見出し画像

かかわりの中で育つ通常学級『自立活動』の発想による指導

青山先生にお会いできる機会があり、やっぱり会う前には、その人の本をどれか一つでも読んでおきたいよなと思い、久しぶりに開いた。
この本のメインの部分を書いている著者は土居裕士先生だけれど、それでも自分の中で、今気になっていた内容だったので読み直した。

この本を買ったときは「自立活動かー、聞いたことはあるけれど、うん、まあ専門的な領域だし、自分とは遠いかなあ」と思いながら読んだ。
もちろん読んだあとは、必要感に駆られて、これを意識してこなかった自分愚か者ですやん、ぐらいになっていた。

大学院の授業で、通常学級における特別支援教育をやったときに、まさにこの自立活動のことを勉強した。そのときの話と重なる部分がたくさんあって、講義の中身についても、本の内容についても、双方から一層理解が深まった。

読めば読むほどに通常学級において「自立活動」の視点を取り入れることは重要だと思う。ただだからといって、すごく特別なことをしているわけでもない。著者は

通常学級の担任は、児童個々の実態に応じて、これまで日常的に無自覚のまま「自立活動」的な活動を行っていたともいえるのです。あまり日常的であり、あまりにも無自覚で行われてきた指導であるがゆえに、通常学級の担任は、自立活動に目を向けることがほとんどありませでした。非常に酷似した内容にもかかわらず、です。

P18

のようにも述べている。

自立活動は学習指導要領を見ると分かるが、6区分27項目と分かれている。
この自立活動の6区分27項目を「ものさし」として扱うことを著者は勧めている。

そのメリットは2つある。
1つは、子どもの困難さをこの区分と項目に当てはめることで、指導の糸口を探っていくことができること。
そしてもう1つは、指導のプロセスの言語化・共有化である。

この後者の利用方法が非常に面白いなと思えた。
なぜか児童が落ち着いてしまう学級担任がいる。もちろんその人の名人芸のような指導技術や、そこまでに経験したり積み重ねてきたりしたものがある。ただ、それらを全て名人芸とするのではなく、児童への見取りや教師の対応について、区分や項目に照らし合わせながら質問していく。
こうして、名人芸を少しでも具体的な視点へと落とし込んでいく。それがそのまま扱えるわけではないのだけれど、そうしていく中で共通言語となるものが生まれたり、児童理解の幅が広がったりしていく。

児童一人一人の健やかな発達のために、教師同士が協働しながら、より良い学級のあり方、より良い授業、より良い支援を追求していく、そんな組織としての学校になったらいいなと思えた。

いいなと思ったら応援しよう!