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統合失調症の発症と社会復帰

本日は、統合失調症の発症と社会復帰、というテーマでお話しします。

統合失調症は100人に1人はかかると言われている病気ですが、聞いたことはある人も多いのではないかと思います。

最近だとニュースがある時に、ヤフコメなどを見ていると、これは統合失調症の病気の人だったんじゃないか、早く病院に繋げれば良かったのに警察は何してるんだ、そういうコメントが目立ちますけど、幻覚・妄想が出てしまう病気なので、一度そういう人が身近なところにいたり、病気を知ると、強烈というとアレですけど、印象に残りやすいというか、そういう病気なのかなと思います。

100人に1人ということですが、10代~20代での発症が多いです。

特に高校生や大学生に多いです。

遺伝負因もあることはあるんです。

家族の中に統合失調症の人がいると発症しやすいと言えば発症しやすいんですけど、2倍~3倍くらいの感じの。

1%が2~3%になるくらいなので、すごい違うと言われたら違うし、あまり変わってないと言えば変わらないです。

僕、自衛隊の医学部を卒業をしてるんですけれども、自衛隊の医学部も寮生活なんです。

寮生活をしている時に同級生や先輩後輩にいましたね、発症している人。

だから100人に1人か2人はいるということなので、それは防衛医大でも変わらないよということです。

結構身近な病気だったりします。



◾️️統合失調症とは

基本的にはどういう風なことかというと、前兆期があって、急性期、幻覚妄想が出現して、その後に消耗期といって、うつっぽくなって回復していくと。

これを繰り返すという病気です。

こういう感じで2~3ヶ月、半年以上というようなイメージです。

病気になると、その年の1年のうちの半分以上は潰れてしまうみたいな形で、病気も重いし、調子が良くなるまでの期間も長い病気だったりします。

前兆期と呼ばれる時があって、イライラしたり、疲れやすかったり、寝られなかったり、体調が悪い、そういう時期があります。

この時に、うつなのかな、何なのかな、と思ったりするんですけれども、その後にポーンと悪化して幻覚が出てきて、特に幻聴ですね、幻覚と言いますけど、幻覚というと五感なので、幻聴、幻視、幻臭、触覚の幻視、触覚や幻臭があるんですけど、主にあるのは五感の中で色々あるんだけど、ほとんど幻聴です。

変な音が聞こえる、電子音が聞こえる、人の悪口が聞こえる、誰々が何かを言っている、そういう風なものが多いです。

主に悪口ですね。

だいたい悪口が聞こえていることが多いかなという感じです。

それが悪化していくと、殺すぞ、訴えかけてくる、自分に対する直接的なメッセージだったりに変わってきます。

あとは妄想です。

だいたい被害妄想が多いです。

つけられてる、監視されている、インターネットで個人情報が抜かれてる、インターネットで誰々が悪口を言っている、UFOに見られている、色々あったりしますけど、基本的には監視されているんじゃないか、追い詰められているというようなものが多いです。

個人情報が盗まれているというような、自分を解体していくような、自分の情報が抜き取られて、周りにバレるんじゃないか、バラされてるんじゃないかという妄想を持つことが多いです。

その後に消耗期という形で疲れ果てるんです。

幻聴などの出現を陽性症状と言うんですけれども、その後に陰性症状が主体になります。

ほぼうつ症状です。

元気が出ない、寝られない、食べられない、やる気が出ない、気だるくてずっと寝てしまう、過眠だったり過食だったりします。

外出困難で人目を嫌ったり。

物忘れが増えたりして「人格水準の低下」と言ったりするんですけど、知的活動というか、脳が働かないというイメージです。

働く力が落ちてしまう、集中困難、記憶力の低下、判断力の低下、そういうのが起きたりしますよということです。

こういうことを繰り返していると、適切な薬物療法をせずに繰り返していくと、今度は慢性期みたいな形になっていく。

そうするとずっと幻聴を打ち消すための行動が習慣化しちゃうんです。

例えば幻聴が聞こえている時に、うるさいのでうるさいし、聞こえたくないからうるさいと言って独語が増えたり、一人でぶつぶつ喋ってしまう。

攻撃されているという被害妄想があるので、それに対して打ち消すような言葉をかけたりする。

「うるせぇ、俺の方が強いんだ」そういうことを言ったりするというのが統合失調症の主な症状という感じです。

幻覚妄想は特徴的なんです。

最近だとよくあるのが、Wi-Fiを使ってパソコンを壊してきてる、普通の操作ミスだけどパソコンを壊されている、個人情報を抜かれてる、Xで悪口を言われている、誹謗中傷されている、自分の過去の写真を昔の同級生がバラした、そういうのが多かったりします。

明らかな古典的な妄想は減っていて、狐に騙された、宇宙人に何かされている、そういう妄想は最近減っていて、何となくそんなこともあるのかなみたいな妄想が増えてます。

よく聞いてみると、変なものを見ちゃったからウイルスに感染したんです、陰謀論を信じてる人たちや反ワクの人たちに僕の個人情報を抜かれて、あの中で悪口を言われました、反ワクの人に対して、Xで「お前らは何なんだ」とつぶやいた時に目の敵にされて、今も監視されているんです、そういう何かありそうだなということを言うことが多いんですけど、実際は妄想だったということです。僕のチャンネルでもコメント欄では幻覚妄想状態の人が書き込むこと多いです。

益田先生が盗んでいるでしょう、益田先生は私の個人情報をYouTubeで喋っているんじゃないか、とよく言われたりします。

自分の通院中の患者さんでも、この情報は益田先生は私のことを言ってるんじゃないかと言われることがあります。

全然関係ない話でも、これは私のことに違いないみたいなことを言うことがあります。

じゃあ精神科医はYouTubeをやっていていいのかとかという問題もありそうですけど、でもYouTubeをしてない時は本を書く先生たちが結構いて昔は、論文や学会発表してる時に、これがこの中で専門用語を使ってわからない形でわかる人にはわかる、わかる人にしかわからない形で私の個人情報を漏らしているでしょう、と統合失調症の人が言ってたりしていたので、そんなに大きくは変わらないのかもしれませんが、こういうのがあったりします。

急性期に支離滅裂な言動が増えるんですけれども、ずっと攻撃されてるという意識があるんです、妄想なんですけれども。

24時間攻撃されているので、窮鼠猫を噛むという感じです。

もう戦わなければいけないと思って暴力に訴えかけてしまう、犯罪を犯してしまう、犯罪的な行為になってしまう、放火をしてしまう、そういうことも多かったりするんです。

あまりにも酷い場合は警察を呼んで、警察官から通報してもらって措置入院、強制入院に繋げていくということがとても重要だったりします。

それは警察が独断で決めるのではなくて、通報された警察官が来て、警察官がまた通報するんです。

その地域の知事に連絡をして、保健所を通じて連絡して、知事の命令によって精神科の指定医2名以上で診察することで強制入院が決まるんですけど、そういう手続きを経て行うということになります。

誰か一人の責任というよりは、色々な人の目が入ることによって強制入院が決まるんですけど、そういうことがありますよということです。

そうしないと双方にとって不幸ですから、適切なタイミングで措置入院が必要だったりします。

◾️統合失調症の治療

治療については抗精神病薬による薬物療法が中心です。

統合失調症をなぜ発症するかというと、わかってきているのが、脳が大きくなる時、生まれてから思春期の時に大きくなる時にすごいストレス状況になるんです。

その時に発症するんじゃないかという風に言われています。脳みそが大きくなる時に不要な神経細胞を刈り込むんです。

街を発展させる時に、小さい街の時には道路の太さは同じぐらいなんだけれども、大きくなる時に主要道路と細かい道路に分けるんです。

太い道路を作るためには、要らない枝を切ってしまうんです。

こういう刈り込み作業を脳みそは思春期の時にガッと起きるんだけど、その刈り込みに失敗してしまうと統合失調症という病気が起きるんじゃないかという風に考えられてます。

思春期のグッと大きくなる時に、感染症だったり、虐待だったり、いじめだったり、色々なストレスがかかったりすることによって、刈り込みの失敗が起きる可能性が高まるんです。

その結果、統合失調症のようになるんじゃないかという仮説が割と有力です。その結果、ドパミンを過剰に出すんです。

ドパミンを過剰に出てしまう結果、幻覚妄想が出現するということになります。

だから、治療というのは何かというと、このドパミンを抑えるんです。

ドパミンを抑える薬を使う。

それが抗精神病薬と呼ばれるやつで、昔は定型の抗精神病薬と呼ばれたんですけど、副作用が多いので副作用が少ない非定型の薬を使うようになっています。

統合失調症の人は脳の病気としてドパミンが過剰になるんですけど、似たようなものとして覚醒剤中毒、覚醒剤中毒などでドパミンが過剰になっても同じような幻覚妄想が出現したりします。

最近あまりいないんですけど、芸能人で覚せい剤依存や覚せい剤中毒の人たちが、こういう幻覚妄想状態になって暴れたり変なことになってるなどよく芸能の裏ニュースに出てたりします。

こういうことなんです。

この人たちの治療も覚醒剤を使うのをやめて抗精神病薬を使うというのが治療なんですけど、似てるという感じです。

薬はSDAです。

serotonin dopamine antagonistかな。

セロトニンとドパミン系を抑えてあげるという感じですけど、これがリスペリドンやラツーダと呼ばれるやつです。

MARTAと呼ばれるやつもあって、これは色々な受容体をブロックするのですけど、オランザピンやクエチアピンと呼ばれるやつです。

ドパミン・パーシャル・アゴニストと呼ばれるヤツは、アゴニストと呼ばれるやつはエビリファイ(アリピプラゾール)などがあるというやつです。

こういうのを使ったりします。

これをメインに使って、あとはサブとして、睡眠薬や抗不安薬、場合によっては抗うつ薬、ここら辺のときのために抗うつ薬を使うことでうまく調整してあげたりするという感じです。

副作用はドパミンを抑える結果、病気が起きる。

ドパミンを抑えすぎて、神経伝達物質を抑えすぎちゃうので、病気になってしまうんです。

例えばパーキンソン病とはドパミンが出なくなる病気なんですけど、パーキンソン病のようなことになってしまうということです。

例えば仮面様顔貌、顔の表情が変わりにくい、歯車様固縮、動きが硬い、小刻み歩行、手の震えなどがあったりします。

あとは足のムズムズです、アカシジア。

あとは顔が動いてしまうジスキネジアなどがあったりします。

これはなぜ間違えるかというと、ややこしいんです。

セロトニンとドパミンをブロックし、どこかをブロックしたらどこかが増えるんです。

この感じはムズイんですよ、円安・ドル高と似てて。

金融と似てるんですよね、本当に。

あっちで少なくなればこっちが増えるというのもあるし、だけど日本の経済が悪い時にも、アメリカの経済も悪くなる、日本の経済が悪いからアメリカの経済が良くなる、アメリカが不調だから日本が好調になる、この複雑に入り込んでいる感じというのは、こういう経済の流れと脳の中で起きる動きは似ているんです。

それはなぜかというと、円とドルや他の金融通貨が動くように、セロトニンやドパミンは神経伝達物質なので、貨幣みたいな動き方をするんです。

ある部分アゴニスト、増強するということですねアゴニストは。

ある部分はアンタゴニスト、抑えるということなんですけど。

アゴニストとアンタゴニストは、局所に見ると、どちらかの役割なんだけど、広く見ると、脳全体で見ると両方の側面を持つということで、間違いやすいという言いわけでした。あとはどんな治療があるかというと、福祉導入や作業療法をしたりします。

リハビリですね。

リハビリをしたりします。福祉導入はどういうものを使うのがあるかというと、自立支援、医療費が1割なる自立支援、精神障害者手帳、税金が安くなる障害者手帳、年金をもらえる、お金をもらえる障害年金、あと生活保護などがあったりします。

なかなか一人で暮らしにくいよという時には、グループホームを利用するということもあるし、職業訓練やリハビリ目的で就労移行に通ったり、A型、B型の就労継続支援があったりします。

あとはデイケアに行くなどあったりします。


◾️統合失調症と似た病気

似た病気としてよくあるのが遅発パラフレニーとレビー小体型認知症です。

統合失調症というと若い人の病気という感じですけど、年をとってから幻覚妄想が出現する場合もあります。

年をとってから幻覚妄想が出現した場合は、疑うのが遅発パラフレニーやレビー小体型認知症、あとアルコール依存症です。

実は隠れてすごいお酒を飲んでいた、違法薬物もたまにありますけど、たまにというか地域によっては結構多かったりしますけど、ここら辺はパッと出てくる鑑別かなと思います。

もちろんうつの妄想もあったりします。

でもここら辺が見分けがつきにくいですね。

例えば、最近ごみ捨て場が漁られてて…ということを言う、マンションで悪口を言われてます、という形で、年をとってから発症した統合失調症は、この急性期がそんなバコーンと劇的じゃないんです。

緩やかにジワーッと広がってるような妄想みたいな感じで起きてたりします。

こういうのを遅発パラフレニーと言ったりします。

遅発パラフレニーは昔の呼び方なので、今は普通に統合失調症という呼び方が正式かなと思います。

あとは認知症ですね。

認知症の初期症状としては被害妄想みたいなものが出る場合があって、特にレビー小体型認知症というのは幻覚でも幻聴よりも幻視なんです。

子どもたちが遊んでいる、そういうことを言うことが多かったりします。

物忘れなどは目立たないんだけれども最初は、そういう形でこういうのが起きたりして、こういう形で認知症がスタートするというのもあったりします。

レビー小体型認知症の場合は抗精神病薬を使うと効き過ぎてしまうんです。

効きすぎて、パーキンソン症状が急激に悪化して、誤嚥性肺炎になったりするので、要注意ということになったりします。

ということで、今回は統合失調症の発症と社会復帰というテーマでお話ししました。

統合失調症、精神科のメインどころです。

よく診る病気なんですが、僕は駅前クリニックなので意外とそんなに診てないという、最近そんなに診てない感じです。

統合失調症自体も減ってきてる、軽症化してるというのが世の中の流れなんです。

それはなぜかというと、色々な理由があると思いますけど、昔は統合失調症と診断されてたけど、実は自閉症だった、自閉スペクトラム症だったというのもあるだろうし、昔に比べて感染症が減ってきているので、特にお腹にいる時に子宮内感染、出産時の感染症、脳炎が減ってきてるので、統合失調症が結果的に減っているなど、色々な意見があります。

あとは心理教育が進んでいる結果、社会的に病気の理解が進んでいる結果、幻覚妄想があっても酷いことにならない、落ち着いて対処できるから、そういう色々な要因が絡んでいるんだと思いますけど。

という病気だったりするということです。なかなかありますね。

昔は統合失調症の幻覚妄想に対して酷い扱い、周りの人が攻撃的な態度をとっていたから、攻撃的な態度を取られるが故により興奮して暴れてしまうということがあったんです。

だけどしっかり病気なんだという形で適切なケアすることで、そういう二次被害を減らせるようになってきているというのもあります。

斎藤環先生はオープンダイアログは統合失調症の急性期のために作られたと言ってますけど。

対話だけで治せるのか、薬物療法が中心なんじゃないかと言われたら、そうと言えばそうなんだけど、でもかつて幻覚妄想に対して理解がなくて酷いことをしてきた、人格を無視する、人権を無視するような形で彼らを監視していた、抑え込んでいたという精神科ので負の側面というか、負の歴史というか、そうせざるを得なかった歴史というのがあるので、それも踏まえて理解してもらうといいのかなと思います。

ということで、今回は統合失調症の発症と社会復帰というテーマでお話ししました。

◾️本日の宿題

本日の宿題は、この幻覚妄想、どんな妄想があったか、どんな幻覚があったかを教えていただけるといい学びになるし、本人たちも気付きやすくなるかなと思います。

オンライン自助会/家族会ホームページ
https://peer-support-community.com/

▷ くわしい入会方法はこちら
https://www.notion.so/db1a847cd9da46759f3ee14c00d80995

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