**褐色脂肪細胞(Brown Adipose Tissue, BAT)**は、エネルギーを熱として消費する特殊な脂肪細胞で、体温維持やエネルギーバランスの調整に重要な役割を果たします。

褐色脂肪細胞の特徴
1. エネルギーの産熱:
褐色脂肪細胞はミトコンドリアが豊富で、これに含まれる「脱共役たんぱく質1(UCP1)」を用いて脂肪を燃焼させ、熱を産生します。このプロセスは「非ふるえ熱産生」と呼ばれ、寒冷環境での体温維持に役立ちます。
2. ミトコンドリアの存在:
ミトコンドリアが多いため、細胞が褐色に見えることから「褐色脂肪」と呼ばれます。
3. エネルギー代謝の調節:
活性化された褐色脂肪細胞は、体脂肪の燃焼を促進する可能性があり、肥満や糖尿病の予防・治療のターゲットとして注目されています。

褐色脂肪細胞の分布

褐色脂肪細胞は成人では少なくなりますが、特定の部位に集中的に存在します。以下の部位に多く見られます:
1. 肩甲骨周囲:
特に肩甲骨間部に集中して存在します。
2. 頸部(首):
頸部大動脈付近に多く分布しています。
3. 鎖骨上窩(さこつじょうか):
鎖骨の上部、体幹の中で褐色脂肪細胞が多い部位の一つ。
4. 脊椎周辺:
胸椎から腰椎の周囲に分布しています。
5. 腎臓周囲:
腎臓の周辺にも一定量の褐色脂肪細胞が存在します。

褐色脂肪細胞の活性化方法

褐色脂肪細胞を活性化させることでエネルギー消費を高め、代謝改善が期待されます。主な方法は以下の通りです:
1. 寒冷刺激:
寒さにさらされることで褐色脂肪細胞が活性化し、熱を産生します。
2. 運動:
運動により分泌されるホルモン(イリシンなど)が褐色脂肪細胞の活性化を促します。
3. 食事:
カプサイシン(唐辛子)やカテキン(緑茶)などが褐色脂肪細胞を刺激する可能性があります。

まとめ
褐色脂肪細胞は体内の「エネルギー燃焼エンジン」として、特に寒冷時に活性化され、体温維持に寄与します。分布は肩甲骨や首周辺、鎖骨付近に多く、肥満や代謝疾患の治療への応用が期待されています。

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