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みんなが快適に働ける職場づくり:デジタル時代のヒント

デジタル化が進む中、私たちの働き方は目まぐるしく変わりました。

特にZoomやTeamsなどのオンラインツールを活用することで、在宅勤務などのリモートワークが広がり、働く場所や時間の選択肢が増えたことは、多くの人にとって大きな恩恵となっています。
たとえば、子育てや介護をしながら自宅で働くことができるようになり、仕事と生活のバランスを取りやすくなったという声もよく聞きます。

しかし、この便利さの裏には、職場の一体感が薄れてしまうという課題も潜んでいます。

以前ならオフィスで自然に交わされていた何気ない会話や、ちょっとした相談ごとが、リモート環境では意図的に作らなければならなくなりました。
これによって、特に新入社員やリモートワークに不慣れな方々が孤立感を感じやすくなってしまうことも少なくありません。

また、リモートワークが定着するにつれ、それは社員にとって「手放したくない働き方」となっています。

一度その快適さを味わった社員が、突然の全員出社の指示を受けると、ストレスや不安を感じることが少なくありません。
知り合いの企業でも、リモートワークからオフィス勤務に戻った途端、社員が疲れやすくなったり、やる気を失ってしまったという話を聞きました。

そこで、私たち経営者や人事担当者に求められているのは、リモートワークとオフィス勤務をうまく組み合わせる方法を見つけ、社員が快適に働ける環境を整えることです。
たとえば、週の半分はリモートワークを許可し、残りの半分はオフィスで顔を合わせる日を設けることで、働きやすさと職場のつながりを両立させることができるかもしれません。

また、管理職において重要なのは、社員一人ひとりの見えない部分に気を配ることです。

つまり、彼らの価値観や考え方、さらには持っている強みや個性を理解することが重要です。
表面的なパフォーマンスや態度だけでなく、彼らがどんなことを大切にしているのかを知ることで、より的確なサポートができるようになります。

たとえば、僕のクライアント先で働いているAさんは、リモートワーク中に小さな子供の世話をしながら仕事をしていました。会議中に子供の声が入ってしまうことを気にして、集中できずにストレスを感じていたそうです。
Aさんにとっては「家族との時間を大切にしたい」という価値観が強く、リモートワークを選んだ理由もそこにあります。
しかし、仕事と育児の両立にはプレッシャーが伴い、職場がその状況を理解してくれるかどうかも心配していました。
彼の強みである「短時間で集中して成果を上げる力」も、家庭の事情から発揮できず、悩んでいたのです。
でも、幸いにも1on1の中で上司が話を聴いてくれて、一緒に解決策を考えることができたんです。

また、別の会社のBさんは独り暮らしで、リモートワークが続く中で強い孤独感を抱えていました。
彼は対面でのやり取りが少なくなったことで、「誰にも話を聞いてもらえない」「チームの一体感が感じられない」といった疎外感や無力感を感じていたようです。
Bさんは「チームワーク」や「協力」を大切にしており、他のメンバーとの関わりの中で力を発揮するタイプです。しかし、リモート環境ではその強みである「コミュニケーション力」が活かせず、チームからの距離感を感じてしまっていました。
このような気持ちが仕事に影響を与えることは少なくありませんが、Bさんも上司との1on1で悩みを話すことができ、支援を得られました。
もし、そうした機会がなかったら、彼が自分の悩みを表に出すまでにはもっと時間がかかったかもしれません。

こういった「見えにくい部分」に気づくためには、定期的な1on1ミーティングやアンケートを活用し、社員の声をしっかり聞くことが大切です。
シンプルに「最近どうですか?」と声をかけるだけでも、社員が抱える悩みやストレスを話すきっかけになりますし、「今、何か困っていることはありませんか?」や「仕事の進め方で工夫していることがあれば教えてください」といった具体的な質問も効果的です。
実際、先ほどのBさんは「仕事は順調だけど、リモートだとどうしても孤立感があって…」と話してくれたことで、その後、孤立感を和らげるためのサポートを行うことができたケースでした。

デジタル化が進む中で、僕たちが目指すべきは、単に効率化を図ることではなく、社員一人ひとりが心地よく働き、成長を実感しながら働きがいを持てる職場をつくることだと思います。
彼らの「見える部分」と「見えない部分」の両方にしっかり目を向けて、価値観や強みを尊重しながらサポートしていけば、チームの一体感も強まり、持続可能で充実した働き方が実現できるのではないでしょうか。