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ワークショップ・雪山登山の体験を消化するプロセスについて

「宇宙からの帰還」立花隆  に、宇宙飛行士は、事後に時間をかけて体験の意義を消化するという趣旨のことが書いてありました。
 宇宙遊泳の体験と比べるのは、大袈裟かもしれませんが、雪山登山の体験を通じて、人生観が変わったという参加者は一定数います。
 呼吸法で感情のリリースを体験した人・アイスバスで多幸感に包まれた人にも同じように人生観が変わったという感想を聴かせてもらう事があります。

 普段何気なくやってきた呼吸を、全力でやってみて、3分も息止めをしてみると、本人が自覚したかに関係なく、ココロに大きなインパクトを与えたと考えています。
もちろん酸素飽和度50%という体験もカラダに大きなインパクトを与えている事は間違いありません。

 一回だけの体験で、その後、自分で実践していない人でさえ、久しぶりに会うと、他者に振り回されなくなっていたり、健康志向になっていたり、変わっています。
 人生を見直すお年頃なのか、時代の趨勢なのか、ワークショップとは関係ない要因かもしれませんが、、、

 雪山登山やワークショップの帰り道、多くの参加者が、その意味を解釈しようとします。
 体験を振り返り、ビフォー・アフターで、視野が明るくなったとか、脚が軽くなったとか、カラダの変化に始まり、考えがまとまるようになったとか、物事を俯瞰して見られるようになったとか、ココロの変化を報告を頂く事も多いです。
 中には、子どもの頃のトラウマから解放されたとか、白昼夢の中で両親と和解したと言って泣いている人もいます。(感情のリリース)

 雪山登山・ワークショップの最中には、身をゆだねる以外にないというか、特に基礎ワークショップはそういうデザインになっているので、体験の意義を消化するのは、終わってから振り返る時という事になります。
 私に関して言えば、2019年のポーランドでの呼吸法とアイスバスの体験について、内省する旅を2024年の今も続けています。  
 自分に何が起こったのか知りたくて、インストラクターになり、たくさんの人の体験を間近で見ることで、5年を経てようやく最初の体験の輪郭が見えてきたような気がしています。
 もっと奥深い体験だとすると、まだ何も自覚できていないのかもしれません。

 ワークショップ後に予定を詰め込んでいると、この内省プロセスを体験する事がなくなり、何の変化もなく日常に戻ってゆく
事になりそうですが、、、
 そんな”意識低い系”の人でも、先ほどの話のように、1年後にたまたま会うと別人のように成長していたりします。無意識レベルで何かすごい体験になっていたのだと思いますが、何がどうすごい体験なのか、呼吸法もアイスバスも個人的な体験だけに言語化して共有するのは難しいと思っています。

 環境を観測している私が、環境と一体になる時、主体・客体が一つになる時、全体像を感じる事があります。

 三次元の立方体の展開図を、2次元に投影すると、立体感のないペチャンコの四〜六角形になってしまうのと同様に、ワークショップの体験の生き生きとした三次元的な躍動感や、時間が短くまたは長く感じる事を、体験した事のない人に伝える事は難しいのです。

 人生で体験した事のない体験のメリットを説明してワークショップを販売するのは難しいなぁ〜。

 マーケティング用語で契約することをクロージングと呼びますが、この言葉は私が教えているヴィム・ホフ・メソッドのワークショップにはあてはまらないと感じています。そこから関係性が始まり、技術を伝授したところからその人の旅が始まります。
 英語で卒業式のことをcommencement(始まり)と言いますが、技術を伝授したところから、卒業生はそれぞれの旅が始まります。
 スターウォーズではライトセーバーという武器を受け取ったところからルーク・スカイウォーカーの旅は始まりました。
 呼吸法と寒冷というスキルを使って、人生をどんな風に変えたいですか?

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