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夏の終わり 学校帰りに駅からの坂を下る 黄色い自転車はスピードを上げて 踏切を渡る 線路の一…
僕にはちいさな子がいる。 いるというかくっついているというか右側に佇んでいる。 その子は…
不安 理由のない 漠然とした 不安 お腹がざわざわする うなじから胸 右の脇腹に沿って 内側…
深い森がいる 私の奥深くに 緑は濃く ところどころ渦を巻き 黒みを帯びた不可視の境界 森に…
あの日 十代だったある5月の日 まばゆいばかりの晴天の下 知らない町の知らない道を 私た…
子どもたちと遊んでいると 穏やかに晴れた空から 砂が降ってきた 砂は はじめは美しく輝いて …
はじめて感じた陽の光は とてもあたたかだった はじめて感じたものが陽の光だったのに どこにいたのか どこから来たのか 何もわからなかったのに 降り注いでいた光はなぜか優しくて あたたかだった とても そのとき彼は 私の横で 公園にある大きなクスノキのざらざらと乾いた肌に触れて その呼吸を感じていた 首筋に柔らかな光を受けながら 触れている無数の割れ目からはクスノキの吐息が吹き出ていて 彼を通って私を包み込んでいた 私は 光とあたたかさを吐息で包み 小さな結晶に
世界との間には 断層がある だ ん そ う 世界の側にあって 与えられることのなくて 目に…
見て 来て 探して欲しい 絶対に触れることなく 欠けているもの 満たされないもの 隠され…
世界は色で満ちている あらゆる色の粒が あまりにもたくさんつまっていて 透明に見えるぐらい…
夜空に小さく見えるあの星には 夜の迷路があるらしい 不思議だね どうして作ったのだろう 誰…
手を胸でクロスさせ 目を閉じ 後ろにそっと倒れる 重さにひかれた体は止まるすべもなく 受…
綱渡りって何が怖いか知ってる? 綱から落ちることじゃない どこを向いているか どちらに進…
春服で歩いたら はらはらと地上に落ちた 私の古い結晶が溶けていく 染みひとつ残さずに *** ウサギと馬さんの「春服で歩いたら」のお題を見て浮かんだ詩 https://twitter.com/usaginoletter/status/1624673445127798784?s=46&t=EA0EZd-tKZSLs99hsMZi1g