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【ネタバレ】「ブルーピリオド」詰め込んだ藝大受験狂騒曲

ブルーピリオド」、映画館で観てきました。マンガも読んでいます。
本文はバリバリのネタバレを含んでいるため、ご注意ください。





「ユカちゃん」高橋文哉ってすごい…

まずはここに尽きるかなと思います。
マンガを読んでいたので、「あのユカちゃんを誰がどう演じるのか…」と思い、配役発表時には「高橋文哉かぁ…まあ線が細いしね…」と思ったのですが、ここまできちんと役作りされるとは、と驚きました。スクリーンには、「ユカちゃん」がいました。
ユカちゃんが抱く葛藤が繊細に出ていたし、何より自分の好きなものを好きなように着て、飾っていて、それが似合っているところ、小田原の海のシーン全体の壊れそうなところとか、書き出すをキリがないくらいです。
このユカちゃんを観るだけでも価値があるのではと思いました。

「わかってもらえた」という胸アツの瞬間

主人公の八虎が美術の課題で提出した「夜明けの渋谷」の画。なんだこれー、と言われる中でふと一人の友人が「あれ、これ渋谷じゃね?」と気づくシーン。八虎が思わず泣いてしまうところでは、私も思わず泣いてしまいました。自信ないけどやってみたことに対して、誰かにわかってもらえる、理解してもらえるって、幸せなことだよね…と。
あと、友人の恋ちゃんがキルフェボン(あんなわかりやすいケーキ屋…)で八虎の背中を押したシーン。八虎をみて製菓専門学校への進路を決めたという恋ちゃん。また、その話を素直に聞く八虎。この恋ちゃんをはじめとする友人たちと八虎の関係性はすごく良くて。八虎が画にのめり込んだとき、悪い?友達なら「なに真面目にやっちゃってんの?遊ぼうぜー」と引き込んでしまうところを、八虎の友達は様子を見てそっとしている。その程よい距離感がすごく良かったです。

見守る、って大変だけどとても大事

この映画では「見守る大人」がいます。
学校の美術教師、塾の先生、そして両親。
美術教師は八虎の背中をそっと押し、塾の先生は藝大合格に向けて道を指し示す。両親は、ひたすら応援する。どの人も、欠けてしまうと八虎の藝大への夢や合格はなかったのだと思います。
この大人たち、多分美術教師は美術で食べていく、ということに夢と希望を持っていたけどその分現実も痛感している、とか、塾の先生も藝大の合格の厳しさを知り、その厳しさを子どもたちにビシバシと伝えていく、とか、安定した人生を歩んでほしいと願う両親とか、その立場によって彼らも思うところがいろいろとあるだろうに、ひたすら前に進む八虎を支援しているのが良かったです。両親、特にお母さんのように「安定した道を歩んでほしい」と思う大人が多いと思うんですけどね。行き先厳しい道に行こうとしている子どもをみて、それなら頑張りなさい、とはなかなか言えないな、と。

藝大という大学の受験のすごさ

素人からするとあの二次試験のやり方などは気が狂いそうだなと思いましたし、実技のほかに共通試験もきちんと取っていないといけない、といった藝大受験のすごさが具体的に知れたことは面白かったなと。
藝大出身の著名人が改めて、ある意味文武両道の人(武=芸術、という意味で)で、ある意味「選ばれし人」なんだなぁとか、その中で中退する人(King Gnuの常田さんとか)って何を考えてなのかなとか、にも思いを馳せたりしました。

マンガ原作ものって、けっこう端折ったり、設定を多少変えたりして「ええー…」と思うことも多々ありますが、この作品についてはあまりガッカリせずに素直に観ることができました。
ただ、心がすごく震える瞬間が少なかったかな、、、というところも。
世代が違うからですかね。

<了>

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