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ここには「またね」に必要なものがたくさんあって、こんな夏をまたここの人たちと何回も過ごしたいと思った(仮暮らし:愛媛県南予地方西予市②)
珍しく私と娘だけが早く起きた朝。
徒歩1分の場所にある海へ散歩に行くことに。
今日も暑い。肌がジリジリする。
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朝ごはん
散歩から帰ると、朝ごはんができていた。
麦味噌のお味噌汁と、道の駅で激安だった大きな茄子の炒め物とミニトマトと納豆。
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麦味噌は昔から愛媛県南予地方に伝わるおみそとのことで、しっかりした甘味がある。
こちらに来てから様々な場所でお味噌汁をいただいたが、同じ麦味噌でも同じ味のものはなかった。そのお店や家庭ごとに違うみたい。
デザートには河内晩柑とスイカを。
半分が頂き物の食材。ありがたい。
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またもや語彙力を失う圧巻の段々畑
朝ごはんを食べたら、国指定の重要文化的景観に指定されている段々畑を見学に。
本来は徒歩で向かうはずだったのだけど、あまりの暑さに車で移動することに。
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段々畑の上へ向かう道は細く、対向車があるとどちらかがバックしたりなどしなくてはいけない。
すれ違う車はお互いに
「おっちゃんごめんね、今どくね」とか、
「ありがとうね、今日も暑いね」などと言い合いながら、挨拶しあって譲り合っている。
古くからあるまちなみを見たり、段々畑の歴史や、お祭りの話や、西予市に住む人のおもてなし精神について話を聞いたり。
このまちの人は、全員が全員知り合いという感じがしてとても地域の人のつながりが強そうなのだけど、誤解を恐れず言えば閉鎖的な感じが一切ない。老若男女「寄ってってや」という感じなのだ。たまたま出会った人がそうなのかと思ったけれど、おもてなし精神を聞いて納得した。
そして、段々畑は圧巻だ。テレビとか資料とかでしか見たことがなかったけれど、こんなに迫力があるのか。すごい。またもや語彙力を失った。(もともとないものを西予市のせいにしているわけではない。普段はもうちょっとはあるのだ。)
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寝返り期の我が子を思い出したタコ獲り
続いては漁船に乗ってタコ獲り体験に。気分は漁師だ。
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予めしかけられていた網をうんせうんせと引き上げると、本当にタコが入っている…!
当たり前だがウネウネクネクネペッタペッタしている。
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デジャヴを感じる。なんだっけ…。
そうだ、寝返りができるようになった頃の我が子の姿だ!
タコ獲りは、子どもたちにとっても最高のアトラクションで、魚も触れないような娘だったのにタコを触って愛でてすらいる。
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タコが獲れなかった網には、黒アナゴやハゼだかオコゼだかがいて、そんなピチピチの魚も触れるようになった娘。頼もしいなぁ。
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怖がりな息子も、怖いくせに一人でタコを持ちたがる。でも怖くてすぐ手を離す。しかも手を離す位置が悪い。毎回私の服の上で手を離すのだ(しかも汚れないようにエプロンしているところ以外の防御できない場所で)。
何度「ぎゃ」と言ったか分からない。
とにかく大人も子どもも大興奮なタコ獲りだったのだが、タコなんて捌いたこともないし処理の仕方も分からないけれど、興奮に任せてついつい1匹まるっと購入してしまった私たち。
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このあとは公民館で郷土料理を地元の人たちと一緒につくる予定なのだが、どうするタコ。どうする夫(夫任せ)。とにかく冷蔵庫に入れようか。
漁師さんに魚のさばき方から教えてもらった贅沢すぎる郷土料理体験
タコを抱えて遠い目をしている私たちに気づいてくれた地元のみなさん。
なんと、郷土料理体験の時にタコも一緒に調理してくれるとのこと。
心からありがとう…!
私も夫も魚を捌いたことがない。正直なところ、一生捌くことは無いと思っていた。
しかし、漁師さんに一から捌き方を教えてもらって、なんと3枚卸とか、刺身にする方法とか、なんならタコの処理方法まで小一時間で覚えたのだ!
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料理を覚えるってこんなに嬉しかったっけ、と思ったけれど、きっとみんなが褒めてくれるからだ。絶対上手なはずない私や夫の包丁さばきを見て「上等上等!」と師匠が褒めてくれる。
何歳になっても褒められるのは嬉しい。私も娘や息子にこうやってほめてあげればいいんだなぁと思った。
私と夫が初めての魚捌に悪戦苦闘している間、子どもたちは近くの公園や神社に地元の方に連れていってもらい、思い切り遊んでもらっていた。
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みんなでつくったご飯はすごく美味しかった。この郷土料理、ぜひ千葉でも誰かに振る舞いたいと思うほど。
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食べた後は、あらためて西予市について資料で紹介いただく。
「ようこそ」と書かれた私たちのための資料。
めちゃくちゃ嬉しい。何だこのまちの人たちは。資料を見る前からすっかりとりこだ。
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お昼寝のあとは花火を見に宇和島市へ
そのあとも、トンボの集め方やねこじゃらしを使った遊び方などを教えてもらいながらしこたま遊んでもらった子どもたちの目はもうトロンとしていて、家の玄関に着いた瞬間寝てしまった。
「夜には宇和島で花火があるよ」と教えてもらい、子どもたちが目を覚ますまでは仕事を進める。
子どもたちが起きたら、いただいた「はるか」という種類のミカンの100%ジュース(驚きの甘さ!ネクターのミカンバージョンのよう!)と、ミカンの酎ハイを持って2日ぶりの宇和島市へ。
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花火を見て、牛鬼を見て、かき氷を食べて。
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暮らしの延長のような旅をしたいと言いつつ、ここ数日は思い切り夏休みをしている。
海、漁体験、段々畑、ちょっと怖さも感じる伝統的な祭り、ねこじゃらしの遊び方、トンボの集め方、料理、かき氷、花火。
誰とどんな会話をしてどんなふうに過ごしたかが「またね」には必要な気がしている
内容だけ見たら、同じことはどこでもできるのかもしれない。
まだ知らない場所も沢山ある。
でも今は、何回もこの夏をまたここの人たちと過ごしたいと思った。
誰とどんな会話をしてどんなふうに過ごしたかが「またね」には必要な気がしている。
この夏は私たち家族の心にきっと強く残る。
「残る」と書いたら少し寂しくなった。
「残る」はちょっと違うか。
多分、何度もこの夏をここで体験したいから、また帰ってくるんだろう。
純粋に夏が終わる寂しさはあるけれど、思い出として残す寂しさを感じる必要はないのか。
どう関わっていけるだろう。
そんなことを、書きながら思う。
車で14時間と言う距離が、少し近く感じ始めている(ペーパードライバーが何を言うという感じだが)。
帰宅後は、獲ったタコの残りを夫が切って、みんなで食べる。コリコリだ。
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息子は嚙み切れなくて泣いている。なのにまた食べる。
夜は、死んだように眠った。
つづく