【日記と随筆と妄想の三つ巴合戦 -- 書評『にょっ記』】
---------------
タイトル: #にょっ記
著者: #穂村弘
書籍: #文庫
ジャンル: #エッセイ
初版年: #2009年
出版国: #日本
出版社: #文藝春秋
全巻数: #1巻
続刊予定: #未完
全頁数: #179ページ
評価:★★★★★
---------------
【あらすじ】
現代短歌の著名な歌人で自虐エッセイの名手、穂村弘。そんな想像と妄想のスペシャリストである穂村氏がもしも日記をつけ始めたら、周りの日常は、私たちの社会は、どのように見えてくるのか。今亡きフジマトマサルのキュートで毒のある挿絵(1コマ漫画)も見逃せない!
---------------
【感想的な雑文】
これまで自分が読んできたエッセイ本のなかでも、かなりのヒット率を誇る初老の脱サラ作家、穂村弘が(お得意な妄想混じりの)日記をつけたと聞き、「何かSNS執筆の参考になれば」と読んでみた。
最初は日記の技法を盗むつもりが、タイトル上の日付が進む毎に、当初の目的を忘れて、案の定、爆笑の穂村ワールドに見事飲み込まれてしまった。
通常のエッセイでもそうなのだが、穂村氏の着眼点は何とも、まあ、(愛を込めて)、バカバカしい!
例えば『5月2日 「お~いお茶」の謎』。
ほとんどの日記が、こういう調子である。
ほかにも『8月4日 ジャニーズ』。
もしブログで、こんなのがあったら相当くだらない記事である。これがバズるかどうかは置いといて、こんな記事が何百個も続いたら、一年後にはかなりの人気アカウントになるだろうと私も勝手な妄想をする。
そして当初の目的である日記の技法はどうかというと、ありそうでないようなあるようで…。というより、そもそもバカバカしい日記に堅苦しい考えを持ってくる方が無粋である。ここはフジモトマサルの描く挿絵のヤブイヌくん(穂村氏とフジモト氏の一体型アバター。ちなみに実在する動物)のように、トイレ中にいいかげんに読むのが、この日記との適切な距離だと思う。
ちなみに、いちばん長い日記は『9月7日 由美かおる』。
これが『「お~いお茶」の謎』『ジャニーズ』よりもくだらないので、読書の際は、ぜひ確認してみてください。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【本日の参考文献】
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【あとがき】
本書と荒川洋治『日記をつける』を交えた解説文も書きましたので、どうぞよろしくお願い致します…!
この記事が参加している募集
本日も最後までお読み頂きありがとうございます。この記事は無料です。この記事をスキ以上に応援したい方は、下にあるサポートをご利用ください。サポートして頂いた売上は、今後の記事を書く為の活動資金にあてさせて頂きます。不審な誤字や表現にお気づきの場合は、コメント欄までお知らせください。