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サイヤ人じゃなくても、スーパーになれるんならなりたい。

SUPER、と名の付くものには並々ならぬ憧れがある。
それはたぶん、小学生の頃に熱狂していた「ドラゴンボールZ」のせいだ。
登場人物それぞれのセリフはもちろん、必殺技、ポーズ、効果音、BGM、そのすべてに夢中になった。
家族総出でそんなかんじだったので、
「ズンズンズン、チャ、ずんずんずん・・・」とくれば、
「ちゃらら~チャチャチャララ~ちゃちゃちゃら~」と解く、みたいなやりとりで会話が成立するくらいだった。
(ちなみにこれは、先週のおさらいをナレーションしているときに流れるBGMを表現している)

もっとも好きだったのは、フリーザ編だ。
下級戦士の子として生まれたカカロット(孫悟空)が、誇り高きサイヤ人の王子であるベジータ様を差し置いて、激しい怒りとともに伝説のスーパーサイヤ人に進化する、あのくだりが最高だ。
(しかしカカロットとかサイヤ人とかベジータとか一発で変換できるとは・・・。すごいなあ、ドラゴンボール)

といっても、悟空の下剋上ばんざーい! ではなく、私の心を鷲掴みにしたのはベジータの方であった。
選ばれし者になれなかった悔しさ、焦り、絶望、そして激しい嫉妬。
その全部乗せな表情が、子どもながらにキュンときた。
超絶プライドの高いベジータの、初めての敗北。
あら、あなたにもこんなに人間くさい感情があったのね、みたいなギャップが乙女心をくすぐった。
それ以上に、完璧すぎて遠い存在だったベジータ様も、平々凡々な私と同じ感情を抱くことがあるということが嬉しかった。

そのころ10歳かそこらだったと思うが、私は薄々気付いていたのだ。
自分が美人でもなければ、頭が良いわけでもなく、特別な才能なんてひとつも持たない、フツーの、凡人オブ凡人であるということを。

あれから、私の心の中にはずっと、悔しさに顔を歪ませているベジータがいて、自分の不甲斐なさとか、圧倒的な実力の差とかを感じるたびに、当時のBGM付きで脳内再生されるようになった。

今でも私は、スーパー○○と呼ばれるなにものかになりたい。切実に。
SUPER。特別な何か。何かを超越せし者。

その願いが、この本を引き寄せたのかもしれない。
今回、私が読んだのは
『SUPER NORMAL  凡人が上位1%の「成功者」になる抜け道』
(チュ・オンギュ 著  藤田麗子 訳 ダイヤモンド社)。

SUPER NORMALとは、

生まれつきのセレブでもなく、
ずば抜けた天才でもないが、
平凡の範囲内でいい暮らしを送っている人。

『SUPER NORMAL』はしがきより

そうか。その手があったか。
凡人だとしても、そこにSUPERが付いたんなら、もうそれはスーパーサイヤ人と同じことではないか!!!
やった~、私はこの本を読んでスーパー凡人になるぞ~!!!

と、意気揚々、ページを繰ってみたのだが。

この本(ちなみに319ページ)を要約すると、こうなる。

徹底したマーケティングと、行動力。あと、運。
とにかく動け。やることをやれ。
以上。

うわっ、なんて、なんて厳しいのかしらん!!!
なんだか私、鬼軍曹に竹刀でケツをひっぱたかれている気分。

ああっ、なんという、なんという
快感!!!!!
もっと、もっと打って下さい、尊師さま!!!

M気のある私には、すべての章のすべての耳の痛い言葉たちが堪らなく気持ちが良かった。
なんだろう。優しく教え諭してくれる草食系男子よりも、てめえのケツはてめえで拭きやがれと、ド正論で罵るハードロック系おにいさんの方が好みだからかもしれない。
そういう方がやる気がでる。
褒められるよりも、ちょっとどつかれるのが良いんだな。

こう書くと、とてもふざけた本のように思われてしまうかもしれないが、ビジネス書として、とても分かりやすく、具体例をあげて、段階ごとにやることを示してくれてある親切な一冊である。
それは間違いない。
ただ、私には別のベクトルで刺さってしまった、というだけのことなのだ。

余談だが。
ここ数か月、私は大好きな洋バンドに現を抜かしていた。
先日、来日公演があったのだが、奇跡のように小さなハコ、そして整理番号が早かったので、もうムチャクチャ近くにメンバーを感じられて、感無量ってか一瞬昇天した。(絶対Ryanと目が合った! 絶対!!!!!)

そんなこんなで、もう頭の中はそれ以外なく、ワールドツアーの全公演について行く算段を練っていた。
薄給の自分にそれが可能となるには、宝くじを当てるしかない。
あああ、とにかく金や、金がいるんや!!!
サマージャンボ! メガビッグ!! 競馬で万馬券でもいい!!!
神さま、仏さまぁ、どうかっ、どうかー!!!
って、そんな他力本願だった私だが。

お金を稼ぐには、自分で何とかするしかない!

そう、決意できたのだ、この本読んで。
自分を信じてみようと思えただけでも、読む価値はあった。
自己啓発本で一番大事なことは、マインドを変えられるかどうかってところだろう。

思えば悟空だって、ナメック星に着くまでの間、宇宙船の中でずっと修行していたし、クリリン殺された怒りがきっかけだったとはいえ、素地は出来上がっていたのだ。
SUPERになるには、自分を磨き上げるしかない。
サイヤ人だろうと、凡人だろうと、そこは一緒なのだ。

鬼軍曹・・・じゃない、この本の著者は最後にこう言っている。

誰もあなたを信じないとしても、
僕はあなたを信じている。
あなたは必ず成し遂げられる人だ。

あとがきより

(ズッキューン)

こんなん言われたら、もう、やるしかないじゃん。
ああ、やったるわ。
私、今日からSUPER NORMALになる!!!





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