seven the youth (ultraseven for adults) #47 who are you?
#47 who are you?
あらすじ
この話は「セブンザユース」のスピンオフで
ある。主人公ハタオリカズヲは高校教師だが
仕事や家族、持病などが原因で心身を壊し、
現在は休職している。小学生のころ、カズヲ
は勉強も運動も苦手で、幼馴染の女子たちに
苛められ心をズタズタにインベイドされる。
中学で幼馴染と離れると心身を鍛え始めた。
大学を卒業して社会に出ると、今度はカズヲ
のリベンジがはじまり、女性を次々とインベ
イドしていく。出会いと別離れをくりかえし
ながら、年を重ねるにつれて、心から一緒に
いたいと思ったレイコに出会う。だが、再び
裏切ることになり、別の女性と結婚するが、
カズヲは真の孤独と後悔を知ることになる。
この作品はフィクションであり、
実在する人物、地名、団体とは、
一切関係ない。
プロローグ
なかよしだったはずの人が
いつの間にか知らぬうちに
他人よりも遠い関係になる
優しい声も温かい温もりも
もう二度と帰ることはない
振り返ればそれの繰り返し
忙しいときには忘れていた
通り過ぎて行った人たちを
心の病が呼び起こしている
あのときにああしておけば
幸せになっていただろうか
自責と後悔とがおしよせる
休職して不安な毎日が続く
これからどうなるのだろう
生きている価値なんてない
唯一よかったことといえば
老いた両親と過ごせたこと
好きな蕎麦やパチンコとか
毎日のように連れていった
やがて父は糖尿病の合併症
両足切断し心不全で死んだ
母はトイレで凍死していた
切断の手術に立ち会ったり
葬式を準備する必要もない
これで本当の独りになった
結婚状態は継続しているが
もはや離婚と何ら変わらず
この女と一緒になるために
大切なものを失てしまった
はやく気づくべきであった
見えてる世界が全く異なる
出会った頃と人が変わった
おかしいと感じるところは
たしかにいろいろとあった
駅の改札口で見送るときに
一度も振り返らないことや
車で帰る時も見送りはない
そんな女一人もいなかった
また子どもが生まれてから
触れあうことが一度もない
一度だけお願いしたけれど
頑なに拒否されそれいらい
ほとんど口もきいていない
言いたいことがあるときは
同じ屋根の下にいてさえも
メールで送ってくるしまつ
仕事の場所の都合とはいえ
式直後から別居生活だった
最後の最後に外れを引いた
子どもを生んでくれたこと
だけはとても感謝している
子どもなんか一生いらない
とずっと思っていたけれど
生まれると考えが変わった
その子どもにも会えぬ日々
子どもが生まれてから妻の
心は更に遠くなっていった
連絡があるときは頼み事か
文句を言いたいときだけだ
誕生日になにかを送っても
文字だけの感謝でおしまい
逆に俺の日には連絡もない
休職と結婚と後悔と罪悪と
孤独と喪失と虚脱と絶望と
早く抜けだしたい逃れたい
とうとうバチがあたったな
でももうどうにもならない
どうしていいかもわからず
暗い中でベッドに横になり
ただ天井を見つめて過去を
掘り起こすことに専念する
俺はいったい何ものなんだ
そんな弱ったカズヲの心に
フック星人の影が忍び寄る
別居して遠くにいるはずの
息子が夢の中に突然現れて
エイリャンでも見るような
目つきをして俺にたずねる
あなたはだぁれ?
俺か
俺はハタオリカズヲだ
第1章 東京
病院での職場復帰訓練は
昨日をもって全て終了した
訓練は御茶ノ水の病院で
一週間に二日行われた
精神診療科の治療は
患者の話を聞くことと
薬を処方されることだけ
それで治れば苦労はしない
でも病院での訓練は周りに人が
いるだけでいくらか救われた
静寂は再びやってきた
古い友だちのように
週末は高校時代のバンド仲間と会って
故郷で行われるライブに行く予定である
とにかく孤独をなんとかごまかすしかない
眠れない夜に気づかぬうちに眠りに落ちると
高校時代のバンド「ザ・ユース」のメンバーが
見知らぬ人のような顔してよそよそしくたずねる
あなたはだぁれ?
俺か
俺はハタオリカズヲだ
シャワーを浴び着替える
テレビをつけると朝ドラが
最終回であっけなく幕切れた
もう一度ベッドに横たわると
白い壁から今まで関係のあった
女性たちの面々が現れては
そしらぬ顔で消えていく
ミイは大学の同級生
母親とも親しくしていた
父親は在学中に亡くなった
実家にも連れて帰った
母親が旅行で不在のときに
公認で泊まらせてもらったが
その駅にはまだモノレールもなく
京王線も小田急線も終点だった頃だ
ミイはいつも近くにいてくれたが
自分のなかにある説明すらできない
精神的な不安からは解放されなかった
ミイは銀行員と結婚して母親になった
911のときニューヨークに住んでいた
今は俺のマンションの窓から見えるくらい
近所に住んでいるから偶然とはいえ不思議だ
まだ若かりし頃のミイが若かりし頃の俺にいう
あなたはだぁれ?
俺か
俺はハタオリカズヲだ
ノンは最初の職場の同僚で
十二歳年上のおねえさんだった
誘われて飲みに行った場所が
立教大学の近くにあった
地下酒場マダムシルク
ノンは煙草を吸いながら
カクテルを立て続けに飲む
煙にまみれて時だけが過ぎる
そのうちノンは俺と目があうと
キスしてと目を閉じて
テーブルに乗りだす
店を出ると土砂降り傘もない
駅に向かって歩いたけれど
途中の公園でびしょぬれのまま
抱きしめあいいつまでもキスした
そのまま近くのホテルに場所を移す
俺はそのまま仕事に行ったけど
職場に着くと管理職がノンと
休暇連絡の電話をしていた
はじめて俺のアパートに来たときには
抱えきれないくらいのカスミソウと
ガラスの花瓶を両手でもってきた
ノンは二度目の結婚中だった
一度目はゲイとの偽装結婚
二度目の現旦那はギャンブルで
数千万円の借金をしていたけれど
ノンが返済して離婚した
有名な作家の孫であって
これもまた有名な女優だった
母親と二人で暮らしていた
金持ちで綺麗だがどこか妖しく
何かははっきりとはわからないが
目に見えない力をもっていた
パーラーでノンが選ぶ台は
まちがいなく打ち止めになる
ノンとはしばらく暮らしたが
奇妙なことにいつも化粧をして
その素顔を一度も見たことがない
また異常なほど嫉妬深い性格だった
金持ちで妖艶ではあったけれど
俺の心は徐々に離れはじめていた
わかれを切りだした瞬間に
ノンがプレゼントしてくれた
腕時計がピタリと止まる
それが最後に見せた超能力だった
その後は俺より年下の男と一緒になり
早期退職して阿佐ヶ谷の豪邸を売り払い
富士山の麓にいるとの噂話を最後に
行方がわからなくなってしまった
化粧を落としてチラ見では
誰だかわからないノンがいう
あなたはだぁれ?
俺か
俺はハタオリカズヲだ
タマは九歳下だった
部活のマネージャーだったが
いつしか一緒に住むようになり
俺の家から学校に通い
俺の家に学校から帰った
タマは俺の女癖の悪さに
愛想を尽かして出ていくが
どういう訳か俺が住んでるのは
タマの母から購入したマンション
まだ幼くて制服姿のタマが俺にいう
あなたはだぁれ?
俺か
俺はハタオリカズヲだ
可愛がっていたタマがいなくなり
心にぽっかり穴があいた傷心の俺を
慰めてくれたのがシホであった
二つ年上のシホは同僚体育教師で
新宿のダンスホールで懇意になった
どういう経緯かおぼえていないが
新潟で飲んで古町のホテルに泊まる
ヒョウ柄の下着は
シホの豊満な肉体を
いっそう魅力的にした
だがシホとは
それきりだった
白いシーツの上で
よつんばいになって
シホが振り返っていう
あなたはだぁれ?
俺か
俺はハタオリカズヲだ
タマと同い年でしかも
同じ誕生日と血液型のミオ
それが最初の妻になった
ミオは休み時間になる度に
職員室にいる俺に会いにきた
どっかつれていって
どこでもいいから
ある日のこと耳もとで囁く
俺たちは茅ヶ崎海岸にいった
バレリーナでモデルだった
ミオはスタイルは抜群だった
三年間結婚していたが
一年間別居していた
全面的に俺が悪かったが
ミオはタバコを吸いはじめ
男ができて帰りが遅くなった
裁判所にも何度か足を運んだが
結果的に離婚することになる
離婚したくはなかったが
誰にも言えない二人の秘密を
そこまで言うと思うくらい
弁護士に赤裸々に話す
弁護士からの離婚届に
印鑑を逆さまに捺し返信した
その後どうしているのかは
まったくわからない
他人より遠い存在になる
シンデレラ城の真ん前でミオは俺にいう
あなたはだぁれ?
俺か
俺はハタオリカズヲだ
第2章 外環
カズヲの魂の半分くらいはもうすでに
フック星人にインベイドされていた
二度寝から目覚めると昼だったので
急いで準備をして故郷へ車を走らせる
週末この時間帯は外環に乗るまでが長い
外環に乗っても東北自動車道まで混雑する
ムッコは双子の姉で職場の経営企画室にいた
狭山市の16号沿いのアパートに住んでいたが
下井草駅から少し歩いたところへ引っ越す
ムッコが風邪でダウンし
夜中に苦しんでいたときに
バイクを飛ばし家まで行った
初めての男が酷く乱暴だったらしくて
ムッコはセックスに恐怖感をもっていた
ムッコなりに俺を受け入れようとしていた
俺もできるだけ優しく接するように心がけた
いつしかムッコも結婚して
今では三人の子どもの母親で
そのうち二人は双子姉妹である
姉ムッコと妹ナッコが
同じ表情で俺にいう
あなたはだぁれ?
俺か
俺はハタオリカズヲだ
ジュリもまた双子で職場の企画室にいた
ムッコの一つ年下で三人でよく飲みに行く
ジュリは所沢市に住んでいて
同僚からストーカーされていて
怖い思いをしていると連絡がある
そんなことがきっかけとなり
いっとき家に通うようになった
でもジュリはとらえどころのない性格で
すれちがうことが多くなってしまった
渋谷に越してからは音沙汰がない
最後に会ったのはいつだったか
気がつくとジュリは俺のことをいつも
見てばかりいてぱっちりとした目でいう
あなたはだぁれ?
俺か
俺はハタオリカズヲだ
リコに会ったのも
結婚するちょっと前
リコは中学校のとき憧れていた女子で
プレイする彼女はうちのチームでも
話題の中心となっていたガードだ
それがバンド仲間の従妹だったとは
奇跡としか言いようがない事実だ
その仲間の家で再会したリコは
想像していたより素晴らしかった
連絡先を交換して会うようになった
何度かデートを重ねていたある日のこと
リコの川口にあるアパートに誘われた
彼女が拵えた夕食を食べながら
俺たちはいろいろな話をした
夜も遅くなり帰ろうとすると
ねえ泊っていけばいいのに
背中越しに言われ全身が震えた
リコは六畳一間のアパートに
布団を二組しいて灯りを消した
灯りが消えてからもずうっと
真っ暗の中で会話が続いた
夢を見ているようだった
不思議なことに
俺はなにも
できなかった
リコはあきらかに
俺を求めてくれてた
にもかかわらず
どして何もできなかったのだろう
それからあまり会わなくなった
結婚して子どもも
大きくなっているな
幸せに暮らしてるのか
眠れぬ夜に暗闇の
中でリコがいう
あなたはだぁれ?
俺か
俺はハタオリカズヲだ
ユミは十歳くらい年上で
夫と二人の娘がいた
臨時講師のユミに誘われて
吉祥寺のジャズバーに飲んだ
帰り際にいきなりキスをされた
ユミはナルシストだったが変態だった
一度だけ寝てそれきり会うのをやめたが
その後も自分や娘の裸の写真を送ってきた
たまに当時のアパートにふいに現れたりした
ユミは俺の上にまたがったままで
体を床に押さえつけながらいう
あなたはだぁれ?
俺か
俺はハタオリカズヲだ
カナとは地元中学の同窓会で再開した
会のあと懐かしい校門前で待ち合わせた
カナは結婚して子どもが二人いたが
いろいろ悩んでいるようであった
ある日のこと自宅に帰ったとき
ドアの前でカナが待っていた
カナは夫も子どももおいて
東京に出てきてしまった
俺はアパートを借りて
カナをそこに住まわせた
力になってあげたかったが
いつの間に姿を消してしまう
ある日のことカナの姉
ナオから連絡があり
飲むことになった
ナオは綺麗なお姉さんで
二人の子どもがいて
離婚したばかりだった
カナの様子を聞く予定だったが
バーのテーブルでナオは
つまみのプリッツをくわえて
俺に食べるように差しだす
そんな挑発に俺はやられた
だが二回ほど会ってそれきり
やがて連絡もなくなった
カナの実家を訪れると
そこにはナオも来ていて
炬燵の中で手を握ってくる
悪戯の好きなお姉さんだった
裸のカナとナオの姉妹が
俺の両側に立っていう
あなたはだぁれ?
俺か
俺はハタオリカズヲだ
第3章 路上
路上で歌い始めたのはそのころで
そこから更に深く女性の泥沼に嵌る
地元に向かう東北自動車道は
思ってたより順調に流れている
インターを降りるころには
カズヲの心にとりついた
フック星人で車内はで充満し
今にも爆発寸前である
俺は
俺はいったいだれなんだろう
十数年なにがあっても
そばにいてくれたタカにも
愛想を尽かされてしまう
初めて会ったタカは
まだ幼い中学生で
姉がうちの学校にいて
そのまま同校に入学した
入学当初タカは
家が火事になればと
思っていたくらい
俺のことを嫌っていた
それがどういうきっかけか
休み時間ごとに職員室に
来るようになっていた
タカは文武両道
マラソン大会では
三年連続一位だった
水泳でも強化選手に
選ばれるくらいだ
きっかけはなんだったかな
昔のことで思い出せない
タカとは兎に角
いろんな所へ行き
いろんなことをした
おたがいがおたがいのことを
いちばん理解していたし
何があろうと別れることは
ないと思い込んでいた
タカの両親は離婚していた
たまにある家族の集まりには
俺も呼ばれて一緒に過ごしたが
とってもあたたかい場所であった
一緒に暮らしていれば
頭にくることもあったが
今となっては思い出せない
でも俺がタカに悲しく
辛い思いをさせたことは
まぎれもない事実だ
全身全霊で尽くしてくれた
本当に申し訳ないことをした
毎日のように隣りで横になっていたが
いつしか背中を向けて寝るようになった
タカがうしろの正面から俺に向かっていう
あなたはだぁれ?
俺か
俺はハタオリカズヲだ
ジュンは師走の寒い日
とつぜんあらわれた
コーヒーショップ店長で
池袋から吉祥寺そして
新宿から渋谷へと
次々に店を変わった
ある大晦日から元旦にかけて
ベッドでずうっと抱き合っていた
あれはいつの年末年始だったか
それからジュンは
しばらく一緒にいた
ジュンは五人姉妹の四番目で
従順で何をさせても
手際がよかったが突然
飼い猫がいなくなるように
どこかへ行ってしまった
ジュンはまん丸お目々で
俺をみつめながらいう
あなたはだぁれ?
俺か
俺はハタオリカズヲだ
アイは体のくびれが魅力的なナースだ
朝霞で一人暮らしをしていたが
秋津に引っ越して両親と住んでいたので
寒い日は近くのコインパーキングに
車を停めてその中で過ごしていた
アイは敏感で感じやすくて
裸になるといつも震えていて
常に絶頂に達してるようだった
アイとは連絡が途切れたかと思うと
忘れたころに連絡があったりする
でも名字が変わったからもうあるまい
車の中で抱きしめたら
アイが身を震わせながら
耳元で俺に囁くようにいう
あなたはだぁれ?
俺か
俺はハタオリカズヲだ
カオリはやはり職場で
体育講師をしていた
俺が遅くまで仕事をしていると
よく差し入れを持ってきてくれた
カオリのお父さんが亡くなったとき
雨の中をバイクで会いに行ったが
なかなか泣き止まないカオリを
朝がくるまで抱きしめていた
やがてカオリはうつ病になり時々
人が変わったように感情的になった
次の職場に異動になると
連絡も途切れ途切れになる
うつ病のカオリを思い出すと
現在の自分の症状と重なる
カオリはいきなり怒った声で
俺に向かって怒鳴りながらいう
あなたはだぁれ?
俺か
俺はハタオリカズヲだ
ケーコは二つ目の職場の
パソコンの講師だった
はじめて飲んだのは川越で
珍しく酔った俺は気がつくと
ケーコの膝枕で寝ていた
次に飲んだのは御徒町
店を出るとケーコは
壁によりかかり目をつぶり
少しだけ唇を突き出したので
それに自分の唇を重ねた
それからケーコとは何度か会ったが
最後に会ったのはテレコムセンターで
そこがケーコの最新の職場だった
ケーコの勤務先のビルで
一階のステージで偶然
俺は歌うことになっていた
黄色い事務服を着た
ケーコが俺にいう
あなたはだぁれ?
俺か
俺はハタオリカズヲだ
カズミは溝の口クリスマスイベントで
俺たちのライブを企画してくれた
背が高くスタイルのよい女性だった
ゴルチェのアクセサリーを愛し
黒い服が異様に似合う女性で
男勝りのワイルドな性格だ
最初に夜を過ごしたのは
拙作を出版したときの
記念ライブのときだったか
または誰かの結婚式だったか
いずれにしても
その日はカズミと
ドームホテルにいた
背中に手を回すと汗ばんだカズミがいう
あなたはだぁれ?
俺か
俺はハタオリカズヲだ
ハルはジャーナリスト
路上ライブを取材に来た
某有名進学校出身で
名門大学卒業の才女である
下北沢にあるハルのアパートは
風変わりな間取りをしていた
部屋中が散らかっていて
あちこちにメモ書きが貼ってあり
いかにも記者の部屋である
部屋でケーキを食べながら
ワインを飲んでいると
いい気持ちになり知らぬ間に
そのまま横になっていた
いきなり唇を重ねてきたので
そのまま応じてベッドに入って
長い時間はげしいスイングが続く
何度か手をつないだり腕を組んだりして
下北沢の街並みをすみずみまで歩いた
やがてケーコは名古屋へ異動になって
下北沢の部屋も引き払ってしまった
アパートの汚れた
便器に座ったままで
ハルは俺にいう
あなたはだぁれ?
俺か
俺はハタオリカズヲだ
ユイは二つ目の職場の卒業生であった
路上ライブをはじめたころに顔を出して
みんなのマスコット的存在になった
そこで知り合った彼氏とは
度重なる暴力が原因で別れた
かなり酔った状態で連絡がきた
会いたいから来てもらえませんか
大泉学園の家までバイクを飛ばした
夜遅い時間に部屋にお邪魔すると
真っ赤なチャイナドレスのユイがいた
モノクロのテレビが
そこだけカラーになった
緋色のチャイナだった
お母さんは出かけていて
今夜は帰らないから飲もう
というから仕方ないなと思った
案の定ユイは服を脱ぎ始めた
ユイの声はアニメの萌えキャラのようで
それは普段の声も喘ぎ声も同じだった
ユイとは数回あっただけで
ピタリと会うのをやめた
ユイは三人目の子どもの母親になった
旦那とはうまくいってないというが
母になると女ではなくなるのだな
赤いチャイナドレスのユイが
ちゃぶ台の向こう側で俺にいう
あなたはだぁれ?
俺か
俺はハタオリカズヲだ
チヨは小憎らしい可愛い小悪魔だった
俺は十七歳のチヨを誘惑したのだろうか
それとも俺がチヨに誘惑されたのだろうか
チヨは裏にちがう顔を持っていた
あれは本性だったのかそれとも
背伸びをしていただけなのか
四面道から少し入った裏道で
俺たちはよくお喋りをした
まだ何の関係もないころ
ミニのワンピースで現れて
そしていつものように
人の目を覗きこむように見て
こんなことを言った
きょうしたぎつけてないの
俺の部屋を初めて訪れたときには
ねえおねがいやさしくして
いたいけな可愛さに俺は翻弄され
卒業してからも何度か逢瀬を重ねた
チヨは小さなからだで
俺の大きなからだを
すっぽり包みこむ
いつしかメアド
電話番号も変わり
連絡がとれなくなる
チヨはスカートのすそを
たくしあげながらいう
あなたはだぁれ?
俺か
俺はハタオリカズヲだ
第4章 故郷
インターを降りるとまっすぐに
寿町にある仲間の家に向かう
小学生のときは
何をしてやっても
ダメな人間であった
成績はオール1で
運動神経は鈍く
だらしなくて
女子にまで
嫌われた
四年生のときに
登校拒否になった
みな俺を馬鹿にした
すべてフックのせいだ
苗字がフクダなので
フックと呼ばれていた
幼馴染は六人いたが
カズヲ以外は女だった
フックだけは一年年上で
まるで親分の如くふるまう
学校の帰り路地裏の工場跡で
幼馴染に地面に圧しつけられて
カズヲはズボンと下着を脱がされ
フックの命令で酷い仕打ちを受けた
カズヲの羞恥を栄養にするかのように
フックは満足そうに俺の顔を足で踏んだ
両親や先生に相談しても
解決などする筈がない
死んでしまいたかった
でもそんな勇気なかった
ならみんな殺してやろうか
くりかえし考える毎日だった
エーコはへそにピアスをした女で
大きな娘がひとりいたが独身だ
そのころ調子に乗っていた俺は
エーコを奴隷のように扱ったけど
エーコはそれに従順に応じた
少し身の危険を感じたので
以来ふたりで会うのをやめた
カエルをにらむヘビのような
目つきをしたエーコがいう
あなたはだぁれ?
俺か
俺はハタオリカズヲだ
チアキはテニス好きの元気なお姉さんだった
お姉さんといっても俺よりはずっと年下だ
大宮で開かれたローカルのテニス大会で
ダブルスを組んで優勝してドリンクを
何箱ももらい持ち帰ったことがある
チアキは明るい性格だったが
どこか暗い影を引きづっていた
ある夜に呼び出されて
チアキが車で迎えに来た
まだ昔の国分寺駅の近くで
涙を流しながら話しはじめた
中学生のとき実の父親にレイプされたこと
川口にある女子高に逃げ一人暮らししたこと
そのあと住んでいた川口にあるアパートまで
ドライブしたらなんとリコさん家の近所だった
これもまたある夜のことチアキは
職場まで遅い時間にやってきた
俺たちは真っ暗な体育館のど真ん中で抱き合って
屋上のプールに素っ裸で飛び込んで一つになる
そんなチアキから久々に連絡があった
一緒に住みつつ一緒に働いていた
相棒が病死したという知らせで
それっきり連絡も途絶えてしまった
水の中では喋れないけれど
口の動きから判断してわかる
あなたはだぁれ?
俺か
俺はハタオリカズヲだ
ミクは真面目な女性だった
アフリカ文学を研究しながら
現地にたびたび足を運んでいた
ミクとは夜間大学で知り合い
はじめてデートしたのは池袋の
イスラエル料理の店だった
常磐台にあるアパートで
いきなり抱きしめると
クミはふるえていた
始めは恥ずかしそうにしていたが
そのうち本能を剝き出しにした
野獣のように俺にむしゃぶりついた
ミクのあそこは濡れていたものの
石のように堅く閉ざされていて
なんだかかわいそうになった
ミクとはしばらくつきあったが
再びアフリカに行ってしまい
それきりになってしまった
ミクがはるか遠いアフリカの地で
民族衣装を着て大空に向かって叫ぶ
あなたはだぁれ?
俺か
俺はハタオリカズヲだ
トミはやはり夜間大学で
知り合った助産婦であった
仲良しグループの四人で
飲んだり旅行をしたりした
混浴の温泉にも四人で一緒に
入るくらい仲良がよかった
トミは沼袋駅から十分ほど
歩いて新青梅街道から
少し入った静かな住宅街の
アパートに住んでいた
どこかへ旅行に行った帰りに家まで
車で送りとどけたときにキスした
それから何度かアパートに遊びに行ったが
深い関係にはならないはずがなってしまった
いつだったか路上ライブに来てくれたときに
トミは俺に何か言おうとしていたようだったが
別の件で別の人と話していたらいなくなり
残念ながらあれっきりになってしまった
多摩湖畔を手をつないで
散歩しながらつぶやく
あなたはだぁれ?
俺か
俺はハタオリカズヲだ
サオリはあるテレビ局のディレクターで
上智大学を卒業した聡明な美人だった
テレビ番組に出演したことがきっかけで
二人で飲みにいくことになったがその勢いで
新宿プリンスホテル最上階にウォークイン
サオリは酔いが回るにつれ泣き上戸になり
話を聞いているといろいろ大変だとわかった
午前4時ごろ不倫関係の上司から連絡があり
化粧をなおすとそそくさと部屋を後にした
それっきり連絡をすることもなくなった
たまに番組のテロップで名前を見かける
まだ頑張っているのだな
サオリは女子アナでもいけそうな
とびっきりの満面の笑顔で俺にいう
あなたはだぁれ?
俺か
俺はハタオリカズヲだ
同じディレクターつながり
もう一人すばらしい女性がいた
それが外語大卒のエリだった
エリは一度だけ新宿でデートして
話しが盛り上がったがその時すでに
エリは同僚と婚約していたのだ
エリの肩を軽く抱いてキスしただけで別れた
長い黒髪でモナリザのような風貌で
前を歩いていたエリが振り返っていう
あなたはだぁれ?
俺か
俺はハタオリカズヲだ
第5章 不惑
あなたはだぁれ?
あなたはだぁれ?
あなたはだぁれ?
思い出の中の女性たちに扮したフック星人に
問われるたびカズヲの生気は抜かれていく
抜かれるほどフック星人の力は増大する
フック星人はエイリャンなのか
あなたはだぁれとくりかえす
昔の女性たちがエイリャンなのか
それとも俺自身がエイリャンなのか
中学にいくと
小学生の仲間と
ほとんどわかれた
バスケ部に入り
毎日身体を鍛える
やがてキャプテンに
小学生時代から
英語だけは勉強し
中学で成績が一番に
アコギを覚えて
もてたいばかりに
必死に練習を続けた
小学生の自分よりも
いくらかましになるが
相変わらず気が弱かった
ココは原因不明の病気を患い
入退院をくりかえしていた
つらく苦しい人生なのだろう
そのつらさを俺にぶつけた
ココはチヨと同じクラスだった
ただ危険をいつも持ち歩いていた
切羽つまると何をするかわからない
風の噂では今は元気で結婚したようだ
ココはコスモスで満開の臨海公園の
大観覧車の中でまむかいに座っていう
あなたはだぁれ?
俺か
俺はハタオリカズヲだ
スズは担任していた
クラスの優等生だった
卒業してある夜に
酔っぱらって現れた
いろいろあったようで
ひどく激しく荒れていた
とりあえず抱きしめて落ちつかせ
唇を求めてきたのでそうれに応じた
さらにエスカレートしてきたので
指でいかせるといくらか落ちついた
でもそのあとスズと会ったのは一度きり
俺は体調が悪くはっきり思い出せない
が互いに嫌な気分だっただろう
スズは似合わない下手っくそな
化粧のはげかけた幽霊の如くいう
あなたはだぁれ?
俺か
俺はハタオリカズヲだ
キョウコは美しい顔をしていたが
美しい女性ほどひねくれた顔は醜い
十五歳年下だったがおかあさんは
誰より俺を応援してくれていた
出会ったのはおかあさんが先で
昔むかしギター教室をやったとき
受講生として参加してくれた
おかあさんはある金曜にライブに
キョウコを連れてきて俺に紹介した
キョウコは大学四年で哲学を専攻する
それがきっかけでつきあうようになった
キョウコの性格はものすごく変わっていた
いま考えればあの態度やふるまいは
ものすごい嫉妬の裏返しだったのだな
つきあい始めは俺の前で
キョウコはとにかくひねくれた
泣き叫んでどうにもならず
手がつけられないこともある
やがて会いたくても会ってくれなくなる
ある日キョウコはこんなことを言いだした
わたしね昔のオトコと今でも寝れるの
どうやら自分と同じやきもちを
俺にも焼かせたかったのだな
だがあのとき俺はただただ頭にきて
それからずうっと無視しつづけた
そのうち珍しくキョウコから夜中にメールがきた
駅前ホテルの〇〇号室にいるから今すぐに来て
俺は行かなかった
そのままキョウコとの関係は終わってしまった
だがそのあとすぐに知らない誰かと結婚した
おかあさんとは今でもたまにお茶をする
本当なら今ごろ親子だったのにねえと笑う
キョウコは涙でぐしゃぐしゃの顔で俺にいう
あなたはだぁれ?
俺か
俺はハタオリカズヲだ
第6章 寿町
これまでカズヲを狙った
インベイドたちと同様
フック星人の目的も
負のエネルギーだ
現在カズヲは
自死への念慮が
ものすごく強くて
その力が狙いだった
生きるためには
力が必要だが
死ぬためにもまた
力が必要なのである
生きることよりむしろ
強い力が必要となる
寿町の友人の家に着いた
友人の淹れる珈琲は最高だ
長い時間この場所で過ごした
この場所は高校時代からの
みんなのたまり場であり
リーダーキリヤの自宅
高校生になると
気が抜けてしまう
バスケと音楽と英語
それだけが俺を支えた
同じクラスだった
キリヤフルダソウマ
四人でバンドを組んだ
それが「ザ・ユース」だ
俺たちは寿町にいつもいた
珈琲を飲みほすと市民会館に向かった
まだまだ頭の中には思い出がかけめぐる
ルナは三つ目の職場の生徒会長だった
俺に興味をもったらしく休み時間ごとに
気づけば準備室に姿をみせるようになった
ルナは小さい頃に大人にイタズラされた話や
好きな映画や俳優のことを止めどもなく話した
賢い子ではあったが進路選択に失敗した
ルナは大学に進学すればよかったのだ
劣等感に悩み欝病になってしまった
一度だけ外でお茶をしたが
別れ際にルナは俺にキスをして
そのままいなくなってしまう
続けてたブログも更新がなくなる
ルナはブログの文字で俺にいう
あなたはだぁれ?
俺か
俺はハタオリカズヲだ
寿町からみんなで市民会館に向かう
昔のアイドルの久々のステージだった
二階席だったが最前列でとても見やすい
マコは二十歳で二十七歳下の
慶応大法学部の学生だった
どう知り合ったかはおいといて
マコは二十歳だったけれど
二十歳には見えなかった
だが内面は子どもだった
セックスに関しては奔放で
甘えるのがとてもうまかった
こんな感じで男を虜にしてきた
だがマコは自分で気づいていない
だがそれが自然なそぶりなのだった
中学生の時に熟の先生と関係をもった
そんなエピソードを軽いノリで話す
いつか痛い目に会わなければいいけどな
いけたのは俺が初めてだというが
そんな嘘を俺は信じたりしない
それでも松が谷のマコとはよく会っていた
助手席に座ると頭を肩にすりよせてくる
そのうちマコは白血病になってしまった
治療や投薬で金がかかったらしいけど
いつの間に結婚していておどろいた
シャワーを浴びる俺に
後ろから抱きついていう
あなたはだぁれ?
俺か
俺はハタオリカズヲだ
アリスは不思議の国から現れた
四十歳に近いが童顔で若くみえる
その正体は俺にもわからない
いつも嵐のように現れて嵐のように去っていく
メールしても返信があるのはい週間以上後だ
アリスは三種類に分類されていた
普段は口数の少ない大人しいアリス
酔っぱらうと言葉がとまらないアリス
ベッドでは小さな声で早口で喋るアリス
いったいこの三面怪人は何者なであろうか
そんなアリスがバイクの後ろで
俺の背中にしがみついていう
あなたはだぁれ?
俺か
俺はハタオリカズヲだ
定刻を数分すぎたころに
コンサートは始まった
三つ目の職場で管理職に裏切られ
四つめの職場で抑うつ状態になった
両親の状態は酷くなるばかり
父は糖尿から緑内障と両足切断
母は財布を盗まれたと俺を疑った
しばらく実家と東京の職場との往復
おまけに狭心症と診断され手術をした
いろいろなことが重なり
血尿下血が始まり休職した
マリは年上のお姉さん
ギター教室で知り合った
ダンナさんが受講生だったが
たまたま代わりに出席していた
ところがずっと後になって知ったが
ダンナさんは自宅で自殺してしまった
そのことでマリは自分を責めていたが
理由はそれだけではなく他にあるはずだ
そんな話をしてからマリは
路上ライブを応援してくれた
その深い懐に溺れそうになった
マリは俺の頭を掌で
撫でながら優しくいう
あなたはだぁれ?
俺か
俺はハタオリカズヲだ
デリヘルの星影(♯45)といい
ニュー桜のコノヨ(♯23)といい
風俗嬢には死臭がする人が多い
リサとは都内のある風俗店で知り合う
落ち込んだり辛いときにはそこに通った
通っているうちに何となくつきあい始めた
リサは夫の稼ぎだけでは生活できなくて
子どもの学費のために夫公認で働いていた
挿入はNGの店だったが内緒で許してくれた
風俗嬢もニンゲンだからね
良い客にはサービスするけど
嫌な客には適当に終わらすとか
リサは風俗の裏の話をしてくれた
おたがい本名は知らない
死ねば楽になるかなあ
がリサの口癖だった
風俗嬢はいろいろな意味で出入りが
激しくてリサは俺の前からも店からも
なんの前触れもなく姿を消してしまった
一度だけ列車の中で似た人を見つけた
声をかけようとしたができなかった
生きているならリサにちがいない
辛く苦しい思いをした人ほど
悲しい笑顔の下の優しさがある
どんな事情があるか
どんな心情があるかは
知りたいけどわからない
でも必死に生と戦っている
生きてるのか死んでるのか
わからないままのリサがいう
あなたはだぁれ?
俺か
俺はハタオリカズヲだ
第7章 夕陽
コンサートでは数曲ごとMCが入る
「渡良瀬橋」を歌っているときに
ちょっとした動画演出があった
そのときちょうどレイコのことを思い出していた
(レイコについては#41を参照)
同僚のお母さんのお葬式の日に
立川ではじめて二人で飲んだ
いつだったかどこかに旅行に
行った帰りに故郷に立ち寄った
今なら織姫山の古墳上から見える
綺麗な夕陽に間に合うと思った
同じ故郷の夕日でもあの時ほど
綺麗な夕陽は見たことがない
夕陽を見ていた俺たちはいつの間にか
暗黙のうちに気持ちを確かめあっていた
「渡良瀬橋」が夕陽の映像をバックに
流れ始めると流れ出る涙と逆流するように
カズヲの心身に生気がもどってきた
カズヲが発するエネルギーの大きさは
以前からシンクロすることもよくあるが
東京にいるモロボシにも感じられるほどだ
センセー大丈夫かな
独りでも戦えてるかな
これまでたくさんの人たちが
カズヲの前を通り過ぎみな
どこかに消えてしまった
だけど四人の絆は変わらない
キリヤとフルダとソウマが
笑いながら俺にたずねる
あなたはだぁれ?
俺か
俺はハタオリカズヲだ
そんなのわかってるよ笑
そう言ってくれるのは
地球上に三人しかいない
キリヤはいつでも俺を励ましてくれる
フルダはいつでも俺を救ってくれる
ソウマはいつでも俺に優しくしてくれる
ありがたい本当に感謝している
これ以上の宝物はこの世にはない
それさえ自分の力にできないでいる
これからどうすればいいのか
これからどうなるのだろう
その二つの問いが頭から離れない
英語で小説を書き誤魔化す日々
俺はこの数十年何をしてきたのかな
あなたはだぁれ?
妻は俺にいわない
だから俺もきかない
やはりフックだったか
俺をどこまで苦しませる
だけど子どもは俺にいう
会えなくても俺にいう
あなたはだぁれ?
俺か
俺は
答えにつまる
でもおまえのこと愛している
今の俺はいったい誰なんだろう
現在の自分の状態を
過去の自分のせいにして
未来の自分を考えない
残念ながら前向きな言葉は
嘘でも自分からは出てこない
かといって覆水盆に返らず
子どもを生めば女は母になる
どうあがいても元には戻らない
思い描いた未来がくることはない
今にも止まりそうな心臓と
年齢とともに悪くなる耳と目
すべてのやる気の根源であった
性欲も衰えほぼ不能同然となった
記憶力も衰えてもう戦う武器がない
それでも昔の友だちが負の力を
一時的であるが封じ込んでくれた
それが現在の等身大の自分自身
いつの間にかフック星人は
影も形もなくなっていた
そしてハタオリとモロボシの
物語は最終話を迎えるのである
エピローグ(フルダの手紙より)
カズヲのマイナスのエネルギーの大きさっていうのは、心のエネルギーの強さの裏返しだから、いつだって他の人よりも振れ幅が大きいんだよ。もちろんマイナスの時ばかりではない。周囲の人たちもカズヲが好きだから一緒にいるんだよ。ドコでダレとナニをしていても構わない。いてくれさえすれば繋がっていられる。心が動くのは大変だけど、たまに一緒の時間を過ごせれば、少しは痛みも共有できるかもしれない。もちろんそれはみんなお互い様さ。誰かが誰かを一方的に支援するのではない。それが仲間だ。カズヲ、おまえは一人ではない。もう立派な「ザ・ユース」の仲間だ。ついでにカズヲの前を通り過ぎたたくさんの人たちも、みんな「ザ・ユース」の仲間だ。この合言葉でみんな繋がっている。イエス・ホープ!
#47 the end