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【ICT教育のリアル】ICT教育黎明期の学校側チャレンジ

 我が家は、完全帰国をするまでの間、数年ごとに国際引越をしていたため、子供たちもそれに伴い転校を強いられてきた。

長女のセリと長男のギンは、チラと日本の小学校を経験しており、次男のレンは日本の幼稚園に通ったことがあるが、2歳で渡豪した末っ子のバクは、日本の教育に一切触れたことがない。  

そして彼らは数年単位で転校をするだけではなく、教育システムを点々としてきた。

彼らが経験した教育システムをざっと並べてみると、こういう感じ。

日本の公立小学校
豪州ビクトリア州の公立小学校
カナダのオンタリオ州式
豪州式
米国式
国際バカロレア(IB)…….

大きな教育システムの話をしても分かりにくいと思うが、社会科については特に学ぶ内容がそもそも異なる。日本の場合なら、自分たちの住む市町村や都道府県、地理上の固有名詞(信濃川や飛騨山脈など)を覚えたりする。つまり米国人、カナダ人、豪州人、日本人が学ぶ内容は同じではない。特に小学生~中学生くらいの場合、うちの子供達が習った歴史・地理あたりの教育内容には、一貫性がほとんどない。  

オーストラリアの国歌とWaltzing Matildaを歌い、カナダのオンタリオ州の地理を細かく記憶し、そして米国大統領を初代から覚えるということをやらされてきたわけだ。外国語の教育も、彼らにとっては英語が国語なので、住んでいる土地の言葉を選んだりもする。中国語(普通語)だったり、韓国語だったり、スペイン語を履修した子もいた。  

うちの子供達は、こうやって親のご都合に振り回されてきたわけだが、その中の「ある時期」が奇しくも「世界中の教育において本格的にICT導入へと移行した時期」とオーバーラップしていた。

ICT(Information and Communications Technology)教育とは、 情報通信技術を使った教育、である。つまりラップトップやデスクトップPCを、教育の現場で取り入れるということと、この情報化社会においての情報の取り扱い方について「実際に身についた使えるスキル」を獲得するための教育を受けてきた。

その中には、どうやって情報を収集し、分析加工し、アウトプットとしてまとめていくかも含まれる。

単に、ワープロで文章を打てるようになるとか、そういうことではないのだ。

ところで、私自身は元システムエンジニアで、PCのオペレーションにも環境設定にも、トラブル対応にも特に問題はない。どちらかと言えばIT系についてはアーリーアダプターの部類に属していると思うのだが、それでもこの突然の学齢期の子供たちへのコンピュータ配布については、何度も学校とバトってしまった。

当時の私は、子供にコンピュータは不要だと思っていたからだ。

まずは、2009年の本格導入までの間の、学校現場でのトライアルをざっくり話してみたい。

1、 【2002年~2005年】オーストラリアの公立小学校

当時、長女、長男と次男は、メルボルンの公立小学校(Primary School)に通っていて、末っ子は日本の保育園に相当するナーサリーに行っていた。そのどちらにも子供達が遊べるようにパソコンは置かれていた。

小学校では、一クラスに数台くらいの割合でデスクトップPCが配置されていたが、その用途は主にLEXILEの判定テスト用であった。子供たちによると、それ以外にも教育用のゲームなども自由に遊べたらしい。

当時、このLEXILEのシステムにいたく感銘を受けた。

小学校では、毎日学校から借りてきた本を読むという宿題が出されていた。逆に言うと、宿題はこれだけであった。

低学年の場合、ママさんのボランティアが毎日順番に学校に来て、読んだ本についてママさんが質問をして、それに答える

自分が読み終わった本についてのテストを受けて、その解答からLEXILEレベルが判定され、そのレベルに応じた本を読むのだ。

本の選定は、同じレベルを読み続けるわけではなく、少しずつチャレンジングなレベルに上げていくなども教師の暗黙知。先生曰く、同じクラスに属していても、大人顔負けの難易度の本を読んでいることも、年齢よりも低めのレベルの本を読んでいる子もいるほど、リーディング能力には個人差が大きいらしい。

それでもその子に応じたレベルの本を読み続けることができるので、どの子も、自分のレベルに応じたリーディングを楽しめるし、それを学習の指針にもできる。あまりにも自分のレベルとかけ離れたレベルの本を読むことも、本人にとっては面白くないものだ。うまくできている。

ざっくりとした説明はこちら。

2002年の段階で、子供たちは既にPC前でテスト(Quiz)を受け、クリックして画面を進めるようなことを全員がやっていた。ちなみに我が家には、家族の人数以上の台数のMacintoshやPCがあったので、うちの子供達に限定すれば、既にPCの簡単なオペレーションは問題なくできていた。

2、 【2005年~2008年】カナダ式のインターナショナルスクール

当時から、ハイスクール(日本で言う中学三年生〜高校生)は、全員ラップトップが導入されていたが、長女のセリが中学生くらいの頃だったので、その環境にはなかった。しかしながら、各クラスにPCは配置されていて、コンピュータルームに行って、そこで授業を受けることもあり、その際には全員がPCの前に座ることもあった。 末っ子のバクによると、この頃には学校のPCでゲームをすることも多く、男の子たちは休み時間にPC前にたむろすることも多かった様だ。

3、【2008年〜】米国式のインターナショナルスクール(韓国)

2008年からは米国式に移った。その時から、学校にはコンピュータルームがあり、Technologyの先生がその管理も兼ねていた

その翌年の2009年に、 ある学年におけるラップトップ配布の試みが始まるのだが、その学年に当たってしまったのが、次男のレンであった。

この学年の子供たちを取り巻くバトルが、学校内外で勃発し始める。

そして、当然ながら我が家でも。


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