2024.12.19『研修開発入門「研修評価」の教科書』から学んだこと
企業研修は、何をもって「成功」と言えるのか。これは研修企業で働いている私が常々思っている疑問であり、時にクライアントから質問されることもあります。以前、田中淳子さんの"「人材育成」応援ラジオ"で研修効果の測り方は?というテーマの放送で出てきた本を読んでみよう!と思って買った本を今月ようやく読み終えたので、備忘録的に学んだことや感想を綴ります。
行動変容・組織論などで有名な中原淳さん、関根雅泰さんら共著の、ダイヤモンド社から出ている研修開発入門「研修評価」の教科書(2022)です。
そもそも研修評価とは何か?
研修評価、と聞くと真っ先に浮かぶのは研修後アンケートではないでしょうか。研修終了時に、「皆さん●月●日までにアンケート回答をお願いします」と人事担当者がアナウンスしている場面には、よく遭遇します。
アンケートで何を問うのか、クライアントは事前に研修会社に提供することはあまりない印象なので、結果が出てから設問を知ることとなります。研修中、受講者が難しそうな顔をしていたり、発言があまり活発でなかったりすると、講師は「満足度が低くなるかも」と懸念をします。が、「満足度」が研修評価、なのでしょうか。本の中で研修評価とは?への答えが以下のように書かれていました。
そして著者らは「混合評価」を提案しています。
研修の評価の仕方は各社それぞれかとは思いますが、この本に書かれていることに沿って設計をしていくと、より実態に即した成果を見ることができそうですね。
混合評価の3つのコース
とはいえ、研修評価にどれくらいのコストをかけられるのか、悩むところです。本書では3つのコース(パターン)が描かれています。
私の周りでは、1を採用している会社が圧倒的に多い印象です。2の現場実践度の確認は3~6ヵ月後に行うのが良いそうですが、次から次へと研修を実施している中で、そこまで手が回らないというのが実情なのかもしれません。
アンケートで何を問うか、ですが、よくあるのが「満足度」。ただ満足度が高ければいい、ということであれば講師はチャレンジングな問いかけを研修内で行うことができませんし、参加者の学習レベルがバラバラであればどこかしらに満足度の低い結果が出ると思います。私のずっと持っていた疑問は満足度以外に測れるものは何があるのかという点でした。
これに加えて学んだこと・得たことを自由記述形式で問えば、スタンダードorプレミアムコースで後々実践度合いを確認する際に役立つ、ということです。
本の中では実際にそのまま使えそうなアンケートの設問例なども掲載されていて、即戦力というかすぐに役立つ内容になっていました。クライアントから「どういうアンケートがいいんでしょうか」と聞かれたときに、大いに活躍してくれそうです!
ここまでが、研修提供側として私が知りたかったことの大部分ですが、本の後半では、実在する会社が実施した実践事例や、現場マネージャー、経営層の巻き込み方のアドバイスなども出てきますので、企業の人事担当者にとってこの本は本当に「教科書」になると思います。マストバイです!
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