【ネタバレ感想部】「ナミビアの砂漠」自分のことを知りたい、わかりたいって大事
「あんのこと」が観られなくて(と思っていたらアマプラに…!)、河合優実のスゴさにまだ触れられていなかったのですが、「ナミビアの砂漠」てやっと!触れてきました。
今回も安定のネタバレ感想です。
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抑えられないものを抱えることの辛さ
主人公のカナ、おそらくヘルシーな人が見ると「なんじゃこの女は」「強烈すぎてついていけない」「共感できない」となるのでは、と思うくらいやりたい放題(に見える)キャラクターでした。
あの、内なる激しい衝動を抑えられない様子は見ていて哀れになるくらいで、カナがオンラインで精神科医と話しているときに「自分をわかりたい」というようなことを言っている姿はもはや可哀想でもありました。
カナの生い立ちについても、パズルのピースのようにいくつかの情報がもたらされるだけではっきりとはわからない。兄弟構成や学歴とか、歩んできた道がほとんど描かれていない中でしたが、でもきっとカナってこんな感じだったんだろうな、と脳内で補えるくらい河合優実の演技が良かったです。
持てる者が想像できないこと
カナのバックボーンははっきりしないけれども、豊かなものではなかったのだろう、ということはなんとなくわかります。その中で、金子大地演じるハヤシの、あの「持てる者ならではの施し」感が見事でした。
両親役に渡辺真起子と堀部圭亮を配役するあたりも、抜け目ないというか。
裕福な家庭で、理解のある(ありそうな?)両親の元で、やりたりことをやって暮らしているハヤシは、カナからすると自分が持っていないものをすべて持っているように見えて、だからこその暴力的な衝動を表に出していたのかな、と思いました。
ハヤシはなぜあの生活を続けているんだろう、と不思議だったのですが、おそらくこういう事態を受け入れることもある種の「施し」なんじゃないかなと。「施し」感が見えれば見えるほど、カナはどうしようもなくなくみじめな気持ちになったのではないかと。あの二人はずっとその悪循環の中で共依存な関係に陥っているのかもしれません。
風俗に連れてかれるひと、いるよね
元カレのホンダ。あんな髪型で不動産営業…?と思いつつ、献身的にカナに尽くす姿は痛々しいほどでした。
しかし訪れる破局のきっかけ「出張で行った先で上司から風俗に誘われて断れなかった」こと。素直に話すんかい、と思ったのだけど、黙っていられなかったんでしょうね。私の元夫もホンダみたいな感じで風俗に行ってました。あれ、誘う側も誘われて行く側もなんなんでしょうね。
ホンダはイケなかったとも白状していましたが、これこそ「知らねーよ」な事案でしょう。
これで心置きなくホンダの元を離れられる、カナはそれしか思わなかったのだろうと思います。怒りなどの感情はなかったんじゃないかな。
この作品、登場人物がみなさんキャラクターにぴったりハマっていて、観ていて楽しかったです。唐田えりかも初めて演技をしているところを観ましたが、謎な・意味の分からない・でもやけにいい女感のある雰囲気が自然でした。
カナという女の子は、大小あれどどの女性にも内包されているのではと。それを表に出すか出さないか、うまく飼いならすか暴れるのを止められないか、という差が、道を分けるのだろうなと思いました。
しあわせに生きたいよなぁ。
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