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『遠野物語』評(下、肆)
ー座敷童子と緑風荘
柳田国男『遠野物語』に登場する神さま、あるいは妖怪のうち、知名度が全国区と言えば、河童ともう一つ。そう、座敷童子。「この神の宿りたまふ家は富貴自在なりといふことなり」とされており、姿を見られれば家に富をもたらすといった伝承は広く知られるところだ。ただ、座敷童子が男の子か、それとも女の子か、そんな疑問に答えられる人はあまりいないだろう。答えは『遠野物語』の中にあった。もちろん、この作品を読んで初めて知った。
関連リンク:「『遠野物語』評(下、参)ー河童」「『遠野物語』評(下、弐)ーイタコとのつながり」「『遠野物語』評(下、壱)ー続・オシラサマ」「『遠野物語』評(中)ーオシラサマ」「『遠野物語』評(上)ー歴史的仮名遣い」「敗北者ー読解力勝負」「行き先選びーあゝ夏休み」「邪魔者ーあゝ夏休み」「あゝ夏休みーりすの独り言」
男の子?女の子?
座敷童子は男の子か、それとも女の子かー。『遠野物語』によると、答えは男児の場合もあるし、女児の場合もあるそうだ。そんな答えは卑怯じゃないかと言われても受け付けない。二者択一とは言っていない。想像力が試されただけだ。個人的に、当初はたぶん男の子だろうなと思い込んでいたのは黙っておきたい。
多くは12、13歳くらいの童子の姿をしているという。座敷童子が去った家の一家が食中毒で全滅した話のほか、ある資産家で、子どもが座敷童子を弓矢で射たところ、座敷童子が家を去り、家運が傾いたという話が記されている。座敷童子に会える宿として岩手県の旅館「緑風荘」(岩手県二戸市)などがよく知られている。
錚々たる面子
この旅館について調べてみると、座敷童子の話を聞きつけたのか、大物政治家、経営者、作家、漫画家らが訪れたらしい。原敬、米内光政、本田宗一郎、松下幸之助、金田一京介、遠藤周作、水木しげるが泊まったそうで驚いた。全員、超がつく大物だ。きっと皆、座敷童子を見たに違いない。そう信じたくなる錚々たる面子だ。
わが夫婦もこれにあやかりたいー。そう思い、楽天トラベルの宿泊予約をチェックした。予約が可能な2023年3月末まで「×」マークのオンパレード。そりゃあ、そうだよな。もっとも、座敷童子は純朴な人にしか見えないというよく知られた伝えもある。社会に揉まれてどこか擦れてしまったわが夫婦。泊まれたとて必ずしも座敷童子に会えるとは限らない。
人生、そう甘くない。
(写真:『りすの独り言』トップ画像=りす撮影の画像を基にりす作成)
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