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スイカみたいな猫

ここ最近ずっと家に篭っていて、今日も予定がなくなったので暑いし篭ろうとしたけれど、流石に良くないと思って勇気を出して外に出てみた。

カフェで読書しようとしたけど土曜日ということもあって混み合っていたので断念。

八百屋で100円のズッキーニが売っていたので、茄子と一緒に買った。
予想以上に日が照っているし、もう帰ろうとしたが、近くの大きな公園に行くことにした。

そこは春には桜が咲くし、この街に住んでからよく行くお気に入りの公園だ。考え事や散歩したいときに行く。せっかくなのでセブンイレブンでカフェラテと最近ハマっているクッキーを買った。
ストローが欲しかったのに「スプーンください」と言ってしまって店員のおばさんを困惑させてしまった。
逃げるように公園に向かった。
最後に行ったのは春ぶりだ。

すっかり新緑となった桜の木は風に揺られて心地よい。ベンチに座って公園にいる人を眺める。溢れたクッキーのかけらを鳩が拾う。

この公園は広場と散歩コースと芝生が分かれていて、広い。
広場では子供達がよく遊んでいるし、芝生にはお昼寝している人もいる。各々が好きなように過ごしている。
新宿御苑みたいにお金はかからないし、インスタ映えのピクニックをしている人もいない。代々木公園みたいに広場で昼寝をすることがチルいと思っているようなカップルもいない。
純粋に公園を楽しんでいる人しかいないから好きだ。

犬を散歩するおじさん、競馬と麻雀の話をするおじいさんたち、隠れ鬼をする子供たち、アイスを食べながら喋ってる男女、なんだか、どれもいい。

個人的にはこの公園には思い出もあって、
ここにいると当時の感情が急に蘇ったりする。

風と共にやってくる新緑の香りが心地よい。
なんだか気分が急にふわっと軽くなって、もっと散歩したくなった。

公園の横は用水路になっていて、その用水路の終わりまであてもなく歩くのが好きだ。
その途中学校があって、今日は野球の試合をしていた。
通りすがりの人がそれをみて、盛り上がっている。金髪の外国人の子供がおもちゃのバッドを持って応援していた。こういう何気ない日常の場面に救われることもある。

飽きるまで終わりなく歩いていたら、隣駅まで来てしまった。電車だと15分もかかるのに歩いた方が近いことに気がついた。

ふと用水路をみると、猫がいた。
スイカみたいな模様をした猫。そのまま着いていくと、そこは用水路の終点だった。
そこからは電車が見える。こんな場所があったんだ。なんだかそこで満足したので、そのまま折り返した。来た道とは違う道を通ったりして、ただの住宅街だけれど、夕飯の匂いがしたり、子供の泣き声がしたり、そこには知らない人たちの生活があった。

夕飯の匂いがすると昔から胸がキュッとなる。
どこか懐かしく、実家に帰りたくなる。

そんなことを思いながら、今日の夕飯はズッキーニと茄子を使って炒め物をしようかな、などと考えていた。

16時頃の散歩は日が少しだけ落ちていて、風も心地よく、とてもいいものだった。

変わり映えのない日々だけれど、散歩をしたことで特別な1日になった。

なんてことない道だけれど、よく見れば知らない道があったり、紫陽花が咲いていたり、猫がいたり。新たな発見がある。

そうした小さな変化に目を向けられるようになったのも、休職を経て心に余裕ができたからだと思う。

また散歩に出かけよう。
今日はいい1日だった。

スイカみたいな猫

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