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ダメな自分だからこそ。

毎年、年末になるとおかしな精神状態になる。
12月は、私の誕生月である。
世間がクリスマスだ~年末だ~と、はしゃいでいる中で、私はまたひとつババアへの階段を上っていく。
まあ、年を取ることに嫌悪感を感じてはいないんだけれども。
ただ、なんだろうな、毎年、後悔してしまうのである。
「ああ、今年もまた、過去を乗り越えられなかったか・・・」と。

14歳のときにいじめに遭って以来、私は人とうまく関係性を築けない。
もともとコミュ障だったから、以降の学生時代はすべてぼっちとして過ごしてきた。
親とも腹を割って話すということができないくらいだったので、一人でいることはそんなに辛くはなかったのだけれども、そのときついた後遺症のようなものに今でも悩まされている。

それは、猛烈な自己否定だ。

ぼっちで過ごしていると、どうしてもからかいだったり、誹謗中傷だったりの的になってしまう。
14歳から22歳までの8年間、私はずっとそれを浴びてきた。
そうすると、だんだん自分でも、みんなが言うことこそ正しいような気がしてくるのだ。
そして、いつのまにか私という存在に、私自身が耐えられなくなってくるのだ。
最初は、自分の顔がイヤになった。次は、ひどいくせ毛がイヤになった。
イヤだイヤだを繰り返すうちに、だんだん嫌悪感を抱くようになった。
少しづつ、自傷行為を始めた。
それでも、自分が許せなかった。
死ねばいいのに。お前なんか。こんなに不細工で、汚らしい髪の毛で、頭だって良くないし、どんくさいし、なにもかも劣ってる。
ああ、どうして私なんて産んだんだろう。
そう思ってしまうから、誕生日は本当に憂鬱なのだ。

齢40を越えて、何乳臭いこといってんだか。
そう、頭ではわかっているし、30過ぎてからは誕生日に気付かないふりをすることでやり過ごしてもきた。
だけれども。
時々、揺り戻しみたいに、14歳の自分が心を支配してしまう。

2024年の12月も、私の心は14歳だった。
14歳の私は、自分のすべてを心底憎んでいる。

コミュ障の私にとって、文章を書くことは唯一、安心して人と繋がることのできる手段である。なので、noteを書くことは、安らぎを得ることでもあったのだ。
ところが、14歳の私にとっては、それが気に喰わない。

安らぎなんて、お前には必要ない。
つーか、お前みたいなクズが書いた物なんて誰も望んでねーし、自己陶酔に浸ってるだけだろ、キモ。
お前みたいな中途半端な人間は、どうせすぐに投げ出すよ。
なにひとつ最後までやり遂げたことなんてねーんだから。

noteを開くたび、自己否定の声ががなり立ててくる。

それが12月中ずっと続き、私はnoteから逃げた。

それから今まで、私はひたすら本を読んでいた。
特に、明治から昭和中期あたりに書かれた、いわゆる純文学を。
そこにいるのは、どーしようもない人間ばかりだったから。

気まぐれに女を殴ったり、酒に溺れたり、無駄な借金こさえたり、自慰にふけったり、親のすねかじって働かなかったり、賭博に沼ったり、さまざまなタイプのダメ人間で溢れていた。

純文学の中の彼らは、みんな少しも改心しない。
改善しようともしない。
ひたすら堕落。ただ堕落。
最初から最後まで、ダメなままだ。
ちょっとだけ、あがいてみようかな、とする場合でも、結局はオロオロしてるだけで何にもしない。

そんな彼らの姿に、私は心から勇気づけられる。
ああ、そうだよな、人間ってさ、リアルガチだとこんなもんなんだよな。
がんばったからって、必ず報われるわけでもない。
良い人だって、騙されるし、貶められることもある。
理不尽なことなんて、星の数ほど。
未来を信じて前向きに☆ なんて毎日やってられるか、馬鹿野郎。

ダメ人間で、上等じゃねーか。
つーか、どうせならダメ人間を極めてやろうじゃねえか、くそったれ。

で、今私はこうして、くそったれな文章を綴っている。
もしかしたら、私と同じように、ダメなことに悩んでいる人がいて、その人が自分よりもくそったれな人間がいるんだってことを知って、少しでも元気が出たらいいなと思う。
このごろは、コンプライアンスだのなんだのと言って、ダメ人間をそのまま晒すようなことが難しくなってきている。
でも、ダメ人間代表として私は言いたい。
人間のダメな部分を、そのまんま見せてくれるものがなくなると、リア充とか素敵な人生とか、そういう華やかな道を歩めた人間以外の、日陰を歩んでる人間の心のよりどころがなくなっちまうんだよ。
文学の世界でもそういうのが蔓延るようになっちまったら、陰キャはどこによりどころを見つけたらいいんだよ。
社会全体で陰キャを抹殺しようとしてんのかよ。(あ、そうなのかな、やっぱ?)

今回は、自分の気持ちをそのまんま、書いた。
たぶん、今後もかなりくそったれな文章を書くと思う。
気分を害した方がいたら、本当にごめんなさい。
でも、私は純文学の他、こんなかんじのブログにも励まされたのです。
一人でも、私みたいな人間の励みになれることを願います。






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カタクリタマコ
最後までお付き合いいただきありがとうございます。 新しい本との出会いのきっかけになれればいいな。