リスク管理が「わかる」と「できる」は大きくちがう
もうすぐ新学期が始まります。
私の担当科目が、体育実技ということもあり、この「リスク管理」を「できる」ようになるまで繰り返しアナウンスをしています。
上記のツイートのような具体例も踏まえて。
「わかる」と「できる」には大きなちがいがあり、できるようになるには、ものごとを『自分ごと』にする必要があると思っています。
●道具のリスクを把握する①|ラケット
ここからは、具体的に授業で必ず注意する・チェックを促す項目を紹介したいと思います。
バドミントンを例にしますが、他の体育・スポーツの時間でも同様のことが考えられると思いますので、ぜひご参考までに。
最初にラケットについて。
まずはラケットヘッド(フレーム部分)が折れたりしていないかどうかのチェック。
↑のスライドの右下画像のようになっている場合はもちろん危険なので、別のラケットにすることはいうまでもありません。
しかし、↑スライドの右上画像の状態でもストリングの強度によっては、右下の状態に移行することもあるので、リスクは高いです。
次に、↑スライドのようにシャフトからラケットヘッドが飛んでいかないか、あるいはグリップ(ハンドル)からシャフトが抜けないかを、捻って確認する。
品質が確認されているようなラケットですと、そのようなことは起こりづらいのですが、百円ショップで売られているようなラケットをはじめとする安価なものは、このようなことが起こる可能性があります。
実際に、私も年代物のラケットを使用した際に、危うくシャフトが抜けそうになった経験があります。
あるときは、ヘッド部分だけが飛んでいく場面も見たことがあります。
そして、グリップテープがすべらないかどうか。
使い込んでいくと、表面が剥がれて白い部分が剥き出しになったり、めくれたりしてしまします。
そうなると、振った時にすっぽ抜けたり、あらぬ方向に飛んでいくこともあるんです。
「もし、その飛んでいった先がヒトであったら」
「もし、ぶつかる場所が眼だったら」
そう考えると、なぜこのことが重要なのかわかるのだと思います。
リスク管理をなぜするかと言えば、「重篤な傷害を未然に防ぐこと」が目的です。
「わかる」と「できる」は大きく異なりますが、そもそも「わかる」ことができなければ「できる」には到達しません。
この点を理解し、「できる」よう心がけられることが求められます。
<ラケットでのリスク管理|まとめ>
●折れていないか(ひびが入っていないか)
●シャフトとヘッド・グリップ(正式にはハンドルと言います)が抜けないか
●グリップテープがすべらないか
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●道具のリスクを把握する②|シャトル・その他
シャトルについては、リスクよりもマナーと言った方がいいかもしれませんが、間接的にリスク回避につながると思いますので、紹介します。
<シャトルでのリスク管理とマナー|まとめ>
●シャトルを踏まない/踏ませないこと
●テニスボールのようにポケットに入れないこと(マナー)
→形を変形させないことへの配慮
●シャトルの形状を変えないこと
これらは水鳥のシャトルでも、ビニールのシャトルでも必要な基礎知識だと思います。
最初の「シャトルを踏まない/踏ませない」は特に大事です。
バドミントンをやっている中で、外傷(突発的に起こるケガ)の原因の上位がこのシャトル(もしくは誰かの足)を踏んでの捻挫でもあるからです。
時には、重篤なレベルでの足関節の捻挫につながるので、コート上に落ちていたら必ず避ける、意図的に投げ入れない、など注意することが求められます。
そして、その他のリスク管理についてです。
シャトルをポケットに入れると同じくらい多いのが、この「コートを横切る」ことです。
バドミントンを日常的に行っている人たちであれば、コートの角をまたぐことも避けるのですが、始めたての人たちだとその加減がわからなかったりします。
上図の緑色のラインの外側(一番大きい面積になるライン)の中に、インプレー(シャトルを打ち合っている)時は絶対に入らないこと。
これは繰り返し言う/言い合うことで、リスクを回避できるようにしていく必要があります。
先ほどの足を踏んでの捻挫をはじめとして、ラケットを振って(ラケットが体や顔に当たって)の外傷(頭部や眼などが特に深刻)が起こる可能性があるためです。
また、準備と片付けの時のネットとポスト(支柱のことです)の取り扱いには注意が必要です。
私も必ず授業準備と片付けの導入でお話しするのですが、支柱に円筒状の可動パーツがあるようなものですと、留め具が緩んだ瞬間に指を巻き込んだり、肉をえぐったりすることがあるんです。
そうならないためにも、準備と片付けを慣れるまで数回は指示だしや手本を見せながら注意深く一緒にやる必要があると思っています。
最後に、シューズ。
大学の体育で、高校時代の体育館シューズを持ってきたりしていると、靴底が剥がれかけている学生もいます。
あるいは、外履き用の靴をちょっと拭いて使用する学生もいたりします。
剥がれていたりすると、捻挫のリスクは上がりますし、かかと部分が壊れていたり靴紐部分が数カ所機能していないとふとした拍子に脱げてしまい、転倒する恐れもあります。
色々と記載してきましたが、まとめると▼
<その他のリスク管理・マナー|まとめ>
●コートを横切らない
●ネット・ポストの準備と片付けは「指を巻き込まないよう」細心の注意を払う
●室内履きとして適切なシューズを使用する
(すべらない・壊れていない・剥がれていない)
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●ヒト同士の約束事を遵守する
ここまでが、スポーツ(今回はバドミントン)をする上での基礎知識であり、トレーナーとしても、体育の教員としても、リスク管理として「わかっておく」べき項目だと思います。
そして、これらをわかった上で、「できる」ようにするためにはどうするか。
それは、「約束事を必ず遵守するように促す繰り返しのコミュニケーション」と、リスクが現実のものとなった場合のシチュエーションや事例を具体的に「自分ごと」として提示することが求められます。
いくら知っていても、「できない」のであれば意味がありません。
そして、ルールとして上記のようなことを設定し、その時間ケガや重篤な事故につながる可能性をどれだけ減らすことができるか、はその時間をマネジメントする責任者に求められる、環境づくりのいち観点でもあります。
スポーツや運動は楽しいもの。
その楽しさは、ある一定のルールに則って成り立ちます。
そして、そのルールとともにマナーと呼ばれるような、ヒト同士の配慮やリスク管理が組み込まれます。
このようなことを全てひっくるめて提示し、楽しく、より運動やスポーツを好きになるように誘導できるスキルが、我々には求められているのだと実感をしています。
この記事が同様の職種の方々、バドミントンの授業を受け持っている教員の皆様、あるいはスポーツをこれからやろうと思っている人の役に立つことがあれば幸いです。
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今日はここまで。
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●藁科 侑希(わらしな ゆうき)
大学教員として、教育・研究現場で活動中。また、スポーツ現場でもトレーナーやコーチとして活動。選手や学びたい人にとって、最良のアドバイザーであることをモットーに、肩書きにとらわれない現場目線のサポートを模索中。 #西野亮廣エンタメ研究所 サロンメンバー
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【保有資格】
博士(スポーツ医学 筑波大学)
日本スポーツ協会公認バドミントンコーチ3
日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー
日本障がい者スポーツ協会公認障がい者スポーツコーチ
日本障がい者スポーツ協会公認中級障がい者スポーツ指導員
日本障がい者スポーツ協会公認障がい者スポーツトレーナー
NSCA認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト
NSCA認定パーソナルトレーナー
高等学校教諭専修免許(保健体育科 茨城県)
中学校教諭専修免許(保健体育科 茨城県)
赤十字救急法救急員
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