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トップダウンとボトムアップと裏方の美学

放たれる前に、その矢は命中しているのだ

ゴールを明確にしてトップダウンで考える、というのは非常に陳腐なことだが、これ以上のことはない。明確にするというのは言葉や絵など、自分以外に理解できる形に落とし込めるだけのことを言う。
手に触れることができ、目で見て匂いや味を感じることができて初めて明確になったと言える。あやふやにこうしたい、こうなったらいいなどでは、仮に着地できたとしても本来ほしたかったものとは異なっている。

トップダウンで明確に考え抜くためにはボトムアップが不可欠である。
矛盾しているようだが、ボトムアップたる試行錯誤なくして仕事の像は明確に描くことはできない。仮にいきなりトップから明確に描ける人がいるとするならば、それは今日にいたるまでのボトムアップが強力に積みあがってきた結果である。その人の仕事たる苦労と成功体験の賜物である。それには純粋に敬意を表さなくてはならない。

華々しい研究成果の足元には地道な何十年にもわたる基礎研究があるよう なものだ。それらの多くは芽が出ずに終わる。
それを担うのは裏方と言われ、現場からは褒められるどころか嫌がられ、仕事を増やすために仕事をしていると揶揄される。しかしその地道な裏方だからこそ、現場の荒波に妨害されることなくトップを見失うことなく仕事をすることができる。導き手が正しい判断を行うための試行錯誤を重ね、曖昧なゴールを明確に固めて強力なトップダウンを生み出すことができる。

優秀なボスには優秀な裏方がいる

トップが明確であればあるほどことはうまく進む。目指すべきものが鮮明であれば、それを目指す人も頑張りやすいのだ。埋めるべきギャップをつぶさに映し出し課題を浮き彫りにする。大勢を奮い立たせ希望を示す。

現場が浮き沈みするのを傍から眺めるのはある種の快感だ。
牧羊犬に追い回される羊のようで、愛しくも愚かしくも思える。
そんな彼らのために、わたしは頑張ろうと思うのだ。

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