WANDERVOGEL: 世界一周ハイキングの旅 概要
2023年7月12月に日本を出国してから、1年4ヶ月が経ちました。この記事を書いている時点では、南米ペルーのクスコに滞在しています。
私は現在、世界中のハイキングを歩く旅をしています。
今回はこの旅の計画や動機について書こうと思います。
旅のコンセプト
日本にたくさんの山々、登山コースがあるのと同様に、海外にも歩くための道=トレイルが無数にあります。山好きの方であれば、アメリカのジョン・ミューア・トレイル、ニュージーランドのテ・アラロアやミルフォード・トラックなどはご存知かもしれません。ハイキングカルチャーが盛んなのは主に欧米圏ですが、アジア、アフリカ、南アメリカ、オセアニアのすべての大陸にトレイルは存在します。そして、国や地域によって、トレイルは様々な特色を持っています。そんな世界の魅了的なトレイルの数々を歩きまくろう、という旅です。
旅の目的
最も根源的なモチベーションは、自然の中を歩くハイキングという行為が好きだから、というシンプルなものです。なので、ハイキングをすること自体が目的と言えるのですが、過去の経験も踏まえてもう少し踏み込んで考えてみたいと思います。
海外でしかできないハイキングをする
初めて海外をハイキングしたのは、2019年のことです。
この旅では、
アイスランドのLaugavegur Trail
スウェーデンのKungsleden(セクションハイク)
イングランドのSouth Downs Way(セクションハイク)
の3つのトレイルを歩きました。
初めて見る景色に圧倒されたのはもちろんのこと、海外のハイキングがそれまで自分がやってきた日本の登山スタイルとは異なっていたのが印象的でした。特に印象的で、気に入ったのは次の2点です。
①ピークへの登頂を目的とせず、長く歩くこと
海外のトレイルを初めて歩いての率直な感想は「日本の山登りより楽」ということでした。日本の登山は、文字通り「山に登る=山頂を目指して歩く」行為であるのに対し、海外のハイキングルートは山頂にこだわらず、アップダウンは最小に、長い距離を歩くようトレイルが作られているのが主流です。水平的な長い道のりの中での景色の変遷。バックパックに衣食住の全てを詰め込んでの生活。時には町に降りて補給をし、食事、休息をとる。そんな歩くことの全てを楽しむ海外のハイキングのスタイルがとても気に入りました。
②テン場が指定されていないこと(ワイルドキャンピング)
スウェーデンのKungsledenでは、決められたテン場は無く、トレイル上のどこでも好きな所に無料でテントを張って泊まることができます。ラップランドのフィールドは、基本的に平坦な土地で、豊富な水源があり、歩いているハイカーの数も多くないため、比較的簡単に幕営の適地を見つけることができます。これは、指定された場所での幕営のみが許可された日本のフィールドで、時には尋常ではない混雑を経験してきた自分にとって衝撃的なことでした。テン場が限定されないことで、混雑を避け、絶景のポイントで泊まることができるだけでなく、ハイキングの工程を組む自由度も上がります。トレイルの中で自分で自由に適地を探しての幕営=ワイルドキャンピングは、わざわざ海外へ行ってハイキングをする価値があると思う最も大きな理由の1つです。
トレイルの多様性を知る
2019年の旅で歩いた3つのトレイルは、全てヨーロッパ北部のトレイルですが、三者三様に異なった特徴を持っています。アイスランドの火山と氷河が織りなす地形、ラップランドの広大な土地、イングランドの美しい海岸線と農地。そして、自然景観のみならず、ルールの面でも大きく異なっており、これが非常に興味深く、ハイキングにハマっていく大きなきっかけとなりました。
具体的には、
・ルートの整備度、標識やマーカーの有無
・テント泊の自由度
・山小屋の充実度
・予約や許可の必要の有無
・補給のしやすさ
・交通アクセス
・歩いているハイカーの人数
等々、様々な面で違いが見られます。
そして、それはその国や地域の自然に対する向き合い方や国民性を反映しているのではないかと考えます。
世界各国の多様なトレイルを歩くことで、これらの違いについても比較していきたいと思っています。
旅の期間
2023年7月12日〜未定。
2年程度を予定しています。
歩く予定のトレイル
トレイルの選定基準
その国やエリアで最も代表的なトレイルであること
→その土地のトレイルの特徴、ハイキングカルチャーを把握するため数日〜数週間でスルーハイクできるトレイルであること
→トレイルの多様性を知るために、多くのエリアで歩くため。セクションハイクも視野に入れる。
トレイルリスト
⚫︎ヨーロッパ
・Pindus Horseshoe(ギリシャ)
・Lofoten諸島(ノルウェー)
・Nordkalottleden(ノルウェー、スウェーデン、フィンランド)
・Walker’s Haute Route(フランス、スイス)
・Pyrenean Haute Route、GR10(フランス)
・Alta Via 1(イタリア)
・Sentiero Azzurro(イタリア)
・South West Coast Path(イングランド)
・湖水地方(イングランド)
・Snowdonia(ウェールズ)
・West Highland Way(スコットランド)
・Great Glen Way(スコットランド)
・Skye Trail(スコットランド)
⚫︎北アメリカ
・Grand Canyon Rim to Rim(アメリカ)
・John Muir Trail(アメリカ)
・アラスカ(アメリカ)
・ロッキー山脈(カナダ)
⚫︎南アメリカ
・Cordillera Huayhuash Circuit(ペルー)
・Salkantay Trek(ペルー)
・Torres Del Paine “O”Circuit(チリ)
・Dientes de Navarino Circuit (チリ)
・Fitz Roy(アルゼンチン)
⚫︎オセアニア
・Te Araroaのセクションハイク(ニュージーランド)
・Tongariro Northern Circuit (ニュージーランド)
・Abel Tasman Coast Track(ニュージーランド)
・Heaphy Track(ニュージーランド)
・Routeburn Track(ニュージーランド)
・Milford Track (ニュージーランド)
・Kepler Track(ニュージーランド)
・Larapinta Trail(オーストラリア)
・Uluru Base Walk(オーストラリア)
・Great Ocean Walk(オーストラリア)
⚫︎アフリカ
・Drakensberg山脈(南アフリカ)
・Mt.Kilimanjaro(タンザニア)
⚫︎アジア
・Everest Basecamp Trek(ネパール)
これらは出発前のリサーチ段階でのリストです。現地での情報収集で新しく発見するトレイルもあると思うので、随時追加していきます。
今後の記事について
以上、出発から既に1年4ヶ月が経過した時点での旅の概要紹介でした。
2024年11月時点で予定したトレイルの6〜7割を歩くことができています。帰国日はまだ未定です。
各トレイルについては、トレイル紹介とレポートを記事にしていこうと思いますので、興味のある方は読んでいただけると幸いです。