ファスティングをお薦めしない理由
コンブチャレッスンをしていると、たまに生徒さんに「コンブチャでファスティングしたいのですが」と言われますが、私はファスティングをお薦めしていません。今回は、「何故、ファスティングをお薦めしないか」についてご説明致します。
ファスティングの一般的な目的
一つ目。我々の体を作る細胞は日々の生命活動の中で古くなったり壊れたりするものが必ず出てきます。通常であればそれらが適宜排出されるのですが、不適切な生活習慣により、正常に排出がされないと体の不調や病気の一因となります。ファスティングをすることで、オートファジーの仕組み(栄養が不十分な状態で細胞の生まれ変わりが活発化)を利用して古くなった細胞の排出と新しい細胞の生産を促します。
二つ目。人間は本来、有害物質を無毒化して体外へ排出する解毒システムを備えています。しかし、解毒システムの処理能力を超える有害物質を摂取し続けると、処理しきれない有害物質は脂肪などに蓄積されていきます。ファスティングにより摂取エネルギーを激減させると、体は不足分のエネルギーを得ようと脂肪を分解し始め、蓄積されていた有害物質が遊離して肝臓や腎臓を経由して体外へ排出されていくことが期待されています。
ここまで読むと、ファスティングいいな♩と思ってしまうのではないでしょうか?
試験前の一夜漬け
ファスティングしている時に体の中ではどんなことが起きているのか、分かりやすい例えが、「試験前の一夜漬け」です。
日頃勉強しないで試験ではどうにか合格点を取っておきたい…私もそう考えて一夜漬けを実践していたうちの一人です。一夜漬けを繰り返した私がその経験から言えるのは「一夜漬けで得た知識は身にならない」ということです。また、一夜漬けした後は一睡もしていないので当然疲れて翌日一日寝てしまいます。30歳を過ぎた今、徹夜はもう二度としたくありません(笑)
ファスティングとの共通点
日頃、勉強しない=日頃、食事に気を付けない
短期間のみ勉強する=短期間のみ、ほぼ食事を摂らない
一時的に合格点を取る=一時的に体調が良くなったと感じる
一夜漬け後の体への負担がある=ファスティング後の体への負担がある
一夜漬け後また勉強しなくなる=ファスティング後また普段の食事に戻る
このように、意外と共通点があることに気付くのではずです。もちろん、大学受験など大切な試験の前には集中して詰め込むことがありますが、これは体に負担がかかっても耐えられる、若いうちにしか出来ないものだということは想像に難くないでしょう。40代、50代、60代、70代、80代になっても一夜漬けをするでしょうか?
罠はどこにあるのか
現代人は、何にでも利便性・効率性を求めるようになりました。「〇〇を行うと、五年後には体調が良くなるはずです」より、「〇〇を行うと、すぐに体調が良くなるはずです」という宣伝文句が魅力的に感じてしまう我々がいることは自覚しておかないといけません。
最近は、ファスティングに関して「脳と体が若くなる」「トップアスリートも実践」という謳い文句もあるようです。ただ、ファスティングで脳と体が若くなるように感じるのはあくまでも一時的であることやトップアスリートでいられる期間もまた非常に短期間であることを考えたことはあるでしょうか。
もし、あなたが今健康面の不調を改善したいと思っているなら、一瞬の不安定な好調ではなく、安定した好調が続く方がいいと思いませんか?
根本的な解決をしていきたいかどうか
人間は、自身が摂取した栄養から毎日3000億個の細胞が新しく作られていきます。その大切な栄養を与えない期間を作るのがファスティングです。
もう一つ例を挙げましょう。学校や会社で「火事です」と非常サイレンが鳴ると、今までサボってた人達も一斉に逃げようと走り出しますね。ファスティングは体の中でこの非常サイレンを鳴らして生命の危機を知らせることで、細胞に最後の力を振り絞って生きるように指令を出しています。これが一時的に「頭が覚醒した・体調が良い」と感じる理由です。しかし、それがボヤだったと分かると、逃げ出した人はまた以前のようにサボりだします。ファスティングで言うと、食生活は元に戻って一時的に活性した細胞はまた鈍化していきます。
ファスティングによって体に与えている刺激は、本来であれば最終手段として設計されている非常用システムなのです。それを「うまく利用する」と言う方もいるようですが、普段体に悪いものを食べておきながら時折非常用システムを用いれば良いという方針は、果たして根本的な解決になっているでしょうか。
最初にも触れたように、ファスティングの一般的な目的は、不適切な生活習慣と解毒システムの処理能力を超える有害物質を摂取し続けることによる人体への不利益をリセットするためです。それならば、適切な生活習慣と解毒システムの処理能力を超える有害物質を摂取を控えることが根本的な解決であるはずです。
オシャレであることの優位性
では、何故ファスティングに魅力を感じる人がいるのでしょうか。以下、個人的な分析による思考の変化です。
<初期>現代社会で正しい知識を得る時間が取りづらい
<中期>メディアの広告・芸能人の発言に踊らされている
<末期>ファスティングを行うことがオシャレだと思っている
意識的でも無意識でも「オシャレ」だからファスティングしたい方は、どうぞ。ただ、オシャレだからと言って必ずしも健康に良い訳ではないこと、そこを混同させることで成り立たせている商品や会社も多いことは断言させて頂きますね。逆に、健康志向で且つある程度の知識がある方は、ファスティングを行う必要などないのです。
結論
もし、あなたがファスティングを検討しているとして、その目的が「本当の意味での内からの健康」なのであれば、まずは日頃の生活習慣の見直しを行ってみて下さい。正しい生活習慣を心掛けていれば、体に負担をかけずとも自然に細胞の生産排出や解毒が行われていくものですよ。