【詩】信頼
手を胸でクロスさせ
目を閉じ
後ろにそっと倒れる
重さにひかれた体は止まるすべもなく
受け止めてくれるものは
ただ
小さく床に置かれた布団だけ
それでも
嘘を吐かず
条件をつけず
消えてしまうこともなく
自分こそ大変なんだと主張せず
何も持たない人もいると話をそらすこともなく
ただ
幾度もの落下を受け止めてくれて
暖かさで包んでくれるものは
彼ら
そして
うずくまるわたしを見ていたものは
天井を歩く小さな蜘蛛だけでした
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以下、説明です。
説明することは、正直なところ詩を破壊するに等しい行為であるように思うのですが、今回は書いておいた方がよいようにも思うので書いておきます。いきなり布団が出てくるし。
でもやっぱり説明は読まない方がいいかな……
よし、ワンクッション置こう。
見たい人だけ先に進んでください。
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多分中学生か高校生あたりのことだったように思いますが、布団を畳んでクッションにし、そこに後ろ向きに倒れることをある時期繰り返していたのを突然思い出しました。
やっていた理由はおそらくは安心が欲しいからで、今から考えると、何の支えもなく後ろ向きに落下する怖さから布団の暖かさ(自分の体温)につながることで、ドーパミンだかなにかを無意識に出そうとしていたのかもしれないです(もちろん本質的には何の助けにもなってません)。
思い出して感じたことは、あの頃の自分は親よりも布団を信頼していたんだなあということで(これに気づいたときに結構ウケた)、まあ、布団の方を信頼しても仕方ないよなという家庭環境ではありました。布団は、都合よくころころと言うことや態度を変えたりしないし、いきなり怒りだしたりしないし、体の重みをあずけて暖かさを感じられる唯一の手段でしたし。自分の体温ですけどね(とはいえ自分の暖かさを感じるのって、意外と大切なことのように思います)。
これが詩の背景です。
ところで、手を胸でクロスさせるとは、ウェンズデーの寝方みたいなイメージです。
この寝方は、今でもたまにやってるときがあって、何でそんなに可愛く寝てるのかと言われることもありますが、無意識なので仕方ない…。それに可愛いですか?この寝方。
無意識で何かに耐えているのか、クロスした状態で自分の身体を締め付けているときや、トラウマを持っている人に多いと聞きますが、歯を食いしばって寝ているときも多くて、まあ、いろいろと大変です。歯医者に行くと毎回指摘されますが、成長期に続いていたらしい食いしばりによって上あごの骨が変形してたりもします。今でも寝るときはマウスピースがかかせません。
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世の中には寝方による性格診断というのもあるらしく、本当なんですかねこれ。半世紀近く前の本に書いてあることらしいし、ちょっと疑わしい。サンプルが偏っているんじゃないの?とか思ってしまいます。この診断によれば、私は主に半胎児型で「ストレスをためにくく、気持ちが安定している人が多い」らしいけれど、はたしてそうなのか。
寝方で何かがわかっても、その人の性格ではなくて、その人の置かれた環境だろうという気はします。
話が完全にそれちゃってて、やっぱり説明はいらなかったか….と思いながら終わります。