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数字と物語②──群と個、あるいは操縦士の眼差し
「数字と物語」を色々のレンズ越しに眺めてみたい。もとは芸術と技術、自然科学と人文科学、論理と直観、有用性の問題の切り口を思い浮かべていたが、今日は少し迂回して、サン=テグジュペリの『人間の土地』で描かれている言葉をたよりに、これを考えてみたい。
『人間の土地』の冒頭に、「地理学者」と「操縦士」の眼差しの対比、とでもいえるモチーフを覗き見ることができる。一般的な知と個別の感覚、または「群」と「個」
数字と物語①──再現性と一回性の波打ち際
「はかどる」と「はかない」「はかどる」と「はかない」──それぞれ「仕事の効率」と「無常の美意識」に紐づくふたつの言葉は、実は「はか」というおなじ概念でつながっている。
はか、という言葉を辞書で調べてみると、「時間に応じた、仕事の進みぐあい」とある。もとは稲を植えたり刈ったりするときの田んぼの一区画のことをいったそうだ。どれだけの米がとれるのか、どれだけ能率的か。「はか」は、なにかを「量る」ことを