就職活動の自己分析から転職・副業・起業のヒントまで:『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方 人生のモヤモヤから解放される自己理解メソッド』感想
八木仁平さん著『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方 人生のモヤモヤから解放される自己理解メソッド』を読みました。
この本には文章に加えて自分自身を見つめ直すためのワークが多く盛り込まれており、自己理解を深めながら進めていくことで「やりたいこと」を見つけることができます。
内容としては「やりたいこと」を3つの要素に分解して考えるというメソッドが特徴的でした。就職活動において自己分析に取り組んでいる人は勿論、転職を考えている人にもお勧めですし、副業や起業のヒントも得られるかもしれません。
どんな人向けの本なのか?
これから就職活動を始めるにあたり、自己分析の深堀りや業界・職種の絞り込みをしたい人
今の仕事がしっくり来ないから転職を考えている人
副業や起業のアイディアを見つけたい人
以上の人には非常にお勧めできる内容です。
自己理解のワークを進めることでやりたいことが明確になり、それを仕事選び、あるいは仕事”作り”に活かすことができます。著者の八木仁平さんご自身も自己理解を深めることでまさに自己理解の分野で起業し、得意なことに基づいて事業をブラッシュアップしています。
読み終えた時に何を得られそうなのか?
この本を読み進めながらワークに取り組むことで、自分自身の価値観、得意な行動・思考、興味のある分野を自覚できるようになります。本書の言葉を借りると「自分自身の説明書」が頭の中に完成します。
より高い解像度で自己理解を深められて、就職や転職における業界・職種の選定や、エントリーシート・履歴書や面接で自分を説明する際に役立つでしょう。そしてその先には、夢中になって仕事に打ち込んでいる未来の自分の姿がある…かもしれません。
私の場合、この本を通じて自分の価値観を改めて認識することが出来ました。それを普段の生活で意識することで充実感や満足感を得ることができています。とても実用的でお勧めの本です。
「やりたいこと」は3要素の掛け算
本書では、「本当にやりたいこと」を3つの要素、すなわち「大事なこと」「得意なこと」「好きなこと」に分解して考えます。
本当にやりたいこと = 大事なこと × 得意なこと × 好きなこと
各章のワークを通じてひとつひとつの要素を考えて、自分自身の理解を深めていきます。そして最後にそれらを掛け合わせることで、様々な仕事の選択肢を見つけていきます。
大事なこと=大切にしている価値観
まずは「大事なこと」、つまり大切にしている価値観を洗い出します。
例えば、「周囲との協調を大事にする」「改善や向上を常に目指す」「安心感を得る」「自分の考えや思いを貫く」「自然環境を大切にする」…などがありますね。
最終的には「仕事の目的」を定める時に使いますが、私の場合は後続の「得意なこと」や「好きなこと」にも「大事なこと」が根底にあることが多いように感じました。そのため、まず最初に「大事なこと」をしっかりと深堀りすることで自己理解のワークに筋が通り、濃密で有意義なものになっていくことでしょう。
得意なこと=自然とやっている言動、思考の癖、習性
次に「得意なこと」を自然とやっている言動、思考の癖、習性から探り出します。
具体例としては、例えば「用心深い」「ルールを守れる」などが該当します。前者は「リスクや危険性に敏感」という面で長所として働きますし、後者は「規則や手順に従って堅実に行動できる」という長所になります。
また、前者なら「リスクを恐れて行動できない」、後者なら「柔軟な対応を求められる状況が苦手」という短所と表裏一体なのもポイントです。長所にも短所にもなり得ることが「得意なこと」なのですね。最終的には「得意なこと」がどんな長所になり得るのかを改めて確認していきます。
「得意なこと」は無自覚なことが多く、自分では気付きにくいです。大体が「言われてみればそうかも…」というレベルです。そのため身近な人や家族に質問してみるのがお勧めで、そのようなワークもあります。
好きなこと=興味や好奇心が尽きないもの
次に「好きなこと」、つまり興味や好奇心が尽きないものを見つけます。考え出したら疑問が無限に湧いてくるような分野です。
就職活動で言うところの業界にあたりますが、あくまで「好きなこと」であって、「役立つこと、役立ちそうなこと」ではありません。実利性に引っ張られてしまうと「やりたいこと」とのズレの原因になってしまいます。実際に働いている人の中には思い当たる節のある人がいるかもしれません…。
要素の掛け算で「本当にやりたいこと」を考える、編み出す
以上の3つの要素を掛け合わせて「本当にやりたいこと」を考えます。それぞれの要素を考慮することで、仕事のミスマッチを予防できます。
例えば「好きなこと」だけから発想して「野球が好きだから野球用品のメーカーに就職しよう」と考えても、その職種(企画、営業、製造…)が自分の「得意なこと」とズレていたらきっと苦労するでしょう。営業職になったら「初対面の人と打ち解けられること」「他人に分かりやすく説明すること」が「得意なこと」であれば活躍しやすいでしょうが、これらが苦手であれば苦労して精神的に消耗してしまう恐れもあります。
このワークはさながらブレインストーミングのアイディア出しです。
まずは「得意なこと」×「好きなこと」を行列計算のように各要素で掛け算してみます。実現性や「できるかできないか」を置いておいて、とにかく発想してみることが大事です。
最後に仕上げとして、この本の最初の方で洗い出した「大事なこと」から「仕事の目的」を考え、「得意なこと」×「好きなこと」で思い浮かんだものに更に掛け算をして「本当にやりたいこと」を見つけ出します。これによって価値観に沿った、ある意味では使命感を持って夢中で取り組めるような仕事を浮き彫りにしていきます。
もしかしたら、既存には無さそうな仕事が思い浮かぶかもしれません。その場合は副業として始めてみたり、小さく起業してみたりするのも良いでしょう。
現代は便利なもので、自分のスキルやノウハウを提供して対価をもらえるサービスが存在しています。例えばnoteにおいてもノウハウをまとめた記事を有料化して公開することができますし、それを実践している方々もいます。「ココナラ」のようなスキルマーケットへの出品という選択肢もありますね。
読んだ感想と自分に起きたこと
私はワークを実際にやりながら読み進めていきました。単独でできるワークのみを行いましたが、先述の通り「他人から見た自分」の情報を取り入れて進めることを強くお勧めします。
特に「得意なこと」は本当に無意識レベルでの行動傾向や思考の癖なので、自分では気付きにくいです。家族は勿論、友人や先輩後輩、同僚などに聞いてみるのも効果的です。就職活動中の仲間と集まって、お互いに一緒にワークをして質問し合うのも良いと思います。
私は「大事なこと」を見つけるワークで価値観の洗い出しをしてからは、日常生活でもその価値観に対して自覚的になりました。達成感を得ることや物事を完遂することに自身が重きを置いていることに気付き、「今日はこれをやろう」と決めたことをやりきった時の充実感が増しました。心の中で「自分の求めているのはこの価値観なんだ!この感情なんだ!」と叫びつつガッツポーズをしている感じです。
「得意なこと」探しでは、学生時代の勉強や部活、社会人としての業務経験だけでなく、数年単位でハマっていたゲームの経験も大いに参考になりました。
私は十数年間にわたって音ゲーにハマっていたのですが、当時はほぼ毎日プレー記録をメモに残していました。「この曲をクリアできた」や「こういう譜面が苦手」などを書き、成果を記録して更に上達するための改善点を考えていました。このような「習慣的に記録を付けること」や「改善サイクルを回すこと」は資格勉強など他の経験にも共通していて、「ゲームをやり込むにしても自分の得意な取り組み方を無意識のうちに採用していたんだな…」と思わずしみじみしてしまいました。
「好きなこと」を考える際には、自分が過去に投稿したnoteの記事も参考になりました。読書感想の記事や気象分野の記事などに好きなことが滲み出ている…!
加えて、各種SNSでどんなジャンルのアカウントをフォローしているのかを再確認するワークもとても有効でした。私はX(旧Twitter)で分野ごとにリストを作成しているので一目瞭然でした。観光、動物、ゲーム、投資…
「本当にやりたいこと」探しは現在も着手中ではありますが、「自身が興味のあることをやり切って、そこでの経験や記録を要約して伝える」ということが核になりそうだなと考えています。そしてnoteでの活動がそれに近いのかな、と。興味のあることは具体的にどの分野なのか?など細かい点はこれから詰めていこうと思います。
この本とは就職活動を始める前に出会いたかった…と心から思いますが、既に働いている人、仕事から離れている人にとっても、人生を「やりたいこと」で充実させるための指針を立てられる良書だと感じました。別に仕事でなくても、趣味として何かを始めたり再開したりするきっかけにもなるかと思います。本当にお勧めの本です。
ここまで読んでいただいてありがとうございました。もしよろしければスキ!やコメントを残していただけるととても嬉しいです。
記事を書ききった!完遂!達成感!