【おさらい&続報】“特異な才能のある児童生徒”への支援、4月から実施へ。注目度高い「実証実験」の内容は?
本noteでも昨秋にお伝えしたように、文科省は来年度から、【特定分野に特異な才能のある児童生徒】への支援を始めます。
「“特異な才能”のある児童生徒、国が来年度から支援開始へ。2023年4月、実証実験スタートの予定」
「特異な才能」とは何なのか?
一義的にはくくれないその説明も試みているので、一度読んでいただけたら嬉しいです!
今回は、【特異な才能のある児童生徒】への支援内容について、現時点でわかっていることをおさらいしつつ、続報もお伝えします。
先生への研修、特性把握のツールやイベント情報など共有
文科省は【特異な才能のある児童生徒】に対して
《学習上・学校生活上の困難を解消》しながら
《それぞれの個性・才能を伸ばす》指導・支援を行うことを基本とした上で
次のような施策を展開する考えです。
①【個々の特性を把握するためのツールや手法、特異な才能のある児童生徒向けのプログラム&イベント】に関する情報集約・共有
→特異な才能のある児童生徒に対して、学校関係者や学校外の機関が適切に支援できるようにしつつ、才能を伸ばせる機会を広く提供できるように、そうした子どもたちの認知・発達等の特性や困難の把握に役立つツール等に関する情報や、特異な才能のある児童生徒の指導・支援に関わるプログラムやイベント等に関する情報を収集し、共有する。特異な才能のある児童生徒の指導・支援に関する実証研究
→特異な才能のある児童生徒の指導・支援に関する実証的な研究を実施。 実践事例を蓄積し、その横展開を図る。
具体的な検証事項は
●子どもの関心等に合った授業
●多様性を包摂する学校教育環境
●多様な学びの場の設定や、過ごしやすい居場所としての環境整備
●学校と、学校外の機関の連携による学習面・生活面の指導・支援
●才能と障害を併せもつ児童生徒の対応
など。
※このほか、教職員や保護者を対象とした、児童生徒の対応に関する相談支援も行う。主に教職員向けの研修パッケージの開発
→特異な才能のある児童生徒に関する理解を醸成するため、教職員などが児童生徒の特性や効果的な支援の在り方について学習したり、教職員同士が課題認識を共有したりできる研修パッケージを開発する。
1.3は民間企業に、2の実証実験は都道府県・市町村教育委員会、学校法人(国公私立含む)、国立大学法人の中から8団体を公募によって採択し、委託します。
(実証実験のうち、「教職員や保護者を対象とした児童生徒の対応に関する相談支援」は民間企業に委託)
委託先は3月中旬に決定する予定です。
注目される「実証実験」
「日本には、同年齢の学習集団や一斉授業、『勤勉の奨励』など独特の学校観・教育観がある。
それが理由かは分からないが、特定の分野に抜きん出て優れた資質を有していながら、学校になかなか馴染めずに孤立しがちで指導困難な子どもについて、まだまだ学校現場では対応できていないのが実情。
多様な子どもたちに対して、従来通り担任の教師1人が何でも担うという体制は、既に無理が生じている。
そんな現状を踏まえて、外部人材の活用の推進や、学級外の居場所づくりについても考えていくのが望ましい。
(文科省によって)次年度から行われる、実証研究に大いに期待したい」
(第6回「義務教育の在り方ワーキング・グループ」より。委員の発言を一部抜粋)
支援事業の中でも、実証実験に対する教育現場からの注目度は高いようです。
実証実験の委託先は教育委員会や学校、大学…ということですが、どんな団体が手を挙げるのでしょうか。
「今まで(特異な才能をもつ児童生徒への対応が)なかなか出来ていなかったが、この支援事業を機に新たに取り組もうとするところ。
特異な才能を持つ児童生徒に関する、またはそれに類する取り組みを既にやっていて、この支援事業を機に更に深めていこうというところ。
(委託先としては)両方あると思います」(文科省)
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4月から開始される、特異な才能のある子どもたちに関する支援事業。
個人的には、すべての子どもたち1人ひとりに合った学び(内容や進め方を含めて)が実現していく過程で、「特異な才能のある子どもたち」についても、彼・彼女たちが自分らしくいられる環境が公教育の中に根付くといいなと思います。
そんな観点から、実証実験を通じて、横展開しうる知見が得られることを願っています。
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