に最も早いノートPCは海外旅行では必需品です。そして、たまに部屋のwi-fiが極端に遅かったり繋がらなかったりということもあるので、念の為レンタルのモバイルwi-fiも持って行くようにしています。

カフェなんかでちょっと作業をするとしたら、子どもには宿題のドリルや外国語講座の本なんかを持たせておいて、「ノートPCで作業している間、ちょっと勉強でもやってて」と同じテーブルで一緒に取り組むのもいいかもしれませんね。


ということで、「スイス子連れ旅行記」第7回はここまででございます。好評のようでしたら、第8回へと続きます。次回はいよいよ、あのレマン湖ですね。お楽しみに!

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 次回の「第8回」はこちらから!


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