なぁぜなぁぜ?で遊んでみた話。
「なぁぜなぁぜ?」なるネタが流行っているらしい。
……ということを私が知ったのは、ネットゲーム内でイマイチ折り合いの悪い同一コミュニティ内の女性がツイッター上で「なぁぜなぁぜ、マジムカつく!!」とキレ散らかしている、とこれまたゲーム内の友人から聞いたからである。
ほむ。何だろ、「なぁぜなぁぜ」って。調べてみるか。
古今東西、「敵の敵は味方」である。
かなり性格悪めの好奇心から、私は「なぁぜなぁぜ?」についてググり、元ネタの動画を見た。可愛くぶりっ子しながら正論を突き刺していく、ブラックユーモア系のネタのようだ。ほほう、確かにウザ可愛い。そしてちょっと面白い。
「見た見た。面白いね、何でムカつくんだろ?」
「アレじゃん?どうせまた嫌いな人が使ってたとか、そういうのでしょ」
「汎用性高そうな構文だし流行るの分かるわ。『○○さん新人連れてきまくる割に面倒見ないの、なぁぜなぁぜ?』とか煽りたくなる」
「多分使い方それでめっちゃ合ってるww」
などと、キレていた人を槍玉に挙げて友人と「なぁぜなぁぜ悪口大会」を開催しているうち、友人がふと呟いた。
「でもこの『なぁぜなぁぜ?』って最初見た時、幼児番組か何かが元ネタかと思った」
あー、分かる!
確かに私も初めて「なぁぜなぁぜ?」という文字列を見た瞬間の印象は、可愛らしくてメルヘンチックなイメージだった。
元ネタの、夜の世界のブラックジョーク動画を見てしまったのでそのイメージは薄れたが、確かに「なぁぜなぁぜ?」という文字だけから想像する音声は、舌っ足らずな子供の声の方がしっくりくる。
「お空が青いの、なぁぜなぁぜ?お花が散るのは、なぁぜなぁぜ?」
「そうそう、そんな感じ!」
「虹がかかるの、なぁぜなぁぜ?――答えの方が難しいなぁ」
「そだね。何かこう、あんまり理科っぽくない方が良い気がする。空が青いのも微粒子がとかじゃなくて……うーん、何ていうかもっと『お話』っぽい……」
「雲のクジラが泳ぐから、とか?」
「あ、そういう感じそういう感じ!」
そんな風にして私と友人の『なぁぜなぁぜ構文』は、対象年齢6歳以下ぐらいの、綺麗でカラフルな絵本的世界観で使われることになり、そもそものスタートだったはずの「なぁぜなぁぜにムカついている○○さん」のことは、どこかへ飛んで行ったまま、その夜の時間は過ぎ去った。
他人を嫌うのも、ムカつくのも、坊主憎けりゃ袈裟まで憎くなるのも、私達の感情だし、それはそれで人間だから良いのだけれど。
同じどうでも良い話をするなら、下らない悪口に頭を使うよりは、のんきな作文でも考えていた方が、やっぱり精神衛生上良いのだなぁ。
――という、ただそれだけの話である。