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<はじめての手帳スケッチ> その6.事前の線描練習(直線、曲線、真円)

はじめに

 すでに繰り返し述べてきましたが、紙のサイズが小さいからと言って絵を描くことが簡単になるとは言えません。

 ペンで形を描く練習をするには、いきなり手帳サイズで練習するのではなく、少なくともA4サイズの紙で事前練習を行うことをおすすめします。

 まず腕と手の動かし方の基礎を練習したのち、実際の手帳サイズで描いて見るとよいでしょう。

 結論を先に述べると、手帳サイズでは、いままでの習慣で文字を書くように手首から先、指を動かす絵の描き方になりがちです。その場合、線の表情(スピード感、なめらかさ、肥痩など)は乏しくなり絵が小さく固まってしまいます。
 一方、上に述べた文字の書き方ではなく、ペンを持つ指と手の形はそのままで、手首より上、肩から腕全体を動かすことで、線にスピード感や微妙な表情を持つ絵を描くことが出来るのです。

 この回では、絵の初心者を想定し、手帳サイズでいきなり練習するのではなく、A4サイズの紙を使ってペンで直線、曲線、円を描く練習を行います。

 なお、今回の練習内容はすでに別の記事に書いた内容と重なります(下記)。詳しくは、そちらを読んでいただき、本記事ではエッセンスを紹介します。

「手帳スケッチ」に最適なペンの持ち方は?

大きな紙に描く場合を考えるとよくわかるのですが、文字を書く時と絵を描く時の大きな違いは、下記の通りになります。

絵を描く時と文字を書く時の手と指の動きの違い

 具体的には後ほど手と腕の動かし方を図で示しますが、まず、直線、曲線、真円の順にペンで描く練習をします(下図)。

直線、曲線、真円の線描練習

(1)直線、平行線、多角形

ア)ペンは指に力を加えず軽く持つ。ペン先は力を加えず紙面に触れる程
  度
。そのまま動かすとインクは自然に出る。
イ)始点と途中の線、終点を意識する。始点から終点を向かう間、直線に見
  えるように
線を引く。終点と決めたところでペンを止めること。すなわ
  ち思うがままに手の動きを制御できることが重要。

 実際のペンを持つ手と腕の動かし方を下図に示します。

ペンを持つ指と手、腕の動かし方

 この図で伝えたいのは、文字を書く時と違って、長い直線を引くときは手首から先はほとんど動かさず、肩の位置は動かさず、腕を各方向に動かすこと、さらに、線を描く方向が違うと、一の腕と二の腕との角度が変化することです。

 このような動きは、おそらく初めての方が大半なので、最初上手くいかないのは当然です。けれど、何回も繰り返して、コツを飲み込めばたいていの人が出来るようになります。

 さて、直線の次は三角形、四角形、五角形など多角形です。見ての通り三角形は三つの直線を組み合わせるだけで描くことができます。ただし、それぞれの終点は、必ず行き過ぎないようにつなぎ合わせなければなりません。すなわち思ったようにペンの動きを止める、制御して止めることが求められます。この三角形の例で、制御して止めることが線で形を描くために必要なことが分かります。それ以上の四角形、五角形・・も同様に線の組み合わせで描くことが出来ます。

(2)曲線

 次は曲線の練習です。例題として、最初は大きな曲線、次に高さが小さい曲線、さらに次々と、高さとピッチ(波の幅)を小さくしながら曲線を描いていきます。(冒頭の図を参照ください)

 これらの曲線も、直線の時のように、紙に置いた手刀部分をすべらしながら腕全体を動かして描きます。

(3)真円、同心円

 最後に、真円を描く練習です。描き方ですが、一気に丸を描いてしまうことも練習次第でありえます。(例えば、禅僧が筆で丸を描くように)

 私の場合は、まず、左側の半円を描いてから対称の位置に右半円を描いてつなぐ2分割法で線描しています。(次の絵を参照ください)

真円の描き方

手順は、図の中に詳しく書きました。以下注意点を記します。

 ・当たり点を多く打ちすぎない。打ちすぎると、当たり点で角張る
  ことになりがちで、なめらかな円弧を描けない。
 ・描き始めは、接線を引く方向でペン先を動かすが、次の当たり点では接
  線を引くように入り、また次の当たり点に向かう。

 円を描き終わったら、内部に同心円を描くことで、線描の練習を終えます。

おわりに

 以上で、A4サイズの紙での線描練習は終わりますが、実際に手帳サイズ、例えばB6のサイズの紙で描いて見てください。

 A4サイズの時と違って、ペンを動かすのが窮屈に感じるかもしれませんが、手首から先は同じ形に保ち、腕を使って紙面をすべらすよう、A4サイズで学んだ動きを保ってください。

 次の記事では、野菜果物の線描練習に移ります。

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