学びを変えるドラマの手法
「知っていたら教えていただきたいんですけど、こういう方法ってご存知ですか?」と学ぶきっかけをいただけることがありがたい。
知ったかぶりで人に情報を伝えることが好きではないので、関連する本を買って、読んで、自分なりに実践論文などを調べて、資料にまとめていく。
正直、演劇的手法やインプロについての本は、1冊しか持っていなかったので、ここで複数購入して勉強する機会になってよかった。演劇的手法は、自分が想像している以上に歴史のあるもので、調べることで広がる世界が確実にあるなと思えた。
本書の1番の良さは、数あるアクテビティの中でも基本的技法とされている「コア・アクティビティ」が6種類、そしてそれとは別の「よく使われるアクティビティ」が10種類、そして「コア・アクティビティ」と「よく使われるアクティビティ」を複数組み合わせた実践が紹介されている点である。そもそもどんな方法があるのかについて知らない自分が、ひとまず読んで、それらの雰囲気を掴むには最適だった。
またそれぞれのアクティビティについて、アクティビティの目的や特徴、事前の準備、手順、注意点が、具体的に記されている。これらが示されていることによって、教室で実際に取り入れる際にもポイントを押さえながら取り組むことができる。さらに、ポイントだけでは終わらず、1つのアクティビティについて、実際に教室での実践事例が書かれている。それも学年や教科が異なるものが複数あることが大変ありがたい。
自分自身、演劇とか舞台とか、そうしたものを自分から見にいく機会は、全くない。ただ、一つ一つの実践を読んでいく中で、子どもたちが躍動する姿が頭の中で浮かんだ。またアクティビティ一つ一つの説明を読んでいても、ちょっと研修などで取り入れても面白いものなんだろうなと感じられた。
自分からとても遠かった演劇の世界が、この本でどこか近づいた気がするし、時間のある時に、足を運んでそうした世界に触れてみることも面白いのではないかな。そうした本物を知らずして、こういった実践をやるべきではないということではなく(そもそも演劇的手法に演技のうまさを求めることは違うのだろう)、自分自身が興味関心を高めることで、また少し見える世界が異なるように思う。
自分のこれからの可能性を広げてくれる一冊に出会えてよかった。