364*柔よく剛を制す
『諸葛孔明の兵法』より。
「柔よく剛を制し、剛弱よく強を制す」
すぐれた将は、剛と柔を兼ね備えている。
柔弱だけではかならず敗れ、
剛強だけではかならず滅びる。
世界の歴史を見ていてもそう思う。
優しすぎてもダメ、厳しすぎてもダメ。鬼の手と仏の心。そのバランスが難しい。
柔よく剛を制す。この道理は誰でも知っているが、実行できる者はいないと言っている。
水は、柔らかく弱いように見えて、堅く強いものに打ち勝つ事ができる。
そう書かれているのを読んで、なるほど、と思った。
水は弱さに徹している。弱く、そして強かに大地を駆け巡り、長い時間をかけて堅い岩肌さえ削っていく。自然に寄り添いながら、自然の形を変えていく。
今年のNHK大河ドラマ『どうする家康』も、か弱い若君が天下人に登りつめる話。虎の皮を被った白うさぎが、狼のような戦国武将たちと渡り歩きながら成長していく。
弱いからこそ、家臣たちを頼り、敵から学び、人々の声を聞き入れることができる。1人強い猛者よりも、強い猛者たちを束ねる大将のほうが、結果的に強くなれる。
まさに、柔よく剛を制し、弱よく強を制す。
水のように柔らかく、そして強かに、様々な思惑をもつ人々の間を流れながら、少しずつ状況を変えていきたい。